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山岳区間のツール・ド・フランス第9ステージはコロンビアのウランが区間初優勝
レース
2017.07.10
第104回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月9日にナンチュアからシャンベリーまでの181.5kmでカテゴリー超級の峠を3カ所越える山岳区間の第9ステージを競い、コロンビアのリゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック)が6人でのゴールスプリントを制し、30歳でツール区間初優勝を果たした。
ゴールスプリントでウランを差し、右手を上げて勝ち名乗りを上げたのは地元フランスのワレン・バルギル(チームサンウェブ)だった。しかし、写真判定でウランの優勝が確定した。
マイヨ・ジョーヌを着たクリストファー・フルーム(チームスカイ)は先頭の6人に入り、ゴールスプリントを競って区間3位でゴールしている。
コロンビアのナイロ・キンタナ(モビスターチーム)はフルームよりも1分15秒遅れでゴール、コロンビエール峠で落車したスペインのアルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード)は4分19秒遅れでゴールしている。
この日は下りの落車が相次ぎ、第8ステージ終了時点で総合2位だった英国のゲラント・トーマス(チームスカイ)がレース中盤にリタイア。総合5位だったオーストラリアのリッチー・ポート(BMCレーシングチーム)は、ゴールまで残り23kmの下り坂で転倒し、救急車で搬送されている。
ツール・ド・フランス第9ステージで落車続出! ポートとトーマスがリタイア
スタートから上り坂でデマールが遅れた
最初にアタックしたのはベルギーのティム・ウェレンス(ロット・スーダル)で、ティボ・ピノー(エフデジ)が合流。3.5km地点のカテゴリー2のコート・デ・ネルール峠山頂はピノがトップで通過した。
集団ではロベルト・ヘーシンク(チームロットNL・ユンボ)、マヌエーレ・モーリ(UAE・チームエミレーツ)、アンジェロ・チュリック(ディレクトエネルジー)が落車。チュリックはレースに復帰したが、ヘーシンクとモーリはレースをリタイアした。
6km地点で60人が集団から先行し、そこから9km地点で32人が先頭集団を作り、マイヨ・ジョーヌの集団に1分20秒差を付けた。11km地点のカテゴリー3のコル・ド・ベランタン峠山頂もピノーが先頭で通過した。
先頭集団で総合成績が最も上位だったのはカルロス・ベタンクール(モビスターチーム)で、フルームから3分17秒遅れの総合27位だった。先頭集団では下りでエドゥアルド・セプルベダ(チームフォルテュネオ・オスカロ)とヴェガールステイク・ラエンゲン (UAE・チームエミレーツ)が落車したが、レースに復帰した。
30km地点でチームスカイがコントロールするマイヨ・ジョーヌ集団と先頭集団のタイム差は2分25秒だった。38km地点のカテゴリー3の峠はトーマス・デヘント(ロット・スーダル)が先頭で通過。マイヨ・ジョーヌ集団とのタイム差は3分25秒になっていた。
46km地点で先頭集団は追走の選手が合流して39人なった。しかし、この日最初のカテゴリー超級の峠だった標高1316メートルのコル・ド・ラ・ビシュ峠の登坂が始まると、先頭集団から遅れる選手が出始めた。
60km地点でマイヨ・ジョーヌ集団と先頭の逃げ集団のタイム差は4分になり、ベタンクールがバーチャル・マイヨ・ジョーヌになった。67.5km地点のコル・ド・ラ・ビシュ峠山頂はプリモシュ・ログリッチ(チームロットNL・ユンボ)が先頭で通過した。
コル・ド・ラ・ビシュ峠の下り坂ではヘスス・エラダ(モビスターチーム)、バーフティヤール・コージャタイエフとアレクセイ・ルツェンコ(アスタナプロチーム)が落車したが、レースに復帰している。
この下り坂で先頭の逃げ集団からAG2R・ラモンディアルを3人含めた7人が抜け出し、先頭グループを作った。ここにバルギルは加わっていた。
マイヨ・ジョーヌ集団ではゲラント・トーマス(チームスカイ)とラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)が落車。マイカは負傷しながらもレースに復帰できたが、トーマスは救急車で病院へ搬送されてしまった。
82km地点でカテゴリー超級のコロンビエール峠(標高1501メートル)の登坂が始まり、先頭の7人からバルギル、ティーシュ・ブノート(ロット・スーダル)、ハーリンソン・パンタノ(トレック・セガフレード)、アレクシー・ヴュイエルモーズ (AG2R・ラモンディアル)がアタックして先行した。
マイヨ・ジョーヌ集団ではコロンビエール峠の登坂でコンタドールが落車したが、大した怪我はなく、チームメートのアシストでマイヨ・ジョーヌ集団に復帰できた。
91km地点のコロンビエール峠山頂はバルギルとブノートの2人が先頭で通過。20秒遅れでヴュイエルモーズ、25秒遅れでログリッチとモレマが続いた。マイヨ・ジョーヌ集団は6分後方だった。
下りで先頭の2人には次々と選手が合流し、ゴールまで残り67km地点で12人になった。ここにスプリンターのマイケル・マシューズ(チームサンウェブ)が加わっていたが、彼は126.5km地点の中間スプリント地点を1位で通過した後、集団に戻った。
中間スプリント地点で先頭集団からヤン・バークランツ(AG2R・ラモンディアル)とトニー・ガロパン(ロット・スーダル)がアタックし、ゴールまで残り46.5km地点のカテゴリー4の峠で後続に1分20秒差を付けた。マイヨ・ジョーヌ集団は30人ほどに絞られ、3分20秒遅れていた。
この日最後のカテゴリー超級のモン・デュ・シャ(標高1504メートル)のふもとで、2人はまだ後続に30秒差を付けていた。残り33kmでバークランツが脱落し、先頭はガロパン1人になった。しかし、山頂まで6km地点でバルギルに追い越されてしまった。マイヨ・ジョーヌ集団では総合争いの闘いがスタート。しかし、フルームが機材トラブルで自転車を交換した時には、一時休戦になった。
残り28kmを切って、イタリアチャンピオンのアルーやポートがアタックを開始。その時点でフルームにはもうアシストは残ってなかったが、ライバルたちの攻撃にしっかり反応していた。しかしその時点ですでにコンタドールの姿はなかった。
残り27kmでマイヨ・ジョーヌのフルームは自らアタックし、キンタナが脱落。アルーやロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)が遅れる場面もあったが、何とかフルームに付いて行くことができた。
ここでフルームのグループはアルー、ポート、ヤコブ・フルサング(アスタナプロチーム)、ウラン、ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ)、バルデの7人になっていた。
ゴールまで残り25.9kmのモン・デュ・シャ山頂をトップで通過したバルギルは、山岳賞総合トップに立ち、マイヨ・アポワを獲得した。しかし、マイヨ・ジョーヌのグループは24秒後に迫っていた。
優勝候補のポートが落車でリタイア!
ゴールまで残り22.8km、モン・デュ・シャ峠の下り坂でポートが転倒し、マーティンが巻き込まれる事故が発生。マーティンはレースに復帰出来たが、ポートはそのまま救急車で病院へ運ばれた。
この下り坂でバルデが先行し、残り11.6kmで先頭のバルギルに追いついた。フルームのグループではウランがディレーラーのトラブルに見舞われたが、マヴィックのニュートラルカーのお陰で遅れることはなかった。
モン・デュ・シャ峠を下り終えた後にあった、カテゴリーのない上り坂でバルギルは遅れ、先頭はバルデ1人になったが、フルームたちとのタイム差は30秒しかなかった。
バルギルが合流して5人になったフルームのグループは確実にバルデを追い詰め、ゴールまで残り2kmで捕らえることに成功した。そして最後は6人でのゴールスプリントになり、残り150メートルでスパートしたバルデに反応して先頭に立ったウランを後ろからバルギルが差す形になった。
バルギルは勝利を確信して右手を上げたが、ウランの車輪が先にフィニッシュラインを通過していた。ウランは2013年のブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージで、バルギルにゴールスプリントで負けたことがあったのだが、そのリベンジをやっと果たすことができた。
一方のバルギルは、ツールでの初区間優勝を逃してしまったが、マイヨ・アポワと敢闘賞を獲得している。
■ツールで区間初優勝したウランのコメント
「勝ったのかどうか確信がなかった。勝ったと言われた時はすごく幸せに感じたよ。今日はポートの落車のようにいろいろなことがあった後で、僕には大きなチャンスだった。ディレーラーが故障するトラブルもあったが、何とか区間優勝を競った。驚きだった。この難しいステージで勝てて本当にうれしい。総合成績もポジティブだ。僕のチームには素晴らしい一日だ」
■ツール区間初優勝を逃したバルギルのコメント
「4年前にウランを打ち負かしたけど、今日はフィニッシュラインの後で彼を追い越していた。逃げを作った努力の後で、最後は脚が重かった。勝利のために何とかスプリントして、2位でゴールしたのは快挙だよ。がっかりしたけど、今日ずっとチームが働いていたことは誇りに思っている」
この下り坂でバルデが先行し、残り11.6kmで先頭のバルギルに追いついた。フルームのグループではウランがディレーラーのトラブルに見舞われたが、マヴィックのニュートラルカーのお陰で遅れることはなかった。
モン・デュ・シャ峠を下り終えた後にあった、カテゴリーのない上り坂でバルギルは遅れ、先頭はバルデ1人になったが、フルームたちとのタイム差は30秒しかなかった。
バルギルが合流して5人になったフルームのグループは確実にバルデを追い詰め、ゴールまで残り2kmで捕らえることに成功した。そして最後は6人でのゴールスプリントになり、残り150メートルでスパートしたバルデに反応して先頭に立ったウランを後ろからバルギルが差す形になった。
バルギルは勝利を確信して右手を上げたが、ウランの車輪が先にフィニッシュラインを通過していた。ウランは2013年のブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージで、バルギルにゴールスプリントで負けたことがあったのだが、そのリベンジをやっと果たすことができた。
一方のバルギルは、ツールでの初区間優勝を逃してしまったが、マイヨ・アポワと敢闘賞を獲得している。
■ツールで区間初優勝したウランのコメント
「勝ったのかどうか確信がなかった。勝ったと言われた時はすごく幸せに感じたよ。今日はポートの落車のようにいろいろなことがあった後で、僕には大きなチャンスだった。ディレーラーが故障するトラブルもあったが、何とか区間優勝を競った。驚きだった。この難しいステージで勝てて本当にうれしい。総合成績もポジティブだ。僕のチームには素晴らしい一日だ」
■ツール区間初優勝を逃したバルギルのコメント
「4年前にウランを打ち負かしたけど、今日はフィニッシュラインの後で彼を追い越していた。逃げを作った努力の後で、最後は脚が重かった。勝利のために何とかスプリントして、2位でゴールしたのは快挙だよ。がっかりしたけど、今日ずっとチームが働いていたことは誇りに思っている」
■第9ステージ結果[7月9日/ナンチュア~シャンベリー/181.5km]
1 リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック/コロンビア)5時間07分22秒
2 ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)
3 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
4 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
5 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)
6 ヤコブ・フルサング(アスタナプロチーム/デンマーク)
7 ジョーシ・ベネット(チームロットNL・ユンボ/ニュージーランド)+1分15秒
8 ミケル・ランダ(チームスカイ/スペイン)+1分15秒
9 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+1分15秒
10 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+1分15秒
11 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)
20 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+4分19秒
137 ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ/ポーランド)+36分21秒
97 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+27分10秒
■第9ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)38時間26分28秒
2 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+18秒
3 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+51秒
4 リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック/コロンビア)+55秒
5 ヤコブ・フルサング(アスタナプロチーム/デンマーク)+1分37秒
6 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+1分44秒
7 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)+2分02秒
8 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+2分13秒
9 ミケル・ランダ(チームスカイ/スペイン)+3分06秒
10 ジョーシ・ベネット(チームロットNL・ユンボ/ニュージーランド)+3分53秒
12 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+5分15秒
43 ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ/ポーランド)+37分26秒
117 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+1時間12分54秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):マルセル・キッテル(クイックステップフロアーズ/ドイツ)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)
■新人賞(マイヨ・ブラン):サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)
■チーム成績:チームスカイ(英国)
■敢闘賞:ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)
(http://www.letour.fr/le-tour/2017/us/)
Quel sprint ! / What a sprint! #TDF2017 pic.twitter.com/MytbHO0Nuh
— Le Tour de France (@LeTour) 2017年7月9日
7月10日は最初の休養日
第9ステージ終了後、ツール一行は空路で南西部のドルドーニュへ移動。7月10日は今年最初の休養日となる。
休養日明けの7月11日は、ペリグーからベルジュラックまでの178kmで、平坦な第10ステージが行われる。