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9月にオーストラリアで開催された「グランフォンド世界選手権」を、最速店長・岩島啓太がレポート!

レース
今年の「全日本最速店長選手権」で優勝したエイジサイクル・岩島啓太店長。彼はその激闘の前、9月4日にオーストラリア・パースで開催された「グランフォンド世界選手権」に初出場した。
「グランフォンド」という言葉にはまだ馴染みの薄い人も多いかもしれないが、長距離ホビーレースとして世界のアマチュアレーサーでは人気の高いレースのひとつだ。そしてUCI公認のシリーズ戦である「UCIグランフォンドワールドシリーズ」の上位完走者が出場資格を得ることができ、優勝者には「アルカンシェルジャージ(注:世界一の選手が着ることのできる虹色5色のラインが入ったジャージ。プロではペテル・サガン選手などでお馴染み)」が与えられるのが、この世界選手権となる。
現在発売中の本誌『サイクルスポーツ1月号』から彼の連載「最速店長日記」がスタートしたが、そのサブタイトル「世界最速アマチュアレーサーを目指す!」のゆえんとなるのがこのレースだ。別名「超合金」店長による、熱いレポートをどうぞ!

(text&photo:岩島啓太)

 
 「グランフォンド世界選手権」(以下、世界選)は世界各国14の予選会の結果、上位25%の強豪選手達が一堂に会し、UCI(国際自転車競技連合)が主催する、正真正銘アマチュア世界一を決める大会です。
アマチュア世界一への挑戦を明確に決めたのは、今年から予選会の1つとして北海道で初開催された「ニセコクラシック」で年代別チャンピオンを獲った後でした。
それまでは海外レースでは費用もかなりかかるため、「アマチュア世界一」とはあまり現実味が無い目標という感じでした。しかし、ニセコでの優勝やチームメイトの世界選手権への参戦表明もあり、世界一へ挑戦してみたくなりました。
 
それに向けて、7月10日のニセコクラシックから9月4日の世界選手権まで約2ヶ月、ほぼいつも通りのルーティンでトレーニングをこなしてきました。
一点世界選に向けてトレーニングで変えたことは、世界選のコースプロフィールをみるとゆるい坂しかなく、絶対的パワーが高いほうが有利だと思ったので、体重は無理に絞りすぎずに、ふだんの練習でも出力を意識したトレーニングを重点的に重ねたことです。ゆるめの坂での反復練習等がメインとなりました。
レース直前には、他チームの方々の練習会に参加し脚の感じを確かめ、いい仕上がりだったことを確認しました。
 
世界選会場のオーストラリア・パースには2日前の9月2日金曜日の朝入り、コースは飛行場から程近い為、輪行袋をロッカーに預け試走に出かけました。
 
レースコースは、前半は高速道路を使った平坦路約50kmを走ります。ここは試走できないので後半のアップダウン区間50kmを試走してみました。予想通りキツイ上りは無く、道も広くて綺麗なため最後まで集団で進むことが予想されます。
アップダウンの最後の方に道が細くなりカーブが続く区間があり、ここではペースが上がる可能性が高いと考えました。
 
レース前日の9月3日はチームメイトと共に観光やカフェやBBQを楽しんで、会場で受付を済ませたので、当日はリラックスして臨みました。
 

レース展開

9月4日レース当日、朝は気温が低くアームウォーマー、レッグウォーマーとウィンドブレーカーを着込んでスタート会場まで自走で向かいます。スタート1時間前に着きましたが、日本人選手しか集まっておらず、15~30分前にその他の国の選手が集まってきました。こんなところにも国民性の違いが出ていましたね。
 
スタートから50kmは高速道路上のコースです。風も強く飛び出して走るのは不利なため、集団の分断と落車を警戒しながら集団内で脚を溜めつつ走りました。早々に2名の逃げができ、100名の集団はまったりとしたペースに落ち着きました。「ツール・ド・おきなわ市民210km」のような落車多発の序盤を想像していましたが、世界選の選手達の走行テクニックは高く、落ち着きがあったので落車の心配は徐々に薄れました。
 
最初の丘に近づくとペースが上がり、ポジション取りが激しくなってきました。ここは皆様子見のようで100名の集団はほぼ分裂すること無く丘を越え、アップダウンコースに入りました。ここから1周50kmのコースを2周してゴールします。
 
そのまま後半の細い道の区間に入ります。集団の後方に位置してしまった為、チームメイトのオオタさんに声をかけ、集団の横から一気に中ほどまで上がります。
予想通り先頭はガンガン上げ始め、集団は一列棒状に。脚が攣る前兆を見せたのですが、できるだけ丁寧なペダリングを心掛け、サプリメントを飲んでその場をしのぎました。
ハイペースのまま、先ほども上ったコースで最長の丘に突入します。集団は一気に半分にまで絞られ50名弱に。
 
周回2周目に入り、集団内はほぼオーストラリア人選手になりました。その他で目立っていたのはイタリア人選手。長い上りがあれば一気に行ってしまいそうな、上りでの軽快さがありました。
際立って強い選手がわからないほど皆力が拮抗していて、つば迫り合いのような時間が刻一刻とゴールに向けて過ぎていきます。
 
2周目終盤の勝負どころに入りここから気を抜けないと思ったところで、何気ないカーブでコースアウトしてしまい集団内のポジションを落としてしまいました。ここを後方で入るのはきつい。伸びきった集団の後方にしがみつきます。気が付くとラストの丘の手前で30名ほどの集団になっていました。
ここからさらにイタリア人選手のアタックにより更にペースアップ。私はダンシングができないほど脚が疲弊していましたが、最後の力を振り絞りついていきます。
しかし目の前のイギリス人選手がふと脚を緩め、集団に着くのをやめてしまいました。私もその拍子で離れてしまい、その後は先頭集団にもう追いつけませんでした。
 
残り5kmの丘をなんとか這い上がりゴール、世界初挑戦は28位で終わりました。
優勝は南アフリカの選手、最後は20名弱のスプリント勝負だったようです。
勝負どころでは心拍は200bpmまで上がっており、レース後は30分はベンチに倒れてました。完璧に力を出しきって、負けたレースでした。
 
集団に最後まで残り世界との差を測りたかったところですが、ラスト5kmまで粘ったのでおよその目安にはなりました。この経験は次に活かします。
まだまだ実力が足りない、と痛感しましたが同時にワクワクもしました。
来年はロードレースの本場ヨーロッパ・フランスで世界選が行われます。更に強豪達が集まることと思います。今から鍛錬とフランス語の勉強ですね(笑)楽しみです!
 
エイジサイクル
住所/東京都日野市百草567-5
営業時間/10:00〜19:00(月〜土)、13:00〜19:00(日)
定休日/木曜日
☎050・5586・1560
http://eijicycle.com


本誌「サイクルスポーツ2017年1月号」より、岩島店長による「六代目最速店長日記」連載がスタート!こちらもあわせてチェックしよう!
http://www.cyclesports.jp/publishing_contents/2017/1