トピックス
カレラ 老舗イタリアンブランドの2019モデル詳報
2018.08.24
4代目への正当なる進化「フィブラ ネクスト」
2019年シーズンのトピックは、カレラのアイコンともいえるフィブラのモデルチェンジだ。また、ホイールをはじめ、ハンドルやステムなどオリジナルパーツも続々とデビューする。
イタリア語で繊維という意味を持つフィブラは、10年前の2008年に斬新なスタイリングでデビュー。2011年にツー、2014年にエヴォと進化し、2019年に4代目の''ネクスト''へとステップアップした。トップチューブからシートステー、ダウンチューブからチェーンステーという2本の流れ=ダブルアーチというDNAを受け継ぎつつ、UCIルールに適合するようスタイリングをブラッシュアップ。エアロダイナミクスを意識しつつも、先代のエヴォから約120gもの減量を達成した。価格が据え置きというのも見逃せないポイントだ。
PHIBRA NEXT(フィブラ ネクスト)
■フレームセット価格/28万円(税抜)
■フレーム/カーボン
■フォーク/カーボン
■シートポスト/専用エアロシートポスト
■BB/プレスフィット86×41㎜
■ブレーキ/ダイレクトマウント
■フレーム参考重量/990g(Mサイズ)
■フォーク参考重量/350g
■カラー/A9-171グロッシー、A9-172グロッシー、A9-173マット
大屋雄一の試乗インプレッション
チューブ・トゥ・チューブ製法の初代から奇抜なスタイリングで人気を博してきたフィブラ。その4代目はだいぶ一般受けするデザインに生まれ変わったが、それでも十分に個性的であり、ロゴを隠してもモデル名が言い当てられるほど各部の造形に特徴がある。
スタイリングは斬新だが、走りは驚くほど素直だ。しかも、加速フィールがとにかく心地良い。踏み込んだときに伝わるわずかなしなり量とその復元スピードが絶妙で、体感以上に速度が上がっていく。まるでクランクの踏み代が伸びたかのような印象で、付け加えると実際にも速い。カレラは風洞実験や荷重試験で得られる単純な数値よりも''主観による尺度''を優先するブランドであり、それは個性派のフィブラにも共通しているようだ。
ダイレクトマウント化されたブレーキのコントロール性がややシビアに感じたが、絶対制動力は非常に高い。ハイスピードのロングライドやエンデューロで活躍するだろう。
メーカー担当者に聞く 2019モデルの意図
●創業者のボイファヴァ氏に誘われてカレラのセールスマネージャーに。もともとはプロロードレーサーであり、選手としての経験も豊富である
2019年シーズンにフィブラネクストとヴェレーノライトという2つのニューモデルを投入するカレラ。この新型車に込めた想いをマルコさんに聞いてみた。
「初代フィブラは、作り手の思考に柔軟性が失われつつあった10年前に発表し、自転車界に衝撃を与えることができました。カーボンが普及しはじめた頃で、金属では不可能な造形に挑戦したんです。このコンセプトが支持されまして、今回4代目となるネクストを開発しました。新型はグランフォンド、日本でいうとツール・ド・おきなわのような長距離レースに出るようなユーザーも想定していて、エアロダイナミクスもシミュレーションしています。タイヤは28Cまで対応します。
ヴェレーノライトは、エントリーレーサー向けの新製品です。アマチュアチームにも供給しているヴェレーノTSと型は共通で、カーボンの種類を変えつつ成型の時間を短縮することでコストを大幅に削減しました。フレームの単体重量は約130g重くなりますが、日本でのプライスは8万円以上も安い。ほぼ同じ値段のER-01はジオメトリー的にも乗りやすく、ロングライドやグラベル走行も想定しているのに対して、ヴェレーノライトはレースで勝ちを狙えるフレームとなっています」
カレラユーザーも納得のオリジナルホイールが新登場
自転車のパフォーマンスはフレームだけで決まるものではなく、アッセンブルされるコンポやホイールの影響も大きい。そこでカレラは、自社フレームとのマッチングを第一に考えたカーボンホイールをリリースする。
リムハイトは25mm、35mm、45mmという3種類で、それぞれにチューブラー仕様とクリンチャー仕様(チューブレスレディ対応)を用意。いずれもリムブレーキ用だ。カレラのロゴは全ハイトで青、赤、白の3種類をラインナップする。
注目すべきはハブで、何とシマノの9000系デュラエースが採用されている。これはテスト結果が最も良かったのと、カレラが発売するホイール第1弾ということで信頼性を優先したとのこと。スポークも定番のサピム製である。コストパフォーマンスに優れており、カレラユーザーはもちろん、それ以外のサイクリストからも注目されそうだ。
カレラ ホイールセット
■前後セット価格/14万円(チューブラー・税抜)、15万円(クリンチャー・税抜)
■リム素材/カーボン
■スポーク素材/ステンレス
■ハブ素材/アルミ(デュラエース9000ハブを使用)
■リムハイト/25㎜、35㎜、45㎜
■リム幅/25㎜(外幅・チューブラー)、17.9㎜(内幅・クリンチャー)、26.0㎜(外幅・クリンチャー)
■スポーク本数/F:18本、R24本
■参考重量/1090g(25㎜・チューブラー)、1170g(35㎜・同)、1270g(45㎜・同)、1290g(25㎜・クリンチャー)、1360g(35㎜・同)、1460g(45㎜・同)
■カラー/ブルー、レッド、ホワイト
カレラ ホイール試乗インプレッション
いきなり完成度の高いホイールを出してきたな、というのが正直な感想。一般的にリムハイト25mm前後はヒルクライム向き、35mmはオールマイティ、45mm以上は高速巡航用などと言われ、カレラの新作ホイールにもそのまま当てはまるのだが、特に35mmはフィブラネクストとの相性が良かったのか、オールマイティに使える領域がかなり広いと感じた。
25mmは軽い分だけ反応が良く、また45mmの剛性の高さからくるシャープなレスポンスも気に入った。加えてシマノにおいて最高性能を誇るデュラハブのおかげで転がりがスムーズであり、速度が落ちにくいのも好印象。これは多くのユーザーにお薦めできる逸品だ。
セット使用でワイヤを完全内装できるハンドル&ステムが登場
2018年シーズンにディスクブレーキ仕様を追加したAR-01は、カレラのラインナップにおけるフラッグシップだ。トップチューブの上面からやや低い位置に上ワンのベアリングがあるというこの特殊な形状のフレームのために、専用デザインのカーボンステムがリリースされた。最大のポイントは、ワイヤや電装ケーブル、油圧ホースを内装できるということ。AR-01と組み合わせれば、ほぼ完璧にこれらを視界から消し去ることができる。
なお、このステムはコラム径、ハンドルクランプ径とも一般的なサイズで設計されているため、通常のフレームに組み合わせて使うことも可能だ。スクエアな断面形状と尖ったフェイスプレートは存在感抜群であり、マシンのイメージを一新してくれるに違いない。
また、カーボンステムと同時に開発されたのが、カーボンモノコックハンドルだ。ステムの方は補強のため部分的にアルミを使用しているのに対し、こちらはフルカーボンのため非常に軽量だ。ポイントはワイヤやホース類を内装できることで、さらにこのステムと組み合わせれば、それらの流れをスムーズにできる。
幅は40cm、42cm、44cm(C-C)とごく一般的なサイズをラインナップし、クランプ径もφ31.8mmなので他ブランドのステムを組み合わせることも可能。形状はアナトミックシャローやコンパクトなどと呼ばれるジャンルに属するもので、多くのサイクリストに好まれるタイプだ。これもカレラユーザーだけでなく、カーボンハンドルを使ってみたいというサイクリストにも支持されるだろう。
CARRERA STEM(カレラ ステム)
■価格/3万6000円(税抜)
■素材/カーボン
■長さ/100㎜、110㎜、120㎜
■角度/10°
■クランプ径/φ31.8㎜
■コラム径/φ28.6㎜
■参考重量/260g(100㎜)
CARRERA HANDLEBARS(カレラ ハンドル)
■価格/3万9000円(税抜)
■素材/カーボン
■幅(C-C)/40㎝、42㎝、44㎝
■リーチ/75㎜
■ドロップ/130㎜
■クランプ径/φ31.8㎜
■参考重量/215g(40㎝)
高性能レーシングバイクを驚きのプライスで実現「ヴェレーノ ライト」
続いて紹介するニューモデルは、ER-01に次いで10万円を切るフレームセット価格を実現したヴェレーノライトと、2018年シーズン初出のTD-01エアのディスクブレーキ仕様だ。どちらもユーザーの間口を広げる意欲作である。
ピュアレーシングモデルであり、本国ではアマチュアチームにも供給されているというヴェレーノTS。その型を流用しつつ低弾性率のカーボンを選択し、さらに製造時間を短縮することで製造コストを大幅に削減したのが、ニューモデルのヴェレーノライトだ。
ヴェレーノTSとの大きな違いは、製造工程において除去されるべき樹脂の量がわずかに少なく、その分だけ重いということ。とはいえ、カタログ上での差はわずか130gでしかなく、これで税抜で8万2000円も安いのだからコストパフォーマンスはかなり高い。
型が同じなので仕様はヴェレーノTSとまったく共通であり、ワイヤはオール内装式となっている。カラーはマットブラックのみで、白いロゴとレッドの差し色がパーツのカラーコーディネイトを容易にしてくれる。レースビギナーに向けたカレラからのプレゼントだ。
Veleno Lite(ヴェレーノ ライト)
■フレームセット価格/9万8000円(税抜)
■フレーム/カーボン
■フォーク/カーボン
■シートポスト/φ31.6㎜
■BB/プレスイット86×41㎜
■ブレーキ/キャリパー式
■フレーム参考重量/1080g(Mサイズ)
■フォーク参考重量/410g
■カラー/A8-150マット
ヴェレーノ ライト試乗インプレッション
試乗車にはアルテグラとヴィジョンのトライマックス35KBホイール(1630g、8万2000円・税抜)がアッセンブルされていた。
最初に驚かされるのは剛性の高さ。ゼロ発進から反応が鋭く、踏力に対して正しく速度を上げていく。特にダウンチューブからチェーンステーにかけてのパワーラインがしっかりしている印象で、それは踏み込んだときのしなりの少なさだけでなく、コーナーへ進入した際のスタビリティからも感じ取れる。
その一方で、純レース対応のアルミフレームよりも振動吸収性は高く、ただ硬いだけのカーボンとは一線を画す。コンペティティブな世界を体感できる、実に魅力的なフレームだ。
TD01エアにディスクモデルが追加
そんなTD01エアにディスクブレーキ仕様が追加された。イタリアでは保守的なサイクリストが多く、まだリムブレーキの人気が高いとのことだが、ヨーロッパ全体ではディスクブレーキの需要が高まっており、その要望に応えた形だ。
12mmスルーアクスルを採用しており、キャリパーの取り付け規格はもちろんフラットマウントだ。カラーリングは5種類を用意し、併売されるリムブレーキ仕様との差額がわずか1万円なのも見逃せない。
TD01-AIRディスクブレーキ
■フレームセット価格/25万円(税抜)
■フレーム/カーボン
■フォーク/カーボン
■シートポスト/専用エアロシートポスト
■BB/プレスイット86×41㎜
■ブレーキ/フラットマウント
■フレーム参考重量/1190g(Mサイズ)
■フォーク参考重量/430g
■カラー/A9-146マット、A8-142マット、A8-143グロッシー、A8-144マット、A8-145グロッシー
セラサンマルコ YOG(ヨグ)プロジェクト始動!
サドルの色といえば黒か白、せいぜい赤ぐらいしかない.....。一般サイクリストからそうした不満が浮上するとともに、バイクを買い換えるのは無理でも、せめてパーツ交換で見た目の印象を一新したい、という要望があることを把握。誕生したのが、イエロー、オレンジ、グリーンの頭文字を並べた〝YOGプロジェクト〞だ。
イエローは蛍光色で、簡単に新鮮さを演出できることからチョイスしたという。また、オレンジはトレックを、グリーンはキャノンデールをイメージしており、いずれも同じ色のバーテープが用意される。
また、UCIワールドチームに供給されている特別なカラーをまとったサドルが''チームエディション''として発売される。今シーズン前、セラサンマルコのデザイナーが描いた数種類のグラフィックを各チームがアンケート方式で選んだもので、黒を組み合わせた鮮やかなツートーンカラーと、レギュラー製品よりも大きなサンマルコのロゴが特徴。これも愛車のイメージを一新するのに最適だ。
セラサンマルコ
■YOGプロジェクト対象モデル/コンコールシリーズ、ショートフィットシリーズ
■チームエディション対象モデル/アスピデシリーズ、ショートフィットシリーズ、マントラシリーズ
カレラ2019モデル ニューカラー、ニューモデル
スペシャルインタビュー:レジェンドが見る''レースの今と昔''
創業者ダヴィデ・ボイファヴァ×クラウディオ・キャプーチ
1970年代にプロ選手として活躍し、チーム監督として500勝を達成したカレラの創業者ボイファヴァ氏と、彼の目に止まってカレラチームでプロとして育てられたキャプーチ氏。2人がレースの今と昔を語る。
1970年代にプロ選手として活躍し、チーム監督として500勝を達成したカレラの創業者ボイファヴァ氏と、彼の目に止まってカレラチームでプロとして育てられたキャプーチ氏。2人がレースの今と昔を語る。
カレラ創業者
ダヴィデ・ボイファヴァ氏
●1969年からの10年間、ジロのステージ優勝も含めてプロとして30勝を達成。1979年からレーシングチームの監督となり、バルトリやベッティーニなど20年間で約20人のチャンピオンを生み出す。1990年にカレラを創業する
元プロロードレーサー
クラウディオ・キャプーチ氏
●1963年イタリア生まれ。1982年に国内のアマチュアチャンピオンとなり、1985年にカレラチームと契約してプロ選手に。1991年にミラノ~サンレモで優勝。ツールで2回、ジロで3回の山岳賞を獲得しているクライマーだ
■監督の熱意に打たれてカレラ入り
ボイファヴァ:私がモルティニに所属していたのは1970年代で、当時はチームが機材を購入していました。フレームもチューブラータイヤもです。まだ革サドルで、シーズンごとに鋲を打ち直していましたね。当時、ほとんどの仕事をチーム監督がこなしていました。食事の内容から練習メニュー、合宿の場所まで全て決めていたんです。
ただ、メカニックだけは別で、当時はコルナゴの創業者、エルネストさんがウチのチームで手腕を振るっていたんですよ。1978年に選手を引退し、翌年からチーム監督になりました。最初に所属したのはイノックスプランというチームで、そこではモルティニ時代の経験が生きました。
キャプーチ:初めてボイファヴァさんと会ったのが1985年です。当時のイタリアではアマチュア選手として3年間のレース経験を積まなければならなくて、それがちょうど終わる時ですね。本当なら違うチームに行くはずだったんですが(笑)、彼の熱意に打たれてカレラに。これがプロ生活のスタートです。
ボイファヴァ:そう、かつて一緒に走っていた知り合いから「面白い選手がいるから会ってみないか」と言われて、クラウディオとはそこからの付き合いですね。イノックスプランは伝統的なチームだったのですが、カレラは若者向けのアパレルメーカー、カレラジーンズがスポンサーだったのでイタリア以外の選手も多く、練習も近代的になりました。
キャプーチ:ダヴィデさんのチームに入ったのが20歳のときで、アマチュアで3年間走ってきたとはいえプロの世界はまったく違いました。まず、自分で自転車を整備しなくていいし(笑)、ウエアも支給される。その代わり朝から晩までプロでいなければいけない。
ボイファヴァ:私がモルティニに所属していたのは1970年代で、当時はチームが機材を購入していました。フレームもチューブラータイヤもです。まだ革サドルで、シーズンごとに鋲を打ち直していましたね。当時、ほとんどの仕事をチーム監督がこなしていました。食事の内容から練習メニュー、合宿の場所まで全て決めていたんです。
ただ、メカニックだけは別で、当時はコルナゴの創業者、エルネストさんがウチのチームで手腕を振るっていたんですよ。1978年に選手を引退し、翌年からチーム監督になりました。最初に所属したのはイノックスプランというチームで、そこではモルティニ時代の経験が生きました。
キャプーチ:初めてボイファヴァさんと会ったのが1985年です。当時のイタリアではアマチュア選手として3年間のレース経験を積まなければならなくて、それがちょうど終わる時ですね。本当なら違うチームに行くはずだったんですが(笑)、彼の熱意に打たれてカレラに。これがプロ生活のスタートです。
ボイファヴァ:そう、かつて一緒に走っていた知り合いから「面白い選手がいるから会ってみないか」と言われて、クラウディオとはそこからの付き合いですね。イノックスプランは伝統的なチームだったのですが、カレラは若者向けのアパレルメーカー、カレラジーンズがスポンサーだったのでイタリア以外の選手も多く、練習も近代的になりました。
キャプーチ:ダヴィデさんのチームに入ったのが20歳のときで、アマチュアで3年間走ってきたとはいえプロの世界はまったく違いました。まず、自分で自転車を整備しなくていいし(笑)、ウエアも支給される。その代わり朝から晩までプロでいなければいけない。
■国内でのツール人気は低かった
ボイファヴァ:今では信じられないかもしれませんが、イタリアでツールの人気が高まってきたのが1990年代に入ってから。それまではテレビの生中継は最初の1週間だけ、ジャーナリストも数人が現地に来る程度で、泊まるホテルも学生寮みたいだった。だからイタリアのチームは参加したがらない。とにかくパスタがまずかったので、ウチは専属のコックを雇った最初のチームでした。そのうわさを聞きつけた他チームの監督たちが夜な夜な集まってきて、グラッパで宴会ですよ(笑)。
キャプーチ:そう、1990年代に入ってもエアコンのないホテルはたくさんあったし、舗装も良くなかった。レース中にタイヤが破裂するなんて日常茶飯事でしたし。大きな変化といえば、この頃からラジオツールや無線機が使われ出して、選手がロボットみたいに扱われるようになった気がしますね。
ボイファヴァ:でも、クラウディオは指示がうるさいとイヤホンを外してたよね(笑)。
キャプーチ:近年、集団内での落車が多いのは、ひとつは無線が原因ではないかと思っているんです。耳元でガヤガヤ言われると集中できないし、本来なら隣の人のペダリングやホイールの音が聞こえなければ危険です。
■プロ選手になるには情熱と謙虚さ
ボイファヴァ:多くの選手と接してきましたが、なかでもクラウディオは特別な存在で、プロとして観客を楽しませることを常に考えているファンタジスタでした。マイヨ・ジョーヌを着ていながらアタックしたりとか、監督の指示がなくてもレースの状況を瞬時に判断して行動できる。引退して20年近くたっているのに人々の記憶に残っているのは、そういうサービス精神が旺盛だったからでしょう。
キャプーチ:そういう意味では、近年の選手は自ら考えて行動することが少なくなっていますね。レース中もそうですし、普段のインタビューもチームのプレス担当を介せばいいから楽だし、少しでも体調が悪化したら、トレーナーなり栄養士に相談すればいい。
ボイファヴァ:チーム内での分業が進んだのと、今はグローバル化の波でロードレースがほぼオフシーズンのない状態に。今と昔ではレースそのものが変わってしまっている。
キャプーチ:近年、学校などに呼ばれて講演をすることが多いのですが、昨今の若者はインターネットが普及したことで知ったかぶりが多いんです。気が付けばパソコンやプレイステーションをいじっている。苦労せずに結果だけを欲しがる。
ロードレースも機材はどんどん進化しているのに、クラシックレースの平均速度はほとんど変わらない。昔はパリ~ルーベで28Cなんて太いタイヤを使うことはなかったし、コッペンベルグの石畳はもっと狭かったんです。ロードレースという競技は人一倍のパッションと謙虚さがあればプロになれる可能性があるし、それさえ持っていれば仮にプロになれなかったとしても、自転車以外のジャンルで成功できるでしょう。
カレラキャンプ2018 in 淡路島
カレラユーザーやファンのためのライドイベント「カレラキャンプ」が昨年に引き続き淡路島で開催された。今年も晴天のもと、豪華ゲストと参加者らが交流を楽しんだ。
本イベントも今年で3年目。今回の目玉は〝キャプーチ先生〞による「下り講座」と創業者ボイファヴァ氏の来日だ。
淡路島北部を巡る交流ライドには、何とボイファヴァ氏もカレラを駆り出走。年齢を感じさせない貫禄の走りで着実にアップダウンをこなし、同じ集団で走った参加者からは「オーラを感じた」と感激のコメントも。
往年のレジェンドたちと触れ合い、メーカー側と密にコミュニケーションを取ることができるのがこのイベントのすばらしい点だ。ぜひ来年も開催されることを期待したい。【text:CYCLE SPORTS】
キャプーチ先生が教える「下り講座」
ライド途中、キャプーチ氏による「下り講座」が行われ、少人数グループでのレッスンが実施された。その要点を紹介しよう。
ポイントは3つ。
①スムーズなライン取りを意識すること
②コーナー進入前に(近すぎず遠すぎない地点で)減速を完了し、コーナリング中にブレーキをかけないこと
③コーナリング中、イン側の上げている足を曲がる方向に傾け、バランスを助けること
③は初耳の人もいるかもしれないが、全体としてはよく言われる基本的なこと。世界トップクラスでもそこは同じということだろう。しかし、「僕の後ろについて、同じように走ってみて」と言われ走ってみるが、まったくついていくことができない(本人としては超スローペースとのこと)。ほとんどの参加者も同じだった。基本は同じでもそれをどのレベルまでモノにできるかはライダー次第ということだ。
「スピードに集中し、自然にできるようになるまでトレーニングすることが大切だよ」とキャプーチ氏。みなさんも安全には注意したうえで、何度も練習してみよう。
セラサンマルコに聞く サドル選びの新常識
セラサンマルコ マーケティングマネージャー
パオロ・フリソン さん
●企画・開発部門と連携しつつ世界市場でのマーケティングを担当。モータースポーツにおけるホイール開発の経歴も持っている。
サドルの上面形状で判断を!
1935年の創業以来、レーシングサドルの研究を続け、近年は''DiMA''というフィッティングシステムを開発したセラサンマルコ。サドルの取り付け角度についてセールスマネージャーのパオロ・フリソンさんに聞いたところ、次のようなアドバイスをしてくれた。
「普段の直立姿勢を横から見て、骨盤が前傾か後傾かをチェックします。我が社のサドルは上面の形状がウェーブとフラットの2種類に大別でき、猫背の人は必ずウェーブタイプを選んでください。フラットだと骨盤が余計に後傾して背中を痛めてしまいますから。
あと、サドルの角度を決めるのにはポイントがあります。先端から幅が70mmになる距離をサイトで公開していますので、ここから前方を水平にしてください。ちなみに、この距離をベースにサドルを交換すれば、極端に長さや形状の異なる製品をインストールしたとしても、前後位置に困ることはありません」
■カレラ、セラサンマルコ取り扱いショップリスト
■サイスポ・トピックス:奇抜なデザインとレーシーさを両立「フィブラネクスト」登場!カレラ2019モデル発表会レポート