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落車で混沌となったツール・ド・フランス第2ステージはサガンが優勝してマイヨ・ジョーヌを獲得

レース
落車で小さくなった集団でのゴールスプリントを制した世界チャンピオンのサガン (©Bettiniphoto)
落車で小さくなった集団でのゴールスプリントを制した世界チャンピオンのサガン (©Bettiniphoto)

第105回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月8日にムイユロン・サン・ジェルマンからラ・ロッシュ・シュル・ヨンまでの182.5kmで第2ステージを競い、最終コーナーの落車から逃れた数10人でのゴールスプリントになり、世界チャンピオンのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が優勝した。

この日、マイヨ・ジョーヌを着ていたコロンビアのフェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)は、最後の落車に巻き込まれて遅れたため、区間優勝でボーナスタイムを獲得したサガンが総合首位に立ち、マイヨ・ジョーヌを獲得した。
 

第1ステージに続いてこの日も終盤に落車が続発。残り40kmで落車したスペインのルイスレオン・サンチェス(アスタナ)は、レースを続行できずにリタイアした。病院で検査した結果、彼は左肘と肋骨を4本を骨折していたことが判明している。


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サガンはボーラ・ハンスグローエに初めてのマイヨ・ジョーヌをもたらした (©Bettiniphoto)
サガンはボーラ・ハンスグローエに初めてのマイヨ・ジョーヌをもたらした (©Bettiniphoto)

39歳のシャヴァネルが独走!

MAP : ASO
MAP : ASO
フランス西部のペイ・ド・ラ・ロワール地方バンデー県2日目の第2ステージは、快晴で気温は30度Cを超えた。前日に落車した米国のローソン・クラドック(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)は、左肩甲骨に小さな骨折が見つかり、左眉の上も切って縫合したが、レースを続行。176選手が出走した。

ポイント賞のマイヨ・ベールは、2位のペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が世界チャンピオンのアルカンシエルを着用することを望んだだめ、3位のマルセル・キッテルが着用してスタートした。新人賞のマイヨ・ブランは2位のディラン・フルーネウェーヘン(チームロットNL・ユンボ)が着用した。

オフィシャルスタートからバンデー県の地元チームであるディレクトエネルジーが活発に動き、3km地点でシルヴァン・シャヴァネル(ディレクトエネルジー)、ディオン・スミス(ワンティ・グループゴベール)、ミヒャエル・ゴークル(トレック・セガフレード)の3人が逃げ出すことに成功した。

28km地点のカテゴリー4の丘は、スミスが先頭で通過。彼はニュージーランド人で初めてツール山岳賞のマイヨ・アポワを獲得しただけでなく、ベルギーのワンティ・グループゴベールに、初のツール4賞ジャージをもたらした。

ゴークルは右足の痛みを訴えて逃げグループから脱落。スミスも集団に戻り、先頭は35km地点でシャヴァネル1人になってしまった。しかし、彼は諦めることなく、独走を続けた。ゴールまで残り100kmで、シャヴァネルはクイックステップフロアーズがコントロールするメイン集団に4分以上のタイム差を付けていた。

86km地点の補給所で、エリトリアのツガブ・グルマイ(トレック・セガフレード)が自転車を降り、今年のツールで最初のリタイアになった。原因は重度の腹痛だった。

ゴールまで残り50.5kmの中間スプリント地点でタイム差はまだ3分半あった。メイン集団は世界チャンピオンのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が先頭で通過し、マイヨ・ジョーヌのフェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)、アレクサンダー・クリストフ(UAEチーム・エミレーツ)が続いた。

第2ステージも終盤に落車と機材トラブルが続出。ゴールまで残り40kmの交通島で、スペインのルイスレオン・サンチェス(アスタナ)が落車。彼はレースを続行することができず、救急車に乗ることを選択した。

残り31kmではアダム・イエーツ(ミッチェルトン・スコット)、シルヴァン・ディリエール(AG2R・ラモンディアル)、ヘスス・エラダ(コフィディス)が落車。自転車を交換したイエーツは、一時集団から50秒近く遅れたが、チームメートのアシストですぐに戻ることができた。残り23kmではスプリンターのアルノー・デマール(グルパマ・FDJ)がパンクで遅れたが、彼も集団に戻ることができた。

ゴールまで残り14kmのボーナス地点を先頭で通過して3秒のボーナスタイムを獲得したあと、シャヴァネルはメイン集団に捕まった。彼は第2ステージの敢闘賞を獲得し、翌日は赤ゼッケンを付けて走ることになった。
 
 
170km逃げ続けたシャヴァネルは敢闘賞の赤ゼッケンを獲得した (©Bettiniphoto)
170km逃げ続けたシャヴァネルは敢闘賞の赤ゼッケンを獲得した (©Bettiniphoto)

最終コーナーの落車にマイヨ・ジョーヌのガビリアが巻き込まれた

残り7.7kmで、マイヨ・ベールを着たキッテルが機材故障に見舞われて自転車を交換し、この日は集団ゴールスプリントに加わることができなかった。残り5.6kmでは、集団の真ん中でルーク・ダルブリッジ(ミッチェルトン・スコット)が転倒したが、幸い大したケガはなかった。

メイン集団の先頭はボーラ・ハンスグローエ、クイックステップフロアーズ、ロット・スーダルが引き続けて残り2kmの最後のカーブに突入した。ここで落車が発生し、マイヨ・ジョーヌを着たガビリアや、マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)、ダリル・インピー(ミッチェルトン・スコット)らが巻き込まれてしまった。

この落車で集団は分断され、先頭は20人ほどの小さなグループになったが、サガンは難を逃れてそこに加わっていた。最後は早めにスパートしたデマールを難なく追い抜いたサガンを、イタリアのソンニ・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)が必死に追い詰めたが、フィニッシュラインで世界チャンピオンを追い抜くことはできなかった。

ツールで区間通算9勝目を上げたサガンは、10秒のボーナスタイムを獲得して総合首位に立ち、マイヨ・ジョーヌを獲得した。彼は2016年にもマイヨ・ジョーヌを着ているが、ドイツのボーラ・ハンスグローエにとっては初めてのマイヨ・ジョーヌだった。


■区間優勝してマイヨ・ジョーヌも獲得したサガンのコメント
「ボクはチームメートたちにとても感謝しなければならない。最後の30kmを彼らは先頭で走り続けた。最後は予想よりもいくぶん簡単だったが、アップダウンがあるとてもタフなコースだった。

自分のスプリントを開始するのは、できる限り長く待つのが良いと思った。デマールはデゲンコルプと一緒にスタートした。ボクは彼らを追い越すことができた。コルブレッリがボクを追い抜くのに十分速く飛び出さなかったから、ボクはとてもラッキーだった。

またマイヨ・ジョーヌを獲得できてとてもうれしいよ。これを1日か、あるいはもう少し着られるのは、いつも特別だ。チームタイムトライアルの後もこれを守れるように、ボクたちは努力するだろう。全ては可能だ」



■山岳賞のマイヨ・アポワを獲得したスミスのコメント
「表彰台に上がるのはものすごく特別だ。ボクはマイヨ・アポワを着た最初のキウイ(ニュージーランド人)だ。こうやって自分の国とワンティ・グループゴベールを代表するのは、とても大きなことだ。

今朝の計画は、このジャージを獲得するか、あるいは少なくとも1ポイントを獲得し、後日のために集団に留まってエネルギーをセーブすることだった。明日はチームタイムトライアルだから、ボクがこれを守るのは確実だし、その次のステージもキープするつもりだ。その後は、どうなるかは様子を見よう。

ボクたちには総合の選手であるギヨーム・マルタンがいて、チームタイムトライアルはチームにとって非常に重要だ。目標は、皆ができる限りフレッシュな状態を保つことだ。ボクが集団に戻ったのは、それが主な理由だ。難しい決断だったけれど、それはチームのオーダーだったし、確かにボクは彼らに同意するよ」

 
 
ニュージーランドのスミスはワンティ・グループゴベールに初のツール4賞ジャージをもたらした (©Bettiniphoto)
ニュージーランドのスミスはワンティ・グループゴベールに初のツール4賞ジャージをもたらした (©Bettiniphoto)
 
■第2ステージ結果[7月8日/ムイユロン・サン・ジェルマン〜ラ・ロッシュ・シュル・ヨン/182.5km]

1. PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK) 4H 06' 37''
2. SONNY COLBRELLI (BAHRAIN - MERIDA / ITA)
3. ARNAUD DEMARE (GROUPAMA - FDJ / FRA)    
4. ANDRÉ GREIPEL (LOTTO SOUDAL / GER)
5. ALEXANDER KRISTOFF (UAE TEAM EMIRATES / NOR)
6. TIMOTHY DUPONT (WANTY - GROUPE GOBERT / BEL)
7. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP)
8. ANDREA PASQUALON (WANTY - GROUPE GOBERT / ITA)
9. JOHN DEGENKOLB (TREK - SEGAFREDO /GER)
10. PHILIPPE GILBERT (QUICK - STEP FLOORS / BEL)

■第2ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK) 8H 29' 53''
2. FERNANDO GAVIRIA (QUICK - STEP FLOORS / COL) +06''
3. SONNY COLBRELLI (BAHRAIN - MERIDA / ITA) +10''
4. MARCEL KITTEL (TEAM KATUSHA ALPECIN / GER) +12''
5. SYLVAIN CHAVANEL (DIRECT ENERGIE / FRA) +13''
6. PHILIPPE GILBERT (QUICK - STEP FLOORS / BEL) +14''
7. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) +15''
8. OLIVER NAESEN (AG2R LA MONDIALE / BEL) +15''
9. ALEXANDER KRISTOFF (UAE TEAM EMIRATES / NOR) +16''
10. JOHN DEGENKOLB (TREK - SEGAFREDO /GER) +16''

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK)
※第3ステージはクリストフが着用
■山岳賞(マイヨ・アポワ):DION SMITH (WANTY - GROUPE GOBERT / NZL)
■新人賞(マイヨ・ブラン):FERNANDO GAVIRIA (QUICK - STEP FLOORS / COL) 
■チーム成績:QUICK - STEP FLOORS 
■敢闘賞:SYLVAIN CHAVANEL (DIRECT ENERGIE / FRA) 
 

 (ツール公式サイト
 
 

第3ステージは明暗を分けるチームタイムトライアル

MAP : ASO
MAP : ASO
MAP : ASO
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7月9日の第3ステージは、ショレで35.5kmのチームタイムトライアルが行われる。スタートしてすぐに4〜5%の上りがあり、いくつもの丘越えとコーナーがあるテクニカルなコースで、多くのチームがタイムを失うことを恐れている。

各チームは5分間隔でスタート。フィニッシュラインを4番目に通過した選手のタイムが計測される。

2ステージを終えてカザフスタンのアスタナプロチームと米国のトレック・セガフレートは、すでに選手が1人少ない7人になっているので、厳しいレースとなるだろう。

メンバーは8人揃っていても、落車で負傷した選手を抱えているチームもあり、それが明暗を分けることになりそうだ。






第3ステージのスタート時間]※現地時間

15:10  ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
15:15  チームスカイ(英国)
15:20  モビスターチーム(スペイン)
15:25  グルパマ・FDJ(フランス)
15:30  BMCレーシングチーム(米国)
15:35  チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール(米国)
15:40  UAE・チームエミレーツ(アラブ首長国連邦)
15:45  AG2R・ラモンディアル(フランス)
15:50  チームフォルチュネオ・サムシック(フランス)
15:55  ディレクトエネルジー(フランス)
16:00  ロット・スーダル(ベルギー)
16:05  チームロットNL・ユンボ(オランダ)
16:10  コフィディス ソリューションクレディ(フランス)
16:15  チームサンウェブ(ドイツ)
16:20  チームディメンションデータ(南アフリカ)
16:25  チームカチューシャ・アルペシン(スイス)
16:30  バーレーン・メリダ(バーレーン)
16:35  トレック・セガフレード(米国)
16:40  アスタナプロチーム(カザフスタン)
16:45  ワンティ・グループゴベール(ベルギー)
16:50  クイックステップフロアーズ(ベルギー)
16:55  ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)


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第2ステージのハイライト映像