ホリゾンタルとスローピングの違い:スローピングは、トップチューブが後ろ下がりの設計で、フレームをコンパクトに設計でき、剛性を高めることができる。ホリゾンタルは、トップチューブが水平の設計のフレームでクラシックタイプと呼ばれる |
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藤下雅裕さん
メカニックやバイクコーチの経験を生かし、茨城県つくば市や長野県黒姫高原で最適ポジション作りや、ライディングテクニックセミナーを開催している。
Sbtm.jpやsuzupower.comでブログ更新中 |
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フレームのサイズを選ぶとき、自分の股下の長さと比較して、ハンガーの中心からシートチューブ上端までの長さで決めてしまう人は多い。だが、それより重視するべきはトップチューブの長さのほうだ。
自分に合ったトップチューブ長を選ぶときに判断基準となるのが、80㎜以上のステムを使用できるかどうかということ。その理由は、ロードバイクは80㎜以上のステムをセットすると、素直なハンドリングを味わえるように設計されているからだ。
50㎜~70㎜などの短いステムでは、ハンドルを切ったときの舵角が大きく、急なハンドリングになってしまう。だからブラケットを快適に握れる位置へ合わせるためでも、ステムのリーチを80㎜以下に変えることはお勧めできない。
いまのブラケットを握る位置が遠いと感じている場合、20㎜の範囲で、なおかつ80㎜より短くならないようステムを交換しよう。それでも遠く感じる場合は、ワンサイズ小さい、トップチューブの短いフレームへの買いかえが必要なのだが、それはドロップバーを今より”リーチの短いものへの交換”を試たあとでも遅くはないだろう。
ライディングフォームをとり、今のブラケットの握りの位置から理想のブラケット位置までの距離を測る。その距離が今のハンドルのリーチと、ショートリーチのハンドルの差より小さければフレームの交換は必要ないのだ。
ステムの長さは5~10㎜刻み、ハンドルバーのリーチは63~160㎜くらいで用意されているので、大きめのフレームであっても、理想のポジションを実現できる可能性は低くない。 |
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ライディングフォームの基本
腕をまっすぐに伸ばし、ブレーキレバーのブラケットを握る。そのとき腕と上半身の作る肩の角度が90度くらい |
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●斜めのトップチューブとヘッドチューブの中心の交点から、水平にシートチューブの中心までを結んだ長さがホリゾンタル換算のトップチューブ長。ステムのフォークとハンドルをクランプする2つの中心部分を結んだ長さがステム長 |
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●短いステムのセットされたハンドルセットは、ハンドルを少し切っただけで、ステアリングの切れ角が大きい。逆に長いステムの場合は同じだけ切っても切れ角が小さく、ハンドリングが安定している。ステムの長さは80㎜以上あると設計どおりのハンドリングになる |
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●ハンドルの横バーから前への突き出し(リーチ)はモデルによってさまざま。ショートリーチのハンドルとノーマルのものを比較すると、その違いがよくわかる |
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価格/ 1万1000円 サイズ/ 380 ~ 420(20㎜刻み、芯~芯)
問:日東 TEL:048・286・7771 |
価格/ 2万9400円 サイズ/ 360 ~
420㎜(20㎜刻み、芯~芯)
問:東京サンエス TEL:03・3734・2041 |
価格/1万2600円 サイズ/ 380 ~
420㎜(20㎜刻み、芯~芯)
問:インターマックス TEL:055・252・7333 |
価格/ 3780円 サイズ/ 340 ~ 420㎜(20㎜刻み、芯~芯)
問:トライスポーツ TEL:078・846・5846 |
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握りは2ポジション?:新型カンパニョーロやシマノ・105、アルテグラ、アルテグラSL、7800旧型デュラエースは、はっきりと中央、先端の2ヶ所のグリップ位置を設定しているブラケットのデザインだ。 |
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ブレーキレバーのブラケットはメーカーによってというより、モデルによって微妙に形状が違う。ブラケットを交換し、ハンドルバーやステムをそのまま使うと、握る位置が遠くなったリ近くなったりする。
カンパニョーロ08年旧型エルゴパワーは、ブラケット全体の長さは小型だが、握るポイントまでの距離は74㎜と意外に遠い。反対にシマノのアルテグラや105、旧型デュラエース(7800)のデュアルコントロールレバーは、ブラケットは大きく長い印象を受けるデザインなのだが、握るポイントまでの距離は最短で55㎜。このように見た目と実際の距離が違うので、ステムの長さの調整には十分な注意が必要だ。
ブラケットの手のひらを乗せる部分の形状によっては、ハンドルバーとブラケットの上の面をフラットになるようにセッティングするため、ブラケットを固定する角度も変わり、組み合わせによっては、体感的に10㎜くらい遠くなったと感じることもある。これは、さすがにステムを交換してブラケットの握るポイントま
での距離を調整しないと、ベストポジションにはならない。
ブラケットの長さやブラケットのドロップバーに接触する位置から、手の親指と人差し指の股までの距離などの数値を表記しておいたので、レバー交換のときのポジション設定の参考にしてほしい。 |
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スラム・レッド
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A 110㎜ B 72㎜ C 130㎜ D 37㎜
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カンパニョーロ・コーラス09
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A 98㎜ B 74㎜ C 127㎜ D 37㎜
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シマノ・デュラエース7970
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A 104㎜ B 83㎜ C 120㎜ D 36.5㎜
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カンパニョーロ・レコード09
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A 98㎜ B 74㎜ C 127㎜ D 37㎜
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シマノ・アルテグラSL
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A 110㎜ B 55㎜ C 000㎜ D 36㎜
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シマノ・デュラエース7900
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A 103㎜ B 71.5㎜ C 126㎜ D 38㎜
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ライズ角:フォークコラムの縦方向の中心線と、ステムの突き出し部分の中心線とで形づくられる角度のこと。ステムの水平はヘッドアングルによっても変わるが、73度のステムでほぼ水平となるバイクがいまは主流。 |
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完成車に取り付けられているステムは、ステムの突き出し部分の角度(ライズ)が水平より前上がりになる84度ものが主流(そのステムの天地を入れ替えると96度で、さらに前上がりにできる)。
85度のステムはやや前上がりのため、ブレーキレバーのブラケットの握りの高さもやや高くなっている。このような位置関係になると、ハンドリングを軽く感じ、ダンシングでバイクを左右に振ってペダリングするときに、ハンドルを細かく振ることができ、軽快なダンシングができる。
コーナーリングのときもコーナーの内側へ体を傾けるのと同時に、ほんの少しハンドルを切って曲がるきっかけを作りやすいので、バイクが鋭く曲がってくれる特性になる。ステムの天地を入れ替えてさらに前上がりに設定すると、ハンドリングはさらに軽くなる。
しかし、直線の平地で時速30㎞以上をキープして走っていると、ホイールのジャイロ効果が強まり直進安定性が強くなるので、ハンドリングの軽さはさほど重要ではなくなってくる。逆に真っ直ぐ走るときにハンドリングが軽すぎると気を使ったり、不安定だと感じるようになる。コンフォート系のライダーの場合、巡航速度は時速30㎞以下のことが多く、不安定だと感じる傾向はさらに強くなる。そんな経験のあるライダーは、バイクのフォークコラムにステムをセットしたときに、突き出し部分が水平になるモデルを採用しよう。
リッチーやディズナの水平にセットできるステムを採用すれば、ブレーキレバーのブラケットとステムとフォークコラムを固定する部分の高さが同等、つまりブラケットの位置が低くなるので、手をブラケットへ乗せるだけでハンドルの高い直進性が保たれ、ハンドリングが安定するようになる。 |
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●アヘッド対応のステムの場合、ステムをフォークコラムから抜き、ハンドルをいったん外してから、ステムを天地逆さに入れ替えてセットし直せる。突き出し部分の角度を84度の前上がりから、96度の前上がりに変更することで、ハンドリング特性が変わり、ハンドルをクランプする高さを変えることで上半身の角度を調整できる |
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●ステムのライズが変わると、フォークコラムに固定している部分と、ブラケットの位置関係が変わる。ステムの突き出し部分が地面に対して水平ならハンドリングが安定し、前上がりの場合はハンドリングが軽くなる |
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ハンドル幅の表示は2種類ある:ドロップバーのハンドル幅の表示には、ドロップ部の中心から中心までの〈芯~芯〉の表示と、ドロップ部の外側と外側の〈外~外〉の表示のモデルがあるので注意しよう。 |
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ハンドルやブラケットを握る肩や腕にストレスが発生したり、ペダリングする脚と、腕の引きや押しのタイミングに違和感があっても、そのままにしていないだろうか。そんな人はハンドル幅を見直すべきかもしれない。ハンドルバーの幅は、ハンドリングだけでなく、ペダリングピッチや、ペダルを踏み込むトルクにも関係する。
一般的なハンドル幅は、ドロップ部やブレーキレバーのブラケットを握ったときに、両腕が平行になる幅を基準にして選ぶ。これは平地や上り坂の回転重視のペダリングにもマッチするし、向かい風や上り坂のトルク重視のペダリングにも対応できるオールラウンドな幅だ。だが、上り坂や平地で違和感を少しでも感じたら、ハンドルの交換を検討しよう。ハンドル幅は各モデルとも10~20㎜刻みで用意されている。
幅が広いと上り坂のペダリングでトルクが必要なときにマッチする。それは、シッティングだけでなく、ダンシングのペダリングピッチでも影響してくる。腕が平行だと早いピッチのダンシングに、ハンドル下の幅が広くなるモデルはトルクが高く、遅いピッチのペダリングに対応する。どの状況を重視するかでハンドルの形状も選ぶ必要が出てくるわけだ。
常日ごろ、ドロップバーやブラケットを握った手や腕が、どういう状態でグリップし、ペダリングする脚の動きに対応しているかを意識しよう。 |
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●基本はドロップ部分を握ったときに腕が平行になる幅のバーを選ぶ。踏み込むペダリングや回転重視のペダリングのどちらにも、腕の引きや押しのタイミングがマッチする。ビギナーはこの幅から始めよう |
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① 両腕の幅が下で狭くなる
幅が狭いハンドルのグリップ位置は、毎分90 ~ 120回転の高回転のペダリングにマッチする。ブラケットを脇を締めた状態で押したり引いたりできるので、ペダルを踏み出す脚の動きに対応しやすい。 |
② 両腕が平行になる幅
ドロップ部やブレーキレバーのブラケットを握ったときに、前から見て腕
が平行になる幅の場合は、高回転のペダリングと、トルク重視の両方のペ
ダリングにマッチする。ハンドル選びの基本になる幅だ。 |
③ 両腕が下で広くなる
ブラケットやドロップバーの下を握ったとき、両腕の開きが広くなるハン
ドル幅は、上り坂や向かい風の場面で、ペダルを強く踏み込むためのトル
クが必要なときに対応しやすい。 |
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●平地を走っていて、ブレーキレバーのブラケットを握っている手と腕が、自然にまっすぐになっていたら、そのペダリングにハンドルバーの幅がマッチしている証拠 |
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●平地や上り坂を走っていて、ブラケットを握った手や腕が、左の写真のように自然に腕を広げて走っている場合は、ペダルを踏み込むトルクに合わせて、より広いハンドルバーを求めている証拠。平地などで、右の写真のように手や腕が内側へ入って握っている場合は、クランクの回転数に合わせて狭いグリップ位置を求めている証拠 |
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シートセットバックポスト:サドル後退幅が大きい形状のシートポストのこと。もっと後ろへサドルを引きたいけど、現状のシートポストでは引けない場合、WR・RSRのようにサドルをさらに後退させることができるシートポストを使用すれば対応できる。 |
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最適なサドルポジションを手に入れるための手順を紹介しよう。その際にローラー台があるとベスト。最適なセッティングの基準になるサドルのポジションは、いちばん最初に決める必要がある。その要素を細かく分けると、サドル上面の水平、高さ、前後位置の調整となる。
まず、サドルの上面の前後の頂点を結んだ線を水平にセットする。サドルの長さを測り、その2分の1の位置であるサドルのセンターに印をつける。サドルのセンターをシートポストの中心線の延長線と一致させるよう水平をキープしたまま前後に移動する。
水平な場所に固定式のローラー台を置いてバイクをセット。前輪下にはスペーサーをセットしてバイクを水平にすること。シートチューブの延長線上にクランクを止めて、バイクシューズをはいた足をペダルにセット。脚を真っ直ぐに伸ばしたときに、バイクシューズの中の足の裏が水平になるサドルの高さへ調整する。腕に余裕を持たせるために、ドロップバーの上の直線部分を握って、毎分80回転を保てる少し重い負荷でペダリングする。するとパワーを発揮できる位置へ腰が自然に移動する。
ペダリングする太モモの動きをサドルのスソが邪魔しない、かつ移動した腰をサポートする位置へサドルを動かす。サドルを前へ移動した場合は高く、後ろへ移動した場合は低くサドルの高さを再調整しよう。 |
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