''アルプデュエズ''のラインナップは上級モデルのアルプデュエズ01と、セカンドグレードの同21に大別され、前者のフレーム単体重量はSサイズで840gを公称する。アイゾンが同条件で920gだったので、80g(8.6%)の軽量化を達成したことになる。ちなみにアルプデュエズ21でもフレーム重量は930gしかなく、アイゾンの重量がかすんで見えよう。
とはいえ、既に600g台の超軽量フレームが入手できる昨今、840gという数字は驚きに値しない。開発スタッフはこう説明する。
「もっと軽くすることは可能だが、それだけでは我々の理想とするレーシングバイクにはならない。剛性やレスポンス、快適性などを最適なものとしたうえで、さらに美しいバイクを作りたいという野望もあった。昨今のあらゆる軽量フレームはジオメトリーやシェイプが似てきており、個性を失っている。しかし我々は魅力的なスタイリングは自転車に乗る際の大きな動機付けとなり、また楽しみでもあると考える。さらに100gの軽さを望むなら、慣性が影響するホイールで稼ぐ方が効果的だ」
タイムのフレームを語るうえで欠かせないのが独自の製法、カーボンブレード・テクノロジーと、RTM(レジン・トランスファー・モールド)工法だ。これはソックス状に編み込まれたカーボン繊維を芯材となる可溶性コア材にかぶせたあと、金型にはめてエポキシ樹脂(レジン)を流し込み、圧力をかけながら成型するというものだ。
あらかじめ樹脂を含浸させたカーボンシートを貼り合わせて作る一般的なプリプレグ成型法よりも手間はかかるが、設計どおり完璧に肉厚をコントロールでき、しかも内部のエアを完全に排除できる。さらに、カーボン繊維を端から端まで切らずに使うので衝撃やストレスに強く、プリプレグより劣化しにくいのも美点である。
アルプデュエズはこうした製法を継承しつつ、使用する素材の比率を見直しているのがポイントだ。カーボンブレードを構成している繊維はHS(標準弾性)カーボン、HM(高弾性)カーボン、ベクトランの3種類で、アルプデュエズではHMカーボンの比率をアイゾンの45%から55%へと増やしている。付け加えると、フレームを美しく見せるために使われる表層のコスメチック用カーボンを省略しており、これは軽量化だけでなく、見た目の印象を大きく変えることにも貢献している。
リヤブレーキおよび前後シフトワイヤの内装工作はアイゾンを踏襲する。だが、フレームに穴を開けることに対しては非常に慎重であり、例えば昨今トレンドとなりつつあるシマノDi2用のジャンクションA(EW-RS910)の内装化に関しては、カーボン繊維を断ちきることで力学的性質の大半が失われるとの理由から、これを採用していない。ダウンチューブに穴を開けて走行性能に多大なるマイナスの影響を与えるよりも、ステムの下に取り付けたり、ハンドルに内装する方がいいというのがタイムの開発スタッフの考え方だ。
クライミングバイクとして誕生したアルプデュエズ。2019年シーズンは待望のディスクブレーキ仕様が追加される。アクティブ、クラシックの両フォークが選択でき、チェーンラインを確保するためリムブレーキ仕様よりもリヤセンターを10㎜延ばしている。コンパクト感は薄れるものの、ダウンヒルでの安定感が向上しているという。カーボンホイールならディスクブレーキの方にアドバンテージがあるが、最良の選択は人それぞれだ。
タイム・アルプデュエズ 01
■フレームセット価格/59万円~81万円(税抜)
■フレーム/カーボン
■フォーク/カーボン
■フォーク仕様/クラシック、アクティブ
■シートポスト仕様/専用タイプ
■ブレーキシステム/リムブレーキ
■BB規格/386
■最大タイヤ幅/28mm
■参考重量/840g
■サイズ/XXS、XS、S、M、L、XL
■カラー/ホワイトブラックレギュラー、レッドブラックレギュラー、フランスエディション、カスタムヒーロー、レーシングエディション