オルカの末っ子 ORBEA ORCA BRONZE
各サイズの乗り味、操作性を統一
最上位グレードのオルカゴールドからテクノロジーを受け継ぎ、カーボンのグレードを変えて手の届きやすい価格としたモデル「オルカブロンズ」。上位のゴールド、シルバーよりも柔軟性を重視したフレーム特性となっている。見た目としての違いはシートポストが真円タイプになっていることぐらいだ。
フォークブレードとリヤステーは、エンドの手前で左右に開く「アトラクション」と呼ばれる特徴的な形状。路面からの振動を吸収するとともにパワーをしっかりと伝達する機能を持つ。サイズは48~60の6サイズが用意されているのだが、大きいサイズと小さいサイズを同じカーボンの積層で作ってしまうと乗り味や操作性が統一されない。そこをオルカブロンズは各サイズともカーボンの積層を変えることで、同一の乗り味を実現している。オルベアが先鞭をつけた設計技術であり、ラインナップのなかで小さいサイズを選ばざるをえない日本人にとってはありがたい。
シマノDi2のケーブル内蔵処理にも対応しており、上位モデルと同様にエッジの効いたデザイン、カラーパターンを採用しているので、サードグレードとはいえ見た目の安っぽさがないのは大きな魅力だ。価格以上に所有欲を満たしてくれるモデルである。完成車で購入後に、ホイールなどのパーツをアップグレードしてもいい。長くつきあえる一台だ。
オルベア・オルカブロンズ
フレームセット価格 19万9500円
シマノ・105完成車価格 23万1000円
シマノ・アルテグラ完成車価格 27万3000円
シマノ・アルテグラ Di2完成車価格 37万8000円
フレーム:オルベアカーボン
フォーク:オルベアカーボン
コンポーネント:シマノ・アルテグラ
ホイール:マヴィック・アクシウムS
タイヤ:ハッチンソン・エキノクス 700×23C
ハンドルバー:オルベアハンドル
ステム:オルベアステム
サドル:セライタリア・SL
シートポスト:オルベアシートポスト
試乗車実測重量:7.87km(51サイズ、ペダルなし)
サイズ:48、51、53、55、57、60
※完成車は48、51、53の3種類のみ
カラー:レッドホワイト、ブラックオレンジ、ブラックブルー、ホワイトアンスラサイト、ホワイトレッド
■写真下・左:横から見るとストレートだが、前から見ると先端手前で外側に広がっている「アトラクション」という形状。これにより、快適性と操縦性をバランスよく両立している。
■写真下・中:下ワンに1.5インチ径のベアリングを採用。自社のエアロダイナミクス研究施設での実験結果に基づき、空気抵抗低減と剛性の両立を考えた結果の形状となっている。
■写真下・右:大きく絞り込まれたリヤステー。リヤホイールからの衝撃を緩和しつつ、ペダリングパワーをしっかりと伝えることを考えたうえにデザインされた形状。
■写真下・左:上位の2モデルは専用シートポストを採用するが、ブロンズはシンプルな真円タイプ。シートクランプのデザインは上位グレードのものを受け継いでいる。径は31.6mm。
■写真下・右:BBの企画はBB30を採用することにより、ペダリングパワーをしっかりと受け止めることができる。完成車販売の場合はアダプターをかませて、24mm径のクランクがアッセンブルされる。
■遠目に見るとシフトワイヤを内蔵しているかのようだが、さにあらず。シフトワイヤの摺動抵抗を減らし、見た目もシンプル。デザインと機能を両立した作りだ。
CYCLE SPORTS.jp編集長・ナカジの試乗インプレッション
以前に試乗したオルカゴールド、シルバーと比べると、かなりおとなしい乗り味に仕上げられている。ゴールドとシルバーが年の近い兄弟だとすれば、末っ子はちょっと年がはなれているようだ。 平地の巡航性能はとても高く、速度が維持しやすくて気持ちがいい。フロントフォークやチェーンステー、シートステーに採用している独特の形状は、振動を吸収するという機能ももちろんあると思うが、個人的に評価したいのは路面追従性が上がっている部分だ。サスペンションのように細かく動き、タイヤが跳ねないようにしている。路面状況が変わっても、どっしりと接地面があるので、安心して走行することができる。巡航のしやすさにも貢献しているだろう。ロングライドにはもってこいのバイクだ。
なにより、このエッジが効いたデザインはほかにはない。ひと目でオルカだとわかるほど個性的。登場してから2年が経つが改めて見てもいいなと思えるし、所有欲を満たしてくれる。乗るために自転車へと向かっていくときのたたずまいがいい。やはり趣味のものなので、見た目の個性も大切だ。完成車としてのパッケージも魅力的。シマノ・105からシマノ・アルテグラ Di2までそろう。予算によってベースのコンポーネントを決定、あとでタイヤやホイールをグレードアップすれば、上位グレードと遜色ないフレームだ。個人的な好みで言えば、レースに使うにはちょっとゆったりしていると感じた。ペダルを踏み込んでいったときに、もう少し速く反応してほしいと思う。