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アルプス山岳区間のツール・ド・フランス第17ステージはログリッチが逃げ切り優勝

レース
photo : TDW/BettiniPhoto©2017
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第104回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月19日にラ・ミュールからセール・シュバリエまでの183kmでアルプス山岳初日となる第17ステージを競い、プリモシュ・ログリッチ(チームロットNL・ユンボ)が逃げ切り、区間初優勝した。スロベニア人選手がツールで区間優勝したのは初めてだった。

マイヨ・ジョーヌを着た英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)は、ログリッチがゴールした1分13秒後にボーナスタイム争いのスプリントを競い、リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック)には負けたが、区間3位に入って4秒のボーナスタイムを獲得した。フランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)は区間4位でボーナスタイムを獲得できなかった。

前日まで総合2位に付けていたイタリアチャンピオンのファビオ・アルー(アスタナプロチーム)は、フルームのグループよりも31秒遅れてゴール。総合成績は53秒遅れとなり、区間4位で表彰台圏内から陥落してしまった。代わって区間2位で6秒のボーナスタイムを獲得したウランが、27秒遅れの総合2位に浮上した。しかし、総合3位のバルデとは同タイムだ。

この日はポイント賞総合リーダーのマイヨ・ベールを着ていたドイツのマルセル・キッテル(クイックステップフロアーズ)が、落車した影響でレースを途中リタイア。マイヨ・ベールは予期せぬ形でオーストラリアのマイケル・マシューズ(チームサンウェブ)の手に渡った。
 
 
photo : TDW/BettiniPhoto©2017
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20km地点でキッテルが落車

MAP : ASO
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アルプス初日の第17ステージは快晴で気温は27度C。マルセル・ジーベルク(ロット・スーダル)が出走せず、172選手がスタート。すぐにアタックがかかり始めたが、抜け出せる選手はいなかった。

20km地点で落車が発生し、マイヨ・アポワのワレン・バルギル(チームサンウェブ)、マイヨ・ベールのキッテル、英国チャンピオンのスティーブン・カミングス(チームディメンションデータ)らが巻き込まれた。キッテルはすぐに自転車に乗ってレースに復帰したが、シューズが壊れて交換しなければならなかった。

落車事故が発生した直後に、集団から33人の選手がアタックし、27km地点で3分15秒差を付けていた。この逃げにはマシューズ、ログリッチ、トマス・デヘント(ロット・スーダル)、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)が加わっていた。ログリッチは落車したが、すぐ逃げ集団に復帰した。

30km地点のカテゴリー2のオルノン峠山頂は、マシューズがチームメートのバルギルをアシストするためにトップで通過し、デヘントの獲得ポイントを最小限にした。マシューズとデヘントはそのまま下りで先行し、37.5km地点で後続に15秒差を付けていた。

5分遅れの集団ではアレクサンダー・クリストフ(チームカチューシャ・アルペシン)が落車して負傷したが、レースに復帰した。

47.5km地点の中間スプリントをトップで通過した20ポイント獲得したマシューズは、ここでポイント賞総合首位のキッテルとのポイント差を9ポイントにまで詰めた。50km地点でマシューズとデヘントは後続に1分以上のタイム差を付けて先頭を走り続けた。

カテゴリー超級のクロワ・ド・フェール峠の登坂が始まり、集団ではナイロ・キンタナ(モビスターチーム)がアタックを試みたが、失敗に終わった。次にコンタドールがアタックし、キンタナが続いたが、彼には付いていく脚がなかった。

クロワ・ド・フェール峠の中腹で、コンタドールはチームメートのモレマがいる集団に合流。先頭の2人を追走した。そこからダニエル・ナバロ(コフィディス)が抜け出し、山頂まで8kmで先頭に合流した。

マシューズは山頂まで残り3kmでコンタドールのグループに追い抜かれたが、ドヘントとナバロは27秒差を付けて山頂をトップで通過した。3分25秒遅れの集団の後方では、フランスのティボ・ピノーがレースをリタイア。エフデジ(FDJ)は残り3人になってしまった。

ゴールまで残り89kmで、デヘントとナバロはコンタドールのグループに吸収され、先頭は24人になった。後方ではマイヨ・ベールのキッテルがレースを棄権した。残り70kmでトレック・セガフレードが引く先頭の逃げ集団と、チームスカイがコントロールする50人ほどのマイヨ・ジョーヌ集団のタイム差は3分15秒だった。

テレグラフ峠の登坂が始まる前にコンタドールは機材トラブルに見舞われて自転車を交換したが、すぐ逃げ集団に合流できた。テレグラフ峠が始まると先頭集団は次第に小さくなり、山頂まで5kmで12人になっていた。カテゴリー1の山頂はログリッチが先頭で通過し、マイヨ・ジョーヌ集団とのタイム差は3分40秒だった。
 
 

今年最高峰のガリビエ峠でログリッチがアタック!

テレグラフ峠を越えてすぐに始まった今大会最高峰のガリビエ峠で、最初にアタックしたのはログリッチだったが、コンタドールとセルジュ・パウエルス(チームディメンションデータ)が付いていった。さらにダーウィン・アタプマ(UAE・チームエミレーツ)とマティアス・フランク(AG2R・ラモンディアル)が合流し、山頂まで11kmで先頭は5人になった。

標高2642メートルの山頂まで残り8kmで先頭グループからパウエルスがアタックしたが、ログリッチがそれを許さず、1km先で吸収した。そこからログリッチが自らアタックすると、付いていける選手はいなかった。すぐにタイム差は30秒以上になり、アタプマが単独で追いかけたが、ログリッチの背中を見ることはなかった。

2分半後方のマイヨ・ジョーヌ集団ではダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ)がアタックして先行したが、2km先で吸収された。バルギルがアタックしたあと、バルデが攻撃を開始。フルーム、ウラン、マーティンは応戦できたが、アルー、メインティス、イエーツは遅れ始めた。

バルデは攻撃を続けたが、今大会最高峰の峠でマイヨ・ジョーヌのフルームとウランを窮地に陥れることはできなかった。5000ユーロのアンリ・デグランジュ賞がかけられたガリビエ山頂をログリッチが独走で通過した後、マイヨ・ジョーヌのグループはコンタドールを吸収し、1分37秒遅れで山頂を通過した。

下りでマイヨ・ジョーヌのグループはフルーム、バルデ、ウラン、ミケル・ランダ(チームスカイ)、バルギルの5人になったが、残り10kmで先頭のログリッチとのタイム差はまだ1分以上開いていた。アルーとマーティンはここですでに30秒以上遅れていて、マイヨ・ブランのイエーツはさらに後方だった。

ログリッチはそのタイム差を守りきり、独走でセール・シュバリエのゴールに到着した。27歳のログリッチはスキーから自転車競技に転向した選手で、昨年のジロ・デ・イタリアでは第9ステージの個人タイムトライアルで優勝していた。

スキー場のセール・シュバリエで区間初優勝した元スキージャンパーのログリッチは、表彰台の上で見事な着地姿勢を見せてくれた。
 
 
■スロベニア初のツール区間優勝者になったログリッチのコメント
「ツール・ド・フランスで最初のスロベニア人区間優勝者になれて素晴らしい気分だ。でも、僕は22歳になるまで自転車選手ではなかったのに、スロベニアの自転車競技の歴史を作ることができたのもすごいよ。

ツールのステージで勝つ夢を見ていたから、自転車競技を始めた。でも、夢と現実は違うものだ。ただツールに参加するだけで、僕にとっては素晴らしいことだった。自分に区間優勝する能力があると実感するなんて信じられない。今日のレースで重要な瞬間は、先頭グループから抜け出した時だった。すごい気分だったよ」
 
 
キッテルがリタイアしたため、マイヨ・ベールはマシューズが獲得した
キッテルがリタイアしたため、マイヨ・ベールはマシューズが獲得した


■第17ステージ結果[7月19日/ラ・ミュール〜セール・シュバリエ/183km]
1 プリモシュ・ログリッチ(チームロットNL・ユンボ/スロベニア)5時間07分41秒
2 リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック/コロンビア)+1分13秒
3 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+1分13秒
4 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+1分13秒
5 ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)+1分13秒
6 ミケル・ランダ(チームスカイ/スペイン)+1分16秒
7 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+1分43秒
8 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+1分44秒
9 ルイ・メインティス(UAE・チームエミレーツ/南アフリカ)+1分44秒
10 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+1分44秒
14 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)+3分14秒
23 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+7分47秒
141 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+33分41秒
■第17ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)73時間27分26秒
2 リゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック/コロンビア)+27秒
3 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+27秒
4 ファビオ・アルー(アスタナプロチーム/イタリア)+53秒
5 ミケル・ランダ(チームスカイ/スペイン)+1分24秒
6 ダニエル・マーティン(クイックステップフロアーズ/アイルランド)+2分37秒
7 サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)+4分07秒
8 ルイ・メインティス(UAE・チームエミレーツ/南アフリカ)+6分35秒
9 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)+7分45秒
10 ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)+8分52秒
12 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+12分54秒
108 新城幸也(バーレーン・メリダ/日本)+2時間51分47秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):マイケル・マシューズ(チームサンウェブ/オーストラリア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)
■新人賞(マイヨ・ブラン):サイモン・イエーツ(オリカ・スコット/英国)
■チーム成績:チームスカイ(英国)
■敢闘賞:アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレード/スペイン)

[ポイント賞総合成績]
1 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ/オーストラリア)364pts
2 アンドレ・グライペル(ロット・スーダル/ドイツ)204pts
3 アレクサンダー・クリストフ(チームカチューシャ・アルペシン/ノルウエー)
[山岳賞総合成績]
1 ワレン・バルギル(チームサンウェブ/フランス)129pts
2 プリモシュ・ログリッチ(チームロットNL・ユンボ/スロベニア)80pts
3 トマス・デヘント(ロット・スーダル/ベルギー)61pts

(http://www.letour.fr/le-tour/2017/us/)
 
 

アルプス最終決戦は初めてゴールになるイゾアール山!

MAP : GEOATRAS / ASO
MAP : GEOATRAS / ASO
MAP : ASO
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MAP : ASO
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7月20日はいよいよ今年のツールで最後の山岳区間となる、アルプス2日目の第18ステージがブリアンソンから標高2360メートルのイゾアール山頂までの179.5kmで行われる。これまでツールはイゾアール山を何度も通過してきたが、ゴールになるのは史上初だ。

カテゴリー超級のイゾアール山の登坂は全長14.1kmで、平均勾配は7.3%だが、後半は9%のエリアが続く。アルプス最終日には、中盤にバール峠も越えなければならない。標高2109メートルでカテゴリー1のバール峠は全長9.3%で平均勾配は7.5%だ。

今年のツール・ド・フランスは、最終日前日に22.5kmの個人タイムトライアルが設定されているので、バルデとウランが総合優勝を目指すのであれば、このアルプス最終日に何としてもフルームに大差を付けなければならない。
 
 

第17ステージのハイライト映像


Summary - Stage 17 - Tour de France 2017 投稿者 tourdefrance_en