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アルプス頂上ゴールのツール第19ステージでバルデがフランスに今大会初区間優勝をもたらした!

レース
 
第103回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月22日にアルベールビルからカテゴリー1級のサン・ジェルベ・モン・ブラン山頂までの146kmで第19ステージを競い、ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)が独走で区間優勝し、フランスに今大会初の区間優勝をもたらした。

マイヨ・ジョーヌを着た英国のクリストファー・フルーム(スカイ)は、終盤の下り坂で転倒して負傷するアクシデントに見舞われたが、チームメートのゲラント・トーマス(スカイ)の自転車を借りてレースを続け、総合首位の座を守った。

アルプス最終日を残して、マイヨ・ジョーヌのフルームは総合2位のバルデにまだ4分11秒差、総合3位に浮上したナイロ・キンタナ(モビスター)には4分27秒差を付けている。しかし、表彰式に現われたフルームは右ヒザをアイシングしていて、落車によるケガの状態が心配だ。
 
プールスに引かれてゴールにたどり着いたフルーム
プールスに引かれてゴールにたどり着いたフルーム
表彰台に上がったフルームは、落車で負傷した右ヒザにアイシングをしていた…
表彰台に上がったフルームは、落車で負傷した右ヒザにアイシングをしていた…

マイカとドヘントの山岳賞争い

スタートのアルベールビルはキレイに飾り付けられていた(Photo: YAZUKA WADA)
スタートのアルベールビルはキレイに飾り付けられていた(Photo: YAZUKA WADA)
出走サインをするフルーム(Photo: YAZUKA WADA)
出走サインをするフルーム(Photo: YAZUKA WADA)
インタビューを受けるマイヨ・ブランのイエーツ(Photo: YAZUKA WADA)                         
インタビューを受けるマイヨ・ブランのイエーツ(Photo: YAZUKA WADA)                         
第19ステージは曇空のアルベールビルを177選手が出走。ニュートラル区間でホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が後輪のパンクに見舞われたが、すぐ集団に復帰した。コースはニュートラル区間から上りがスタートした。

オフィシャルスタートの合図と共に山岳賞総合2位のトーマス・ドヘント(ロット・ソウダル)がアタックし、マイヨ・アポワを着たラファウ・マイカ(ティンコフ)が反応。3km地点でこの2人を含めた20人の逃げ集団が形成され、5.5km地点で集団に4分15秒差を付けていた。

この逃げにはアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ)、ピエール・ロラン(キャノンデール・ドラパック)、ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)、トニー・マルティン(エティックス・クイックステップ)、ダニエル・ナバロ(コフィディス)、マイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ)、アレクシス・ビヤモーズ(AG2R・ラモンディアル)が加わっていた。

20人の中で総合成績が最も上位だったのはロランで、22分51秒遅れの総合16位だった。集団の先頭はアスタナのビンチェンツォ・ニーバリ、パオロ・ティラロンゴ、ディエゴ・ローザがコントロールし、タイム差は7km地点で4分42秒になったのが最大で、20km地点では3分50秒に減っていた。

25.5km地点の中間スプリント地点はマシューズが先頭で通過した。カテゴリー1のフォルクラ・ド・モンマン峠の坂が始まり、集団は変わらずアスタナが引き続け、スプリンターたちは遅れ出した。

42.5km地点の山頂はドヘントが先頭で通過し、マイカが続いた。マイカは下りでそのまま逃げグループから抜け出し、ドヘントとビヤモーズが付いて行き、坂を下りきった50km地点で後続に30秒差、集団には3分30秒差を付けたが、3人は後続を待ち、先頭はゴールまで残り87kmでふたたび20人になった。

つづくカテゴリー2のフォルクラ・ド・ケージュ峠もドヘントが先頭で通過し、マイカは2位だった。残り65kmでタイム差はふたたび4分になった。残り60kmで前日の個人タイムトライアルで2位になったトム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)が集団内で落車し、自転車を交換してレースに復帰したが、左手を負傷していて走り続けることができず、結局リタイアした。

リタイア後の検査で、ドゥムランは左手の橈骨を骨折していたことがわかった。

カテゴリー超級のビザンヌ山のふもとで、集団はアスタナと一緒にAG2R・ラモンディアルも引き始めた。平均勾配は8.2%の登坂が始まると、集団から脱落する選手が出始め、ティージェイ・バンガーデレン(BMC)もその一人だった。

ビザンヌ山の中腹で先頭ではマイカがペースアップ。山頂まで5kmで逃げグループは14人になり、ドヘントは1分10秒遅れていた。その脱落は、彼にとっては山岳賞争いからの脱落も意味していた。

ゴールまで残り49km地点の山頂はマイカがトップで通過し、2度目の山岳賞獲得が確実になった。しかし、集団は1分50秒後方に迫っていた。そして選手たちの行く手には暗雲が広がっていた。

ビザンヌ山を下り始めて3kmで先頭からロランがアタックし、コスタが合流した。しかし、下りは路面が濡れて滑りやすくなっていて、ゴールまで残り41kmでロランは転倒。前を走っていたコスタがそのまま独走を続けた。

集団ではリッチー・ポート(BMC)が機材トラブルに見舞われて集団から遅れてしまった。ビザンヌ山を下り終え、コスタは追走グループに50秒差、集団に1分50秒差を付けていた。

ゴールまで残り25kmで追走グループからナバロが飛び出し、1分前を走るコスタを追った。他の選手たちは集団に吸収され、ポートも集団に戻ることができた。ナバロは結局コスタに追いつけず、3km先で彼も集団に吸収された。

ゴールへと向かうサン・ジェルベ・モン・ブランのふもとまで7km地点の下り坂で、集団からはミカエル・シェレル(AG2R・ラモンディアル)がアタックして先行した。

濡れた路面で落車が続出!

コスタは逃げきれなかったが、敢闘賞を獲得した(Photo: YAZUKA WADA)
コスタは逃げきれなかったが、敢闘賞を獲得した(Photo: YAZUKA WADA)
下りでアタックした直後に落車してしまったロラン(Photo: YAZUKA WADA)
下りでアタックした直後に落車してしまったロラン(Photo: YAZUKA WADA)
集団では残り14kmのドマンシーの丘の下りカーブでバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)がコントロールを失ってコースアウト。その数分後には、マイヨ・ジョーヌのフルームが下り坂でスリップして転倒し、すぐ後ろを走っていたニーバリも同時に転倒してしまった。

フルームは転倒した際に体の右側を負傷していたが、トーマスの自転車を借りてすぐレースに復帰した。メイン集団の先頭では、バルデがアタックしてチームメートのシェレルに合流していた。フルームが集団に追いついた時、バルデはすでに1km先行していた。

ドマンシーの丘の下り坂ではナバロも落車し、彼はそのまま病院へ搬送されてリタイアした。

バルデは独走でサン・ジェルベ・モン・ブランを上り始め、ゴールまで残り7.5kmで先頭のコスタに追いついた。30秒後方のマイヨ・ジョーヌ集団は20人ほどになり、アスタナのローザが引いていた。しかし、モレマの姿はそこにはなかった。彼はすでに1分半遅れてしまっていた。

先頭でゴールまで残り3kmでコスタが力尽き、バルデは独走で山頂を目指した。マイヨ・ジョーヌ集団ではポートやダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ)がアタックを試み、マイヨ・ブランのアダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ)が遅れ始めた。

バルデはそのまま数10秒のタイム差を守り切って山頂にたどり着き、昨年につづいて2度目の区間優勝を勝ち取った。彼はこの日の走りで総合5位から2位にジャンプアップした。

集団ではポートとキンタナが加速した後、カウンターでアルーがアタック。負傷し、トーマスの自転車でレースを続けていたマイヨ・ジョーヌのフルームは遅れ始めたが、ウォートル・プールス(スカイ)が守護神のように彼を引き続けていた。

フルームはバルデより36秒遅れでゴールしたが、プールスのおかげでキンタナにはたった10秒しか失わなかった。

前日まで総合2位だったモレマは4分26秒遅れでゴールし、総合10位にまで後退してしまった。
 
落車で総合争いから大きく後退してしまったモレマ
落車で総合争いから大きく後退してしまったモレマ

■開催国フランスにやっと区間優勝をもたらしたバルデのコメント「天にも上る気分だ。本能で自転車に乗るのは素晴らしい。アタックは計画していなかった。シェレルのひらめきだった。「下り坂で全力で行こうぜ」って彼が言ったんだ。僕たちは年中プレッシャーに屈服させられるから、そういう決断を下せるデュムランやシェレルのようなキャプテンが必要なんだ。

フィニッシュラインに向かって上るのはピュアな感動だ。僕は観衆を目にして、彼らと感動を分かち合った。僕たちは人間で、人間は感動が必要な生き物だ。今日は計算なんてしていなかった。後ろで何が起きていたのかも知らなかった。

総合2位になれてうれしいよ。キンタナより16秒遅れよりも16秒前の方がいいからね。明日のジュー・プラーヌでは何が起こってもおかしくはない。パリの表彰台の位置を守れるように努力するよ。それは素晴らしいだろう」


■落車したフルームのコメント「今日は可能な限りトラブルを回避するために、前でレースをしなければならなかった。僕は道路中央のペイントで滑って落車した。幸いダメージはひどくはなかったが、こうしたステージでは、並外れたチームメートがいた方がいい。彼らは最後まで僕に付き添ってくれた。ボクはトーマスの自転車でゴールした。ツールは、僕らがパリのフィニッシュラインを通過するまでは終わらないというデモンストレーションだ。明日は過酷になるだろうが、それは最後の苦労だ」
 

 
パリの表彰台が見えてきたフランスのバルデ
パリの表彰台が見えてきたフランスのバルデ
 
パリへ凱旋する前日の7月23日は、いよいよアルプス最終区間となる。第20ステージはメジェーブをスタートし、モルズィヌ・アボリアズにゴールする146.5kmのコースだ。頂上ゴールではないが、序盤からカテゴリー2の峠を1つカテゴリー1の峠を2つ越え、最後は標高1691メートルでカテゴリー超級のジュー・プラーヌ峠を越える。

全長11.6kmで平均勾配8.5kmのジュー・プラーヌ登坂も見ものだが、頂上を越えた後の長い下り坂は最後の正念場になるだろう。その最終決戦を天が演出するかのように、アルプス最終日は雨の予報になっている。
 
MAP : ASO
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MAP : ASO
MAP : ASO
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■第19ステージ結果[7月22日/アルベールビル~サン・ジェルベ・モン・ブラン/146km]

1 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)4時間14分08秒
2 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+23秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+23秒
4 ルイ・メインティス(ランプレ・メリダ/南アフリカ)+23秒
5 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+26秒
6 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+28秒
7 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+28秒
8 ウォートル・プールス(スカイ/オランダ)+36秒
9 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)+36秒
10 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+53秒
13 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+56秒
23 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+4分26秒
166 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+31分28秒
■第19ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)82時間10分37秒
2 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+4分11秒
3 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+4分27秒
4 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+4分46秒
5 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+5分17秒
6 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+6分00秒
7 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+6分20秒
8 ルイ・メインティス(ランプレ・メリダ/南アフリカ)+7分02秒
9 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+7分10秒
10 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+7分42秒
117 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+3時間31分16秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)
■新人賞(マイヨ・ブラン):アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ/ポルトガル)
(http://www.letour.fr/us/)
 
















ツール第19ステージの公式ダイジェスト映像


Summary - Stage 19 (Albertville / Saint-Gervais... 投稿者 tourdefrance_en