ニュース

旧三池炭鉱レールバイク整備に着手、早ければ2024年に部分利用可能に

その他
世界文化遺産に指定された旧三池炭鉱の魅力を伝えようと、福岡県大牟田市は2018年度から専用鉄道敷跡を利用したレールバイクの整備を始める。旧炭鉱関連施設の保存や公開、活用に向けた事業の一環で、早ければ24年度にもレールバイクの利用が始まる見込み。
 

「体験通じて産業遺産を知ってほしい」

旧三池炭鉱・宮原坑の竪坑櫓と線路敷跡(大牟田市提供)
旧三池炭鉱・宮原坑の竪坑櫓と線路敷跡(大牟田市提供)
線路敷跡に残されたコンクリート製の枕木。ここにレールを敷いてレールバイクを走らせる計画だ(同)
線路敷跡に残されたコンクリート製の枕木。ここにレールを敷いてレールバイクを走らせる計画だ(同)
レールバイクは、自転車を2台横に並べて線路を走れる乗り物。市内にある旧三池炭鉱宮原(みやのはら)坑前と万田駅の間の約1.5kmにレールバイク区間が整備される。現在、同区間はレールが取り除かれ、コンクリート製の枕木が残っている状態という。18年度から3年かけて測量や遺構の発掘調査などを行なった後、段階的に整備していく。

市は遅くとも26年度中には全区間を整備したい考え。整備を終えた区間から順次、部分利用する可能性もある。その場合には24年度以降に順次利用できるようになる。
旧三池炭鉱は明治以降の日本の近代化を支えたが、1997年に閉山。炭鉱と関連施設が2015年、近代日本の産業遺産群の1つとして世界遺産に登録された。大牟田市内には宮原坑の竪坑櫓(たてこうやぐら)などが現存するが、「同じ世界遺産でも、例えば京都などと違って産業遺産の魅力を伝えるのには工夫が必要」(市世界遺産・文化財室)。

レールバイクは旧神岡鉄道の線路を利用した「ガッタンゴー」(岐阜県飛騨市)などが知られ、人気を博している。今回の導入について市担当者は「訪れた人が体験を通じて、世界遺産としての旧三池炭鉱の価値を感じられるようにしたい」と話している。(斉藤円華)


大牟田の近代化産業遺産(大牟田市)