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【タイム】ビンディングペダル解体新書2018
新製品
2018.11.08
タイム XPRO/XPRESSO系ペダル
セルフセンタリング機能搭載の独自機構であるフローティング機構を搭載したビンディングペダルシリーズ。
足を常にセンターへ戻そうとする力が働いていて、それでいて各関節にやさしいのが魅力。
足を常にセンターへ戻そうとする力が働いていて、それでいて各関節にやさしいのが魅力。
タイムの、アイクリッククリートが採用されて以降のXプロとエクスプレッソは、基本的に同じ設計。前者は裏面にカバーが付いたエアロペダルで、後者は軽量ペダル、という位置づけである。
そもそも、ビンディングペダルにフローティングという考えを持ち込んだタイムは、歴代ペダルにおいて固定モードは存在しなかったが、2016年に固定モードクリートが登場した。そして、そのフローティングの動きも独特で、足を常にセンターへ戻そうとする力が働いている。このため『ロード用のビンディングペダルは、タイムかタイム以外かの2種類だ』と言う者もいるぐらいだ。
クリートは左右水平方向への位置調整ができず、左右を入れ替えることでQファクターの広狭を選ぶ仕組み。このため位置調整は前後方向と取り付け角度のみとなり、他のビンディングペダルと比べると比較的容易となっている。
他社のビンディングペダルは、つま先を支点として足を扇状にしか動かすことができない。タイムのペダルはこの動きに加えて、左右水平方向にもわずかに動きの自由を持たせている。これにより各関節に対しても動きを制限しすぎないので負担を減らしつつ、ペダリングパワーを伝えることができる。他のメーカーのペダルで故障が出る人にはタイムのペダルを勧める人もいる。
クリートの動き
そのフローティングの動きの中心は、ペダルの後端(バックル部)を中心に動くというもの。ペダル先端を中心に動く製品(ルックケオクリートやシマノ青クリートなど)と比べると、足の開き具合(がに股or内股)が、かかと位置でのQファクターに及ぼす影響を抑えられる、というメリットが発生する。
※リリーススプリングテンション:今回編集部では、何㎏でリリースされるかを実測した。
価格:2800円(税抜)、3600円(税抜・固定クリート)
XPRO10
TIME XPRO10
価格:2万3000円(税抜)
裏面がスムージング化された、新型タイムの中核ペダル
タイムのペダルは、機能面におけるグレードごとの差別化はほぼされていない。乱暴に言えば、空力重視か軽量性重視かのデザインと、使用素材による重量が相違点となる。エアロ系中堅グレードとなるXプロ10を含め、スタックハイトなどは共通だ。クリートのキャッチに関しては、スプリングの硬さに頼らないIクリック機構が搭載され、女性など体重の軽いライダーでも着脱しやすい工夫がされる。カーボン製のリリーススプリングは、ペダル側のアジャスターによって3段階で硬さを調節できる。
計測値
①スタックハイト:15.1mm
②Qファクター:53±1.3mm
③フローティング角度:MAX 17度
④リリース角度:17度
⑤リリーススプリングテンション:2.9kg / 3.3kg / 3.5kg
⑥クリート調整幅:1.3mm(クリートを左右入れ替え式)、12mm(前後)
⑦重量:318g(クリートを含む左右ペア&取り付けボルトのセット/サンプル実測値)
⑧ロードクリアランス:―
⑨プラットフォーム幅:60mm
⑩ベアリングサポート幅:47mm
TIME user’s voice
実際にこのシリーズのペダルを使用している人に、気に入っている点やクリート選択理由などについて聞いた。
本誌ライター 菊地武洋
ペダルはできるだけ同じシステムを使うことにしている。仕事柄、いろんな自転車に乗るが、それを支えているのがタイム・エクスプレッソだ。比較するうえで、定まっているポイントが必要だし、同業者もみんな同じペダルをいっぱい持っている。
私もタイムのエクスプレッソを常に7~8個は用意している。選んだ理由は脱着がしやすく、ダイレクト感があるから。クリートは可動式のノーマル。これだと前後位置だけ決めれば、調整は終わり。神経質になりがちなポイントだけに、シビアにならずにいられるのはありがたい。クリートの耐摩耗性が低いのが唯一の弱点で、ちょっと感触が変わったら、すぐに交換している。クリートとタイヤは新しいほどいいからね。