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今が換えどき!ロードペダル最前線

ペダルを“踏み”解く4つのポイント
スタックハイト Qファクター 接触面積 足の可動性
ペダルシャフト中心~シューズ底面の距離。一般的には、スタックハイトが小さいほどダイレクトな踏み味になりペダリング効率が上がる一方で、回しにくくなると言われている。近年はどんどんスタックハイトが小さくなる傾向にあるが、ルックなど適度なスタックハイトを持ったモデルを愛用するライダーも多い。 本来は左右のペダル間の距離を意味するが、ここではクランク面~ペダルボディ中心の距離で表記する。ペダリングのしやすさやダンシング時の踏ん張りのききなどに影響する。各メーカーで差があるが、クリートを動かすことである程度は 調整できる。ファクター(要素)という言葉が入っているが、単に数字(距離)を指す。 「クリートとペダル上面がどれだけ接触しているか」もペダルの性能を見るうえで非常に重要になってくる。接触面積が大きいほど安定感が増す傾向にあるが、単純に数字の大小ではなく、接触部分が左右にどれだけ広いかも大きく影響して くると思われる。ルックやシマノは接触プレートを左右に広げ、接触幅をかせいでいる。 「キャッチした状態で、どれだけ、どのように、どのくらいのフリクションでシューズが動くか(回転するか)」は各ペダルの個性が最も強く表われる部分。タイムは足の自由度が大きく左右にもスライドする。スピードプレイは調整幅が広 い。シマノやルックなどは固定クリートが用意されており、完全固定モードにすることもできる。


カラダとバイクをつなぐ3つのポイント、すなわちハンドル、サドル、ペダルは、ライダーの好みが大きく影響する部分。その証拠に、どのアイテム群にもこれといった正解はなく、非常にバリエーション豊かなラインナップが展開されている。そんななかから、今回取り上げるのはロードバイク用ビンディングペダルだ。
 ビンディングペダルがもたらす効果について、よく「引き脚が使えるようになる(=ペダリングにおける引き上げプロセスも推進力に変換できる)」などと言われるが、それは効果のごく一部を説明しているにすぎない。ただ引き脚を使えるようにすればいいのなら、ペダルとシューズを適当にくくりつけておけばいいはずである。ビンディングペダルがわれわれにもたらしてくれる本当のメリットとは、「ペダル上の正しい位置に足を固定してくれること」だ。人間の足裏には、「母指球と小指球を結んだ線」という動力伝達ラインがあり、その位置をペダルシャフトと一致させることで、筋力をムダにすることなく脚力を効率よく推進力へと変換できるようになる。だからこそサイクリストはクリートの位置にミリ単位でこだわるのだ。
 さらにややこしいことに、各ペダルシステムはそれぞれ独自の機構を持っており、ペダリングフィールをはじめ、ステップイン/アウトのしやすさ、固定力、シューズの動き方、剛性感などがまったく異なる。自分のカラダと走り方と経験と好みにピタリとマッチしたペダルにめぐり合うことは非常に重要だが、選択肢が多いだけに難しい。
 そこで今特集では、ロードバイク用ビンディングペダルの新しい風、カーボンプレート使用モデルに注目したのち、日本最速の店長、西谷雅史氏を迎えて各モデルのインプレッションを行なった。理想的なペダルシステムとの出合いの一助になれば幸いだ。


新機構モデル登場。その実力とは!?
新キャッチシステム搭載でペダル界に旋風を巻き起こす

“新世代ビンディングビンディングシステム”として発表されたタイムの新作、<Iクリック>。バネにカーボンプレートを使用する「カーボンフレックスシステム」を採用したことに加え、革新的なクリートキャッチ機構「プリオープン・オートマティック・エンゲージメント」を搭載して大きな注目を集めている。これは、ツメが最初から開いている(=クリートが入るスペースが最初から空いている)という今までにないシステムである。ボディにトリガーと呼ばれるパーツを内蔵し、これが後部ツメを開放側に押さえる「つっかえ棒」の働きをする。ステップイン時にクリートでトリガーを押すことで「つっかえ棒」が外れ、ツメが閉まり、クリートをくわえ込む。ネズミ捕りをイメージすると近い。ステップイン時に後部バネを無理矢理こじ開ける必要がなく、トリガーは弱い力で簡単に下がるので、ステップインに必要な踏力は非常に少なくてすむ。シューズをひねってリリースするとトリガーが瞬時にツメを押さえるように上がるので、ツメはオープン状態になる。

構造はもちろん、ステップインのプロセスも従来モデルとは異なるので、クリートは専用となり、RXSシリーズとの互換性はない。しかしスタックハイトやフロートの方法は同一なので、RXSユーザーは移行しやすい。ちなみにトリガーを指で不用意に押さえるとパチンとはさまれて痛い目を見ることになるので注意。

 
  ●奥に見える2層のプレートがトリガー。下は樹脂製の小さな板バネで、上の樹脂板を常に上方向に押し上げる働きをしている
●スプリングのテンション調整機構までも省かれており、装着されているカ ーボンバネの強さによってテンション が決まる。12Nmタイプと16Nmタイ プの2種類のモデルが用意されている  
 
バネ式ペダルの完成形を予感させる研ぎ澄まされたフォルム
キャッチ機構に金属コイルスプリングを使用してきたビンディングペダル。しかし2010年、タイムとルックがほぼ同時にバネにカーボンプレート(板バネ)を使ったモデルを発表した。メリットは、まず軽量化。チタンスプリングと比較しても43%も軽くできる(タイム社発表)。また、従来の金属コイルスプリングは「変形に必要なトルク」が急激に立ち上がるが、カーボンプレートではそのトルクが均一なのだという(ルック社発表)。ここでは、気になるカーボンバネ採用モデルにフォーカスする。

対するルックの《ケオ ブレードカーボンTi》は、従来の金属バネ(コイルスプリング)をカーボンプレートに置き換えただけで、機構自体は既存モデルとまったく同一だ。ステップインも、不使用時にはツメは閉じている↓クリートで踏むことによりツメが一瞬押し開けられる↓ステップインが完了するとツメはバネの力によってクリートをくわえ込む……という、おなじみのプロセスを踏む。しかしその分、構造は非常にシンプルにできており、メカニズムにもボディの作りにもぜい肉が一切ない。また、接地面を左右方向に拡張して安定感を向上させており、さらにHM&HRカーボンを使用してボディを高剛性に仕上げているなど、カーボンバネ採用という点のみならず、「ビンディングペダル の基本性能」を向上させている点も注目に値する。スクエアなフォルムは好みが分かれるにしても、洗練された作りは見ていて気持ちがいい。クリートは従来のケオシリーズと共通である。

ケオブレードは、バネ式ビンディングペダルをさらに洗練させた正常進化モデル。Iクリックは、まったく新しい構造を採用した新世代モデル。この2つのブランニューペダルを、どちらも「カーボンバネ採用モデル」とひとくくりにするのは大きな間違いである。ケオブレードのミソは間違いなく「カーボンバネ」だが、Iクリックのミソは「カーボンバネ」ではなく「トリガー」にあるのだ。


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TIME
 
タイム
「ビンディングペダルには2種類ある。タイムとそれ以外だ」と言われるほどシューズが独自の動きをするタイム。足を左右に振ると 元に戻ろうとするセンタリング機能があること、左右に2.5㎜スライドすることが特徴だ。 2010モデルとして、最初からツメが開いている《Iクリック》を発表。新世代ビンディングシステムとして話題 を呼んでいる。
カーボンプレートは横から見ると上に反った形になっており(P50参照)、ステップイン時に元に戻ろうとする。テンションはサイドのねじで調整可
専用となるクリー ト。左右を入れ替え ることでQファクタ ーを調整する。ノン スリップ加工を施し た素材を使用しており歩きやすい
カーボンプレートは横から見ると
上に反った形になっており(P50参照)、
ステップイン時に元に戻ろうとする。
テンションはサイドのねじで調整可

 
西谷>>
クリートのつま先部が大きくペダルをとらえにくいことがあったが、ステップイン最後の踏み込みは軽い。ステップアウトも容易だが、ひねる幅が大きいので慣れが必要。RXSよりバネが強いのか固定力が上がり、とても踏みやすい。クリートが動きすぎないのも好印象。ただ、シャフトの回転は昔からよくない。クリートは耐摩耗性に優れ、補修部品も入手しやすくなっているので困ることはないだろう。Iクリックになり期待されたところだが、固定感以外はあまり変わっていない。構造が複雑で長期使用にやや不安が残る。

安井>>
旧作に見られた「クセのあるはまり方」がなくなり、「足を置くとはまっている」という感じ。従来の方式に慣れていると少々違和感ありだが、体重が軽い人やビギナーには大きなメリット。後部だけがはまるという誤ったキャッチをしてしまうことがあったが、慣れれば問題ないか。タイムならではのセルフセンタリング機能は健在。シューズがクニクニと動くフロート感覚はRXSと同様。不思議な感覚だが、これの良し悪しがどうこうではなく、「合わない人にはまったく合わないが、合う人にはこれしかない」と評するべき。

笠原>>
見た目はボリュームがあるが、実際の踏み幅やクリートとの接触面積はそれ ほど大きくなく、ほかに比べて格別に安定感が高いというわけではない。し かしほどよい剛性感とダイレクト感は個人的には好み。クリートをペダルに 軽く当てるだけでカチッと簡単にはまるのは特筆に値する。ストップ&ゴー のたびにステップインで戸惑ってしまうという人には朗報。

ショップ「サイクルポイント オーベスト」店長。 ジャパンカップのオープンクラス優勝など数々の好 成績を残すバリバリの走り屋。人呼んで「日本最速 の店長」。スタックハイトの短さとクリートの動き 方を重視し、現在はタイム・Iクリックを使用。Q ファクターはかなり広く、2㎜のワッシャを入れる。
軽さより剛性感と左右方向の安定感を重視する。ダ ンシング時にしなってしまうペダルは大嫌い。シマ ノ・SPD-R、タイム・インパクト、ルック・KEO カーボンなどを経て、最近常用しているのはシマノ・ PD-7800。今回のインプレでルック・ケオブレード に魅力を感じ、買い替えを検討している。
月の走行距離は年間降水量のグラフのように季節に よって大きくムラがあるが平均すると500㎞くらい。 レースというよりはツーリング派。今回は花粉に苦 しみながらも通勤インプレを敢行。今までペダルな んてどれも一緒だろうと思っていたけど意外に全然 違ってびっくり。常用ペダル:シマノ・PD-R540

 
 
 
  ボクのペダリングにはクセがあるらしいんですが、それに対応してくれるのがタイムのペダル。フロートは必要ですが「動いたら動きっぱなし」というのはイヤ。ペダリング中に足首を一瞬動かしたいんだけど、戻ってほしいんです。それにはフローティングにセンタリング機能があるタイムが理想的。スタックハイトが短いのも重要なポイントです。(西谷)


 
 
西谷>>
シマノほどのボディ剛性感がなく、踏み込むとやや外側にしなる。しかし、 そこがRXSシリーズのいいところ。クリートの調整項目は多いので自由度 は高い。体に優しいという面で見たら最も優れていると思う。左右にスライ ドする機構も好ましく、他社の固定クリートを使うとストレスに感じるほど。 ダイレクトな踏み心地、動き具合、動きの調整機能、どれも考えられていて 使いやすい。左右に動いたあとにセンターに戻る動きが特徴だが、ここは好 みの分かれるところ。固定機能がないところも好き嫌いが出るだろう。

安井>>
ステップインにはクセがある。後部のバネも、足をグリグリと動かさないと キャッチしてくれないことがあった。ステップイン後はIクリックと大きな 違いは感じられない。剛性、安定感、ダイレクト感ともに良好。スタックハ イトもIクリックと同一なので、従来のタイムユーザーも移行しやすいだろ う。ペダルの上でシューズが動くのが嫌いな人には向かない。ただ、クリー トはRXSシリーズのほうが薄いので、Iクリックよりも歩きやすさでは上。 リリース時のバネでバイン!とはじかれるような感じがタイムは気持ちいい。

笠原>>
高すぎないほどよい剛性感で、足裏から突き上げてくる感覚もなく、踏んで いて自然な感じ。ややもするとインプレを忘れ、つけているのも忘れてしま うほど。手で回してみると軸の回転は重いが、こいでいるときには感じない。 最初はややはめづらい印象を受けたが、慣れてきたら問題なし。高いレベル でバランスがとれていて、個人的にはとても気に入ったモデル。
数多くのトッププロを支えてきたRXSシリーズも、スペックはそのままにコストパフォーマンスを向上させて継続ラインナップされる。スタックハイトが小さく接触面積が広いため、パワー伝達性に優れる。タイム独自のフローティング機構はヒザへの負担が少なく、「ペダルはこれじゃなきゃダメ」というライダーは多い
金属バネの付け根のパーツを回転させることでテンションが3段階に調整できる。ステップインには少しクセがある
クリート中心に金 属パーツがあるRXS。Iクリックと同じく、左右のクリートを入れ替えることでQファクターを調整する
以下の5つの項目について各自5点満点で採点。このほかにも、メンテナンス性や歩きやすさ、クリートの入手性など幅広い視点から判定している。
□安定感……踏み面の大きさや踏み幅の広さからくるペダル上での安定感。この評価が高いほどトルクをかける場面で安心して踏み込める。
□ダイレクト感……シャフトやボディの剛性やスタックハイトと関係。剛性が高すぎると足裏への圧迫感を感じることもあり、好みが分かれるところ。
□調整のしやすさ……クリートの位置の調整幅やセッティングのしやすさ。ペダリングの違和感の改善やパフォーマンス向上のための重要な要素だ。
□ステップインのしやすさ……ペダルにクリートをはめる際の軽さやスムーズさ。体重の軽い人やストップ&ゴーが多い場合での使用において重要。
□ステップアウトのしやすさ……ビギナーにとっては外しやすいほうがいいが、レースなどのハードな使用においては外れにくいほうがいい場合も。

[データの見方]a=接触面積:ペダルとクリートの接触する面積。安定感や踏み応え、足裏への圧迫感などと関係する。b=踏み幅:ペダルとクリートの接触面 の左右方向の最大値。安定感や踏んだときの力の伝わり方と関係。c=Qファクター:クランク面~ペダル中心の距離。骨盤の幅やライディングスタイルと関係 する。d=スタックハイト:シャフト中心~靴底の距離。ダイレクト感と関係する。ポジショニングにも影響。e=クリートアングル:ペダル上でシューズを自由に動か せる範囲。f=クリート調整幅(前後):クリートの前後位置をどれだけ調整できるか。g=クリート調整幅(左右):クリートの左右位置をどれだけ調整できるか。
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クリートは前作のケオと共通だ が、後部キャッチ部分の素材が変 更されている(灰色の部分)。滑 りと耐久性の向上が目的か
左がKEOブレード。安定感向 上のため、クリート接触面に埋め 込まれたステンレスプレートが幅 広くなっているのがわかる

普段はケオカーボンを使用。ルックはペダル軸までの距離はスピードプレイほど近くないし、剛性もシマノほど高くない。ライバルのように傑出した性能はないが、整備性や着脱の容易さを含め、トータルバランスに優れているのが大きな魅力。 適度な剛性感はどんなソール素材でも足への負担が少なく、疲れてきてもしっかりペダルを踏むことができる。(ライター・吉本司)
 
HM&HRのミックスロングファイバーカーボンをイ ンジェクト製法(金型にレジンと混合したカーボンを 流し込む製法)で成型した高剛性ボディが自慢の新作。 踏み幅も広くなり、安定感・剛性感が向上。バネにカ ーボンプレートを採用し、100g以下(片側)という軽 さを誇る。ペダルを供給しているチームでもエース級 だけが使用を許されるというプロ中のプロモデルだ
1984年にビンディングペダルを開発し、以来ペダル界をリ ードしてきたフレンチブランド。ルックの存在がなければ、今日のビンディングペダルはまったく違うカタチになっていただろう。人気のKEO(ケオ)シリーズを進化させた《ケオ2マックス》と、カーボンブレードを採用した《ケオブレードカーボンTi》が話題をさらっている。


 
西谷>>
非常によくなっていて驚いた。クリートの安定性が増し、動き方も改良さ れていた。以前は動きが軽すぎたが、新作は動きにほどよい抵抗があり使 いやすい。踏み面が広くなったこともあり安定感は高い。スタックハイト が大きくダイレクトという感じはしないが、これがルックのいいところで もある。ルックの最大の特徴はクリートの厚さを生かしたペダリングがで きること。厚いクリートはクランクが長いのと同じ効果を生み、力強く踏 むことができる。ビンディングの元祖だが、まだまだ色あせない魅力がある。

安井>>
初めて使ったがめちゃくちゃイイ。かなり軽量なカーボンボディだが、剛 性感は冷間鍛造金属ボディのデュラエースレベル。踏み面もさらに広くな り安定感も一級だ。思わず遠くまで走りに行ってしまった。シューズのフ ロートはシマノに比べて軽め。スコスコと動く。カーボンバネはパチンと いうよりパコンとはまる感じだが、意外と普通にステップインできる。リ リースは金属バネより軽い。構造がシンプルなぶんトラブルも少なそうだ。 個人的には、レースをするならデュラエースかケオブレードを使いたい。

笠原>>
重量だけでなく圧倒的な回転の軽さで脚がクルクル回る印象。安定感も高 いが、自分には硬すぎて足裏へのストレスが高く、長時間の使用はツライ かも。レースなどで使用する勝負ペダルとしては最高だろう。16Nmのタ イプは若干硬い気はするが、思ったよりはすんなりはまる。スプリント時 など、より高いレベルのレースシーンで効果を発揮しそうだ。

 
 
西谷>>
基本的にオーソドックスなスタイルでステップイン、 ステップアウトにクセはない。ただ、歩きやすいよう にクリート裏面にラバーが張られており、それがペダ ル面にひっかかりはめづらいことがあった。ケオ2マッ クスになって踏み面が広くなり、安定感のある踏み心 地になっている。はめてしまえばケオブレードとほと んど変わりがないので、コストパフォーマンスは高い。

安井>>
ケオは2マックスになって本当によくなった。スタッ クハイトがあるためダイレクト感はシマノに譲るが、 剛性感は金属ボディのシマノに匹敵する。さらに踏み 幅が広がったことで安定感も増している。安心してぶ ん回すことができ、踏み倒すことができる。唯一、ク リートのボルトが3㎜の六角穴なので、トルクをかけ づらいのが欠点といえば欠点。4㎜にしてほしい。

笠原>>
踏み幅が広く、ガッシリ支えてくれる感じが好印象。 ケオブレード同様剛性感があり、自分には少し硬いと いう気がしたが、トルクをかけずにクルクル回すと気 持ちいい。先にケオクラシックに乗ってしまったので 若干はめづらく感じたが、バネをいちばん弱くすれば 問題ない。
シャフトのネジ部分が2㎜延長 され、ワッシャーを入れてQファ クターを広げても安定感が損なわ れないように配慮されている
ステンレスプレート により前作の欠点であ った耐久性が大幅に向 上している。フローテ ィングの感触も上がり、 完成度が高まった

●ルックビンディングペダルの エントリーモデル。ソフトなス プリングテンションでビギナー や女性でも安心して使える


●クリート接触面を拡張し、さらにステン レスプレートを埋め込むことで耐久性とパ ワー伝達率を大幅にアップさせたレーシン グペダルのスタンダードモデル。クロモリ シャフトはオーバーサイズ化され、重量は そのままにねじれ剛性が向上している
 
クリート接触面に樹脂プレート が装着され、スムーズなフローテ ィングを実現している
バネ調整は8~ 12Nmと上位機 種に比べるとゆるく設定されてお り、ビギナー向けといえる
 
西谷>>
ステップイン・ステップアウトともに恐ろしく軽い。 クリート固定のバネがとても緩いので完全に初級者向 きといえる。上位2機種に比べると安定感には劣り、 踏み応えがない。しかし初めてビンディングペダルを 使う人には最適なペダルの1つだと思う。

安井>>
ソフト&イージー。バネを最弱にするとほとんど力を 入れなくてもリリースできる。スタックハイトが大き くダイレクト感はない。しかし剛性はあり安心して踏 める。コレでレースはしたくないが、知り合いがビン ディングデビューするならコレを薦める。

笠原>>
安定感、ダイレクト感ともにそれほど高くないが、乗 っていてとてもやさしい感じを受けた。自分レベルな ら、多少トルクをかけてガンガン踏んでみたところで 不安な感じはなかった。キャッチ&リリースも秀逸で 使いやすい。
 
※1.本誌実測(ケオグリップクリートの場合)
※2.現状ではバネの交換はできないが、いずれはできるように準備中だという
※3.本誌実測値
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西谷>>
半端じゃなく安定感がある。通常のペダルは外側に少したわむ動きがあ りそれに慣れていたのだが、このペダルは安定感がありすぎて戸惑うほ ど。下位モデルよりスタックハイトが小さいため、ダイレクト感もまっ たく違う。クリートのムダな動きも抑えられていて、いっそうダイレク トに感じる。補修品の入手も最もしやすい。あえて言えば、重量は最近 のモデルとしては重い。剛性感のある踏み味は好みの分かれるところ。 たわみがないぶん、ヒザには優しくないと思った。

安井>>
剛性感、安定感はNo.1。幅が広く、鉄板を踏んでいるかのようなスタ ビリティがある。フローティングもスカスカすぎずシブすぎず、最適な 味付け。ステップイン・アウトにもクセがなく、軸の回転精度もさすが デュラエースというクオリティ。耐久性も高く、とくに踏み面のプレー トは、何年も使っているが摩耗はほとんどない。重量では他に劣るが、 この剛性と安定感なら文句はつけられない。プロや競輪選手の評価が高 いと聞くが、それも納得の完成度。硬すぎてイヤという人もいるかも?

笠原>>
踏み幅の広さなんて関係あるの?という当初の疑念は、最初に試乗した このペダルであっさり覆された。前足部を包み込んでくれるかのような 安心感があり、どれだけ踏み込んでも受け止めてくれる。剛性は高いが 足裏への圧迫感はまったくない。ただ、短時間だから感じなかっただけ で、長時間走ったら足にくるのかも。手で軸を回しているときだけでな く、走っているときでさえ滑らかに感じたのはさすがに気のせいか。
デュラエースと同じ幅を持つワイドなペダル踏み面により、抜群の安定 感と高いペダリング効率をあわせ持つセカンドグレード。バランスのとれ た性能が好評。シルバーとブラックの2カラーをラインナップする

 
 
西谷>>
基本的に安定しているのだが、クリートの動き がよすぎるためにちょっと不安定に感じる。デ ュラエースに比べ、シャフトまでの距離が長い ためダイレクト感はやや劣る。ボディの耐摩耗 性やベアリングの耐久性は最もいいレベルだろ う。値段と性能のバランスが取れている。

安井>>
形はデュラエースとほぼ一緒だが、スタックハ イトが違うためダイレクト感は別物。デュラに 慣れていると、まるでゲタをはいてペダリング しているかのよう。しかし、剛性感・安定感は一 級。安定感は欲しいが軸までの距離が短いのは 苦手、という人はあえてこちらを選ぶのもアリ。

笠原>>
デュラエース同様踏み幅が広く安定感がある。 脚力の乏しい自分にとっては、正直言って回転 の滑らかさ以外にデュラエースとの差はあまり 感じられなかったので、アルテグラでも十二分 に満足できると感じた。
 

ステンレスプレートは磨耗した ら交換できるようになっているが、 よほど酷使しないと削れないほど 耐磨耗性は高い
ブラックの《PD-R670》はシ リーズ外扱いのため、ロゴも「ア ルテグラ」ではなく「シマノ」と なるが、スペックは同じ

 

普段からデュラエースを使っているが、とにかくこの剛性感と安定性はズバ抜けている。軽量カーボンボディモデルと比べると、かわいそうになるくらいの重量だが、このパワー伝達性があれば文句なし! 超高耐久性と、他ブランドのトップモデルの約半額という価格もうれしい。プロレースでテストされているカーボンボディが気になるところ……。(安井)

アルミボディの上 にはさらにステンレ ス製のプレートが埋 め込まれ、クリート との接触面を強化し ている
 
ライバルがカーボ ン化したなかで唯一 メタルボディを採用 するデュラエース。 トップレーサーのパ ワーを受け止める高 い剛性を誇る
 
非常にワイドなプラットフォームを持つシマノのト ップモデル。クリート接触面を広く取り、安定感が大 幅に向上している。スタックハイトも短く設定されて おりダイレクト感も高い。「デュラエース」の名を冠 するだけあり、高い完成度を持つ




シマノ・SPD-SLシリー ズのベーシックモデル。上 位機種のアルテグラと比較 しても重量の差はほとんど なく、コストパフォーマン スに優れる。コンポーネン トに合わせた2カラーを展 開。インプレは旧型の《PD-5610》で行なったが、新型 への変更点はカラーのみ
2.5mmのアーレンキーでバネの テンション調整ができる。調整幅 は広く、ビギナーからレースユー スまで対応する
グレード的には下位モデルとな るが、接触面などは上位機種と同 じ。しっかりとしたアルミボディ は安定感抜群


 
西谷>>
クリートの頭が大きいのでペダル先端を捉 えるより先に引っかかることがある。慣れ ればまったく問題なし。デュラエースと比 較すればダイレクト感には劣るが、安定感は デュラエース同様高いレベルにある。ベア リングの回転には少しごろつき感があった。

安井>>
アルテグラとの違いは少ない。シャフトの 回転が多少重くなる程度か? コストパフ ォーマンスは高い。剛性感と安定感につい ても良好。耐久性も高いと思われるので、 ビンディングデビューだけどガンガン走り ます!という人にオススメ。

笠原>>
軸を手で回すとアルテグラより重く感じる が、こぎ出すと違いを感じないので問題な い範囲。完成度の高いデュラエースと比較 してしまうとアラが見つかるが、最初から これに乗ったらなんの不満もないだろう。
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シマノ、ルック、タイムがメインストリームだったロードペダ ル界に独自の構造を持って殴り込み、勢力を伸ばしているアメ リカンブランド。最上位モデルのナノグラムはペア126gとい う驚異的な軽さを持つ。ツール・ド・フランスなどのレースで 勝利を挙げ、その独創的なシステムの優位性が認められた。
 

同じゼロシリーズ でも、シャフトの素 材によりQファクタ ーが異なる。チタン シャフト(下)は50mmで、ステンレスお よびクロモリシャフ ト(上)は53mm
 
2つのイモネジを 動かすことにより、 内側・外側のそれぞ れに独立したフロー ト角を設定できる。 調整角は0°~ 15° の間で無段階に変え られる
●他メーカーとはまったく違うルックスを持つスピードプレイ。コーナリングクリ アランスを確保するためペダル本体は非常にコンパクトにできており、可動域の調 整はクリート側で行なう。ロード用ペダルでは唯一両面キャッチを採用している。 クリート角は0°~ 15°まで無段階に調整でき、足首の自由度が高い
 
西谷>>
ステップインはクセがあり、慣れが必要。対してステップアウトはとて もラク。見た目に反し安定感は意外と高いが、他社と比べるといいとは いえない。スタックハイトは最短だが、若干たわむのでダイレクト感に は乏しい。フローティングはかなり軽く、踏み込み中も動くので不安定 に感じた。しかしセッティングのしやすさは画期的。前後と左右の位置 調整を分けて行なえ、左右で振り幅を変えられるのもすばらしい。クセ はあるが、コンセプト・構造ともに理にかなっている考えられたペダル。

安井>>
まず注意すべきは、後ろ側の調整幅に制限があること。クリート位置を 後ろにしたい人はセッティングが出ない可能性も。ステップインにはク セがあるが、使い込むにつれクリートになじみが出てはめやすくなる。 両面でキャッチできるのでこぎ出しはラクかも。剛性感・安定感は、踏 み幅が広いモデルと比べると劣るが、乗り込むうちに気にならなくなっ た。前後、左右、角度の調整が独立してできる機構は秀逸だ。ただ、金 属むき出しで歩行は困難。ロングライドならクリートカバーは必須。

笠原>>
見た目は頼りないが、思ったより安定感があり、力が伝わる感じ。小さ く見えるので足裏への圧迫感が気になったが、こいでみるとストレスは 皆無。ペダルにシューズを付けた状態でクリート位置を左右に動かせる ので、好きなQファクターを見つけやすいのもいい。個人的には好きだ が、メンテナンスをこまめにする必要がある点がズボラな自分には……。

 
西谷>>
ゼロシリーズに比べてペダルシャフトが長く、Qファ クターが広いのだが、個人的には全モデル同じでいい のでは?と思う。フロートの動きが制限できない分、 左右の動きが激しい。クリートが薄いので歩くのにギ クシャクはしないが、接地面が金属なので滑りやすい

安井>>
はめやすさやリリースの感覚などは、ゼロよりも多少 軽く感じる。左右方向のフロート角度が狭められない ので、足が動くのを好まない人は動きすぎと感じるだ ろう。セッティングするのが面倒だと感じる人や、自 分の可動範囲が決まっていない人には向いているかも。

笠原>>
キャッチのしやすさは違いを感じないが、リリースは きわめて軽く、スルッと外れて心地いい。足が動きす ぎるので、とくにコーナー立ち上がりのダンシング時 などは不安。ビギナーであっても、クリートだけは上 位モデルのものを使うという手もアリかも。
最大のメリットは調整幅の広さ。前後・左右位置・可動域がすべて個別に調整できるので、変化がわかりやすいのがいいですね。またクリート・ペダルともに前後の重量バランスが取れているので回転運動の妨げにならないんです。ステップインしづらいと言う人もいますが、慣れ れば気にならないと思いますよ。(なるしまフレンド立川店店長・小西裕介さん)
 

エントリーライダーの使用に配 慮し、シャフトは通常モデルより も3mm(チタンシャフトモデルと 比べると5mm)長くなっている
ライトアクション用のクリート は基本的にゼロと同じだが、ゼロ クリートにある足の可動域を調整 するネジ山だけがない


足首可動域の調整機構を廃したシンプルなモデル。ゼロは0°~ 15°の間で任意の可動域を設定できるのに対し、ライトアクション は15°の範囲で足首が完全にフリーとなる。また、ペダルからのリ リースがゼロシリーズよりスムーズにできるようになっているなど、 ビギナーの使用を視野に入れて開発されている
 

 
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