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ミュール・ド・ブルターニュがゴールのツール・ド・フランス第6ステージはアイルランドのマーティンが優勝

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ミュール・ド・ブルターニュの激坂勝負を制したマーティン (©Bettiniphoto)
ミュール・ド・ブルターニュの激坂勝負を制したマーティン (©Bettiniphoto)
 
第105回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月12日にブルターニュ地方の港町ブレストからカテゴリー3のミュール・ド・ブルターニュ・ゲルレダンまでの181kmで第6ステージを競い、アイルランドのダニエル・マーティン(UAEチーム・エミレーツ)が残り1.2kmからのアタックを決めて区間優勝した。

マイヨ・ジョーヌを着たベルギーのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシングチーム)は、3秒遅れの区間12位でゴールし、総合首位の座を守った。

この日は終盤に機材トラブルが続発。オランダのトム・ドゥムラン(チームサンウェブ)は、ゴールまで残り5.7kmでパンクに見舞われて車輪交換で止まり、チームメートたちに引かれてゴールを目指したが、53秒遅れてしまった。

フランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)は残り4kmで後輪が破損し、チームメートのトニー・ガロパンの自転車を借りてレースを続けたが、31秒遅れてしまった。



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クイックステップフロアーズの加速でメイン集団が分断

MAP : ASO
MAP : ASO
第6ステージは170選手が出走。気温は24度Cで快晴だった。オフィシャルスタートと同時に地元フランスのダミアン・ゴダン(ディレクトエネルジー)がアタックし、チームメートのファビアン・グレリエ(ディレクトエネルジー)、ローラン・ピション(チームフォルチュネオ・サムシック)、ディオン・スミス(ワンティ・グループゴベール)、アントニー・テュルジス(コフィディス)が加わってこの日の逃げが形成された。

集団はこの逃げを許したため、20km地点でタイム差は5分になった。44km地点のカテゴリー3の丘は、第2ステージで一度山岳賞のマイヨ・アポワを獲得したニュージーランドのスミスが、先頭で通過して2ポイントを稼いだ。52km地点でタイム差は6分40秒になった。

68.5km地点のカテゴリー4の丘もスミスが先頭で通過して1ポイントを獲得したが、ラトビアのトームス・スクインシュ(トレック・セガフレード)からマイヨ・アポワを奪うには、もう1ポイント獲得する必要があった。

逃げとのタイム差が65km地点で7分以上になり、クイックステップフロアーズがメイン集団の先頭で仕事を開始。この加速で集団は3つに分断した。第2集団にはナイロ・キンタナ(モビスターチーム)、ビンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)、イルヌール・ザカリン(チームカチューシャ・アルペシン)、ヤコブ・フルサング(アスタナプロチーム)、マーティンが入っていたが、アスタナとモビスターが追い上げてメイン集団に合流した。

プリモシュ・ログリッチ(チームロットNL・ユンボ)はさらに後方の集団に取り残されてしまったが、チームの働きで集団に戻ることができた。ところがその後、残り69kmの交通島でログリッチは落車。この日は2度も集団を追わなければならなくなった。

逃げグループでは残り46km地点にあった中間スプリント地点をピションが先頭で通過した後、ゴダンが単独でアタックして独走したが、残り25kmで捕まり、先頭はふたたび5人になった。中間スプリント地点でメイン集団は2分遅れだった。

メイン集団では残り27kmで落車があり、ベルギーチャンピオンのイヴ・ランパールト(クイックステップフロアーズ)やフルサングが巻き込まれたが、集団に戻ることができた。

ゴールまで残り21kmでゴダンが遅れ、先頭は4人になった。そこから残り19kmでグレリエがアタックしたが、ミュール・ド・ブルターニュの1回目の通過が迫り、メイン集団はすぐ後方に迫っていた。

2km続くミュール・ド・ブルターニュの坂の途中でグレリエが吸収され、この日の逃げは終了した。残り16km、カテゴリー3のコントロールラインの手前でマイヨ・アポワを着たスクインシュが集団から飛び出し、2ポイントを獲得して山岳賞トップの座を守った。

コントロールラインを通過した後、集団からジャック・バウアー(ミッチェルトン・スコット)がアタックし、独走を開始。彼は残り12.8km地点にあったボーナス地点を28秒先行してトップで通過した。集団では英国のゲラント・トーマス(チームスカイ)が飛び出し、2秒のボーナスタイムを獲得。総合首位のヴァンアーヴェルマートとのタイム差を3秒に縮めた。

メイン集団はBMCレーシングチームとボーラ・ハンスグローエが引き続けたが、バウアーは10数秒差で逃げ続けた。残り5.7kmでドゥムランがパンクし、車輪交換でストップ。彼は前を追うのにチームカーの後方を走り続けてしまい、20秒のペナルティタイムを食らってしまった。

さらに残り4kmを切ったところで、今度はバルデの自転車にアクシデントが発生した。その間に、チームスカイが引くメイン集団は逃げていたバウアーを捕まえていた。

2度目のミュール・ド・ブルターニュの激坂は、ダニエル・オス(ボーラ・ハンスグローエ)が先頭で上り始めた。そこからフラムルージュの手前でマーティンがアタックし大きくリードした。残り500メートルでピエール・ラトゥール(AG2R・ラモンディアル)が集団から飛び出し、先頭のマーティンを追ったが、追いつくことはできなかった。

マーティンは2015年のミュール・ド・ブルターニュ区間で2位になっていて、ついにブルターニュの激坂を制することができた。彼は2013年にもツールで区間優勝しているため、これが2度目の区間優勝だった。

マイヨ・ジョーヌ集団は3秒遅れでゴールしたが、英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)は8秒遅れ、コロンビアのリゴベルト・ウラン(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)は11秒遅れてしまい、総合でのタイムをわずかに失った。


■ツールで2度目の区間優勝を果たしたマーティンのコメント
「ツールのステージで再び勝つことは、実際素晴らしい気分だ。前回はここで2位だった。向かい風のせいで、ボクはちょっと神経質になっていた。最初にこの上りを上った時、みんなが限界に来ているのを見た。ボクにはチームメートが残っていなかった。だからトライしたのさ。

昨日も行きたかったが、今日ほど上りがキツくなかった。今日の勝利は間違いなく総合争いのための自信を増幅させる。前回ここで2位になったときには、ボクはその前にちょっとタイムを失ってしまっていた。今年は可能な限り頑張って総合成績のために走るつもりだ。でもこの勝利で、このツールはすでに成功しているよ」
 
 
ブルターニュ地方の沿道は大勢の観客で埋め尽くされていた (©Bettiniphoto)
ブルターニュ地方の沿道は大勢の観客で埋め尽くされていた (©Bettiniphoto)
 
■第6ステージ結果[7月12日/ブレスト〜ミュール・ド・ブルターニュ・ゲルレダン/181km]

1. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) 04H 13' 43''    
2. PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA)    +01''
3. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) +03''
4. JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS /FRA) +03''
5. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE /POL) +03''
6. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT /AUS)    +03''
7. BAUKE MOLLEMA (TREK - SEGAFREDO / NED) +03''
8. PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE /SVK) +03''
9. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) +03''
10. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +03''

11. RICHIE PORTE (BMC RACING TEAM / AUS) +03''
12. GREG VAN AVERMAET (BMC RACING TEAM / BEL) +03''
13. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) +03''
14. VINCENZO NIBALI (BAHRAIN - MERIDA / ITA) +03''
15. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +03''
16. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +03''
17. TEJAY VAN GARDEREN (BMC RACING TEAM / USA)+06''
18. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +08''
19. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) +11''
23. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) +12''
31. PHILIPPE GILBERT (QUICK - STEP FLOORS / BEL) +12''
33. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) +31''
46. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED) +53''

■第6ステージまでの総合成績
1. GREG VAN AVERMAET (BMC RACING TEAM / BEL) 22H 35' 46''
2. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) +03’’
3. TEJAY VAN GARDEREN (BMC RACING TEAM / USA) +05’’
4. JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS / FRA) +06’’
5. PHILIPPE GILBERT (QUICK - STEP FLOORS / BEL) +12’’
6. BOB JUNGELS (QUICK - STEP FLOORS / LUX) +18’’
7. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) +45’’
8. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) +51’’
9. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE / POL) +52’’
10. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +53''

11. RICHIE PORTE (BMC RACING TEAM / AUS) +53''
12. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +55’’
13. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT /AUS)     +01' 02''
14. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +01' 02''
15. SØREN KRAGH ANDERSEN (TEAM SUNWEB / DEN) +01' 03’’
16. VINCENZO NIBALI (BAHRAIN - MERIDA / ITA) +01' 08’’
17. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO)  +01' 17’’
19. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED) +01' 23’’
23. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA)  +01' 45’’
27. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) +02’ 10’’

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):TOMS SKUJINS (TREK - SEGAFREDO / LAT)
■新人賞(マイヨ・ブラン):SØREN KRAGH ANDERSEN (TEAM SUNWEB / DEN) 
■チーム成績:QUICK - STEP FLOORS 
■敢闘賞:DAMIEN GAUDIN (DIRECT ENERGIE / FRA)


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第7ステージは今大会最長の231km

MAP : ASO
MAP : ASO
7月13日はフジェールからシャルトルまでの231kmで、今大会最長区間となる第7ステージが行われる。ブルターニュ地方を後にして、東を目指すコースはほぼ平坦で、中盤にカテゴリー4の丘が1ヶ所あるだけだ。第7ステージはスプリンターが活躍するステージになるはずだが、前回2004年にシャルトルがゴールになった時は逃げ集団が逃げ切り、スチュワート・オグレディ(オーストラリア)が勝っている。


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第6ステージのハイライト映像