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中央山塊区間のツール・ド・フランス第15ステージはモレマが逃げ切り区間初優勝
レース
2017.07.17
第104回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月16日にレザック・セベラック・レグリーズからル・ピュイ・アン・ブレまでの189.5kmで中央山塊区間の第15ステージを競い、オランダのバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)が独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。
マイヨ・ジョーヌを着た英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)は、勝負どころで後輪が破損するトラブルに見舞われて遅れたが、チームメートたちのサポートでライバルたちに追いつくことができ、総合首位の座を守った。
カテゴリー1のナーブ・ドーブラック峠の上りが始まると、先頭はバルギル、ダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシングチーム)、セルジュ・パウエルス(チームディメンションデータ)、ディラン・ファンバールレ(キャノンデール・ドラパック)、ツガブ・グルマイ(バーレーン・メリダ)の5人になった。
集団ではベルギーのティム・ウェレンス(ロット・スーダル)がレースを棄権。彼は今年のツールでずっとアレルギーに苦しめられていた。山頂まで1kmで先頭はバルギル、カルーゾ、パウエルスの3人になり、28.5kmの山頂はマイヨ・アポワのバルギルが先頭で通過した。
集団からはナーブ・ドーブラック峠で19人が抜け出し、2分差で前を負っていた。そこには中間スプリントポイントを狙うマイケル・マシューズ(チームサンウェブ)やモレマが加わっていた。43.5km地点のカテゴリー3の山岳ポイントで先頭と追走グループは1分5秒差、集団は3分45秒差だった。
60km地点で追走グループが逃げに合流し、先頭は28人になった。チームスカイがコントロールするメイン集団とのタイム差は4分15秒になっていたが、先頭集団で最も総合成績が上位のカルーゾでも11分26秒遅れの総合14位だった。96km地点の中間スプリント地点はマシューズが先頭で通過。メイン集団はすでに6分以上後方だった。
ゴールまで残り66kmで、先頭の逃げ集団からトニー・マルティン(チームカチューシャ・アルペシン)がアタックし、得意のタイムトライアルスタイルで独走を始めた。マルティンは残り58kmで追走集団に1分差を付けて逃げ続けた。
終盤にそびえていたカテゴリー1のペラ・タイヤード峠の上りがゴールまで残り40kmで始まったとき、先頭のマルティンと追走集団は1分28秒、メイン集団は9分20秒差だった。
メイン集団ではペラ・タイヤード峠の前の下り坂でアージェードゥゼール・ラモンディアルが攻撃を開始し、集団はバラバラになってしまった。この重要な局面でマイヨ・ジョーヌのフルームは後輪が破損するトラブルに見舞われてしまった。
フルームはチームメートのミハウ・クフィアトコフスキー(チームスカイ)から後輪を借りてレースに復帰。彼を待っていたセルヒオ・エナオとミケル・ニエベに引かれて50秒先行したメイン集団を追いかけた。
先頭では、ペラ・タイヤード峠山頂まで残り3kmで、マイヨ・アポワのバルギルがマルティンを追い越した。彼はそのまま先頭を走り続け、ゴールまで残り31.8km地点の山頂をトップで通過して、山岳賞ポイントを稼いだ。
エナオ、ニエベが力尽き、フルームは自力でライバルたちを追わなければならなくなったが、ここでメイン集団に留まっていたミケル・ランダ(チームスカイ)がフルームを迎えるために後退。無事、マイヨ・ジョーヌをメイン集団に復帰させた。この時点でメイン集団はすでに10数人に減り、ナイロ・キンタナ(モビスターチーム)の姿はなかった。
ペラ・タイヤード峠をトップで通過した後、バルギルは後続の選手たちに吸収された。そこからゴールまで残り30kmでモレマが単独アタックを決め、2km先で後続に10秒差を付けて独走を続けた。
モレマのアドバンテージはゴールまで残り10kmでも20秒あった。バルギル、プリモシュ・ログリッチ(チームロットNL・ユンボ)、ディエゴ・ウリッシ(UAE・チームエミレーツ)、トニー・ガロパン(ロット・スーダル)が必死で追走したが、モレマとのタイム差は縮められなかった。
モレマはそのまま独走で逃げ切り、30歳でツール区間初優勝を果たした。それは2013年にブエルタ・ア・エスパーニャで区間初優勝して以来のグランツールでの区間優勝だった。
メイン集団では終盤のカテゴリー4の丘でマイヨ・ブランを着たサイモン・イエーツ(オリカ・スコット)がアタックしたが、抜け出すことはできなかった。しかしその後、ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ)が抜け出すことに成功し、14秒先行してゴール。総合6位から5位へ順位を上げた。この日、メイン集団よりも4分近く遅れてゴールしたキンタナは、総合トップ10から陥落してしまった。
■30歳でツール区間初優勝を果たしたモレマのコメント
「本当に素晴らしい。ツール・ド・フランスで区間優勝できてとてもうれしい。そのためにここ数年、一生懸命努力してきた。僕にとってそれは大きな目標だったんだ。チャンスが必要だったが、今日はたくさんのチームが逃げたいと望んでいた。先頭グループを捕まえるために、最初の上りはエンジン全開で走った。最終的には25人のグループになった。それが最初の目標だった。
その後、最後の30kmでトライしてみた。1人で走る長い道のりだった。最後に追走はすぐ近くにまで迫ってきたけど、僕はやり遂げたんだ。これまでの競技キャリアで最大の勝利だ。ツール・ド・フランスはいつも僕の夢だった。信じられないくらい幸せだよ」
■第15ステージ結果[7月16日/レザック・セベラック・レグリーズ〜ル・ピュイ・アン・ブレ/189.5km]
1 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)4時間41分47秒
2 ディエゴ・ウリッシ(UAE・チームエミレーツ/イタリア)+19秒
3 トニー・ガロパン(ロット・スーダル/フランス)+19秒
4 プリモシュ・ログリッチ(チームロットNL・ユンボ/スロベニア)+19秒
5 ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)+23秒
6 ニコラ・ロッシュ(BMCレーシングチーム/アイルランド)+1分00秒
7 リリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー/フランス)+1分04秒
8 ヤン・バーケランツ(AG2R・ラモンディアル/ベルギー)+1分04秒
9 ティボ・ピノー(FDJ/フランス)+1分04秒
10 セルジュ・パウエルス(チームディメンションデータ/ベルギー)+1分04秒
12 ダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシングチーム/イタリア)+1分04秒
25 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+6分11秒
27 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)+6分25秒
28 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+6分25秒
29 リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック/コロンビア)+6分25秒
31 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+6分25秒
33 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+6分25秒
34 ルイ・メインティス(UAE・チームエミレーツ/南アフリカ)+6分25秒
35 ミケル・ランダ(チームスカイ/スペイン)+6分25秒
36 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+6分25秒
46 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+10分19秒
67 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+18分00秒
■第15ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)64時間40分21秒
2 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+18秒
3 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+23秒
4 リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック/コロンビア)+29秒
5 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+1分12秒
6 ミケル・ランダ(チームスカイ/スペイン)+1分17秒
7 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)+2分02秒
8 ルイ・メインティス(UAE・チームエミレーツ/南アフリカ)+5分09秒
9 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+5分37秒
10 ダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシングチーム/イタリア)+6分05秒
11 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+6分16秒
112 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+2時間17分42秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):マルセル・キッテル(クイックステップフロアーズ/ドイツ)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)
■新人賞(マイヨ・ブラン):サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)
■チーム成績:チームスカイ(英国)
■敢闘賞:バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)
(http://www.letour.fr/le-tour/2017/us/)
7月17日は2度目の休養日
7月17日は2度目の休養日となり、18日からはいよいよ最終週がスタート。ル・ピュイ・アン・ブレからロマン・シュル・イゼールまでの165kmで、中央山塊からアルプスへの移動区間となる第16ステージが行われる。スタートしてすぐにカテゴリー3の丘を上り、前半にはカテゴリー4の丘もあるが、後半に山岳ポイントはなく、主催者は平坦区間の1つとみなしている。