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トータルインテグレーションの究極モデル、LOOK 695 AERO LIGHT

2010年にルックのフラッグシップモデルとして発売された695。その人気は高く、レース会場やサイクリングロードでもよく見かける。そんなルック史上に残る名車がついにモデルチェンジした。2013年6月、ツール・ド・フランス開幕直前のコルシカ島で行なわれた発表会では、ヘリコプターにニューモデルがぶら下げられて登場!世界各国から集まったジャーナリストをあ然とさせた。まずは「695エアロライト」をレポート。

 

text&photo:中島丈博

20%~30%空力性能が向上した、695エアロライト

通例では、ルックはモデルが新しくなるとモデル番号が進むのだが、名前に「695」という文字が残っているとおり、695のマイナーチェンジモデルという位置づけだ。ルックはこれまでにもロード用TTバイク596や、トラックロード用TTバイクを開発してきた。

 

そのノウハウに加えて、F1の世界でエアロダイナミクスの開発に17年携わったエンジニアが加わっている。これにより、695よりも20%~30%空力性能が向上している。

 

見た目でいちばん大きな変更点は、なんといっても前後の専用ブレーキキャリパー。フロントはフォークブレードをくり抜いて取り付けられる。これは同社の特許技術だ。

 

ブレーキ自体の構造はVブレーキとなる。ケーブルルーティングはステムからフォークコラムへとすべて内蔵処理される。リヤブレーキはBBの下。こちらもVブレーキ。キャリパーブレーキに比べて20%制動力が向上し、軽量化にも貢献している。最近登場したジップ・404ファイアクレストやマヴィック・CXRシリーズのようなリム幅が広いホイールも使用できるように調整機構が設けられている。

 

695エアロライトと695ライトに共通する進化のポイント

ブレーキ以外は「695エアロライト」と「695ライト」に共通する進化のポイントがいくつかある。

 

まずフレームに使用されるカーボン素材。1.5Kというプリプレグからルックがプロデュースしたカーボンを使用。これにより695と比べ695ライトは90gの軽量化を達成している。専用設計だったC-ステムも「エアロステム」となって新登場。今までは4本ベルト締めだったが、金属のプレートがハンドルを巻き込むようにしてハンドル後ろ側の2本のボルトで固定する構造になった。これにより形状がシンプルになり、空気抵抗が軽減されている。使用されるカーボンもフレーム同様にグレードアップされたので剛性も上がっているように感じた。

 

もうひとつの専用規格であるZED2クランクも、形状、構造は同じだが、使われるカーボングレードは上がっている。なお、より高剛性モデルのSRグレードは2014年モデルでは用意されないが、実際に試乗してみるとその理由がわかった。

 

CYCLE SPORTS .jp ナカジ編集長の試乗レポート

試乗するときは、乗る前にまずはバイクの見た目からその乗り味を想像してみる。そして、バイクを持ち上げて振ってみたりした感触を確認する。695エアロライトのそれは、その名のとおり軽い。持ち上げたときももちろんだが、走り出してもそうだ。ルック独特の、少ししなるけれどけっしてやわな感じはしない、気持ちのいい加速を楽しむことができる。

 

気になるブレーキ性能だが、独特なブレーキだからといって効きが悪いということはない。むしろしっかりと効く。ワイヤをフル内蔵しているがゆえにブレーキの引きが重いかとも思ったが、大きな影響はなかった。ただ、制動力の立ち上がりがキャリパーブレーキに比べてやや強烈なので、やはり慣れが必要だと思う。

 

ブレーキはTRPのアルミ製。ワイヤアジャストがベルギーのフレームメーカー、リドレー傘下のフォルツァ製なのも興味深い。ジップ・404ファイアクレストやマヴィック・CXR80のような幅広リムにも対応している。特殊な構造ゆえにメンテナンス性は気になるところだ。フロントフォークの肩に大きな穴を開けてブレーキを仕込むという、どう考えても剛性に影響を及ぼすような構造を採用している。

 

しかし、それによってフォークがやわになるということはない。ブレーキングでもコーナリングでも、よれてしまうような感じはしなかった。それをしっかりとカバーできるようにカーボンの積層を調整しているのだ。

 

試乗車のホイールはマヴィック・コスミックカーボンアルティメイトだったのだが、この組み合わせだとフレームもホイールもかっちりしているのでタイヤへの負担が大きすぎるように感じた。

 

上りや平坦では恐ろしく反応がよく、速くていいが、タイトコーナーが続く下りが含まれるコースでは要求される反射神経がシビアすぎてちょっと不安だった。まさに生粋のレーサー。過激な反応を返すバイクには、それに対応できるライダーの技量も必要だと感じた。

 

個人的にはカンパニョーロ・ボーラなどを合わせてみたい。とはいえ、ルックの個性が凝縮されたバイクであることは間違いない。同社の「これがベストなんだ!」というポリシーを随所に感じることができる。それゆえ、所有する喜びもひとしおだろう。

 

695エアロライトのステム、リヤブレーキ

 

 

右写真・上&中:ルック独自のステム「C-ステム」が「エアロステム」へと進化。ハンドルを前から巻き込むようにして、後ろ側の2本のボルトで固定している。ボルト部分もマグネットで固定するカバーが付くことで、空気抵抗をへらしている。

 

 

 

右写真・下:リヤブレーキはBB下側に取り付けられる。

 

695エアロライトのシートポスト

 

 

シートポストはEポストシステムを踏襲。シマノ、カンパニョーロのバッテリーをフレーム内に内蔵できる。

 

 

695エアロライトのフロントブレーキ、クランク

 

 

右写真・上:フロントブレーキはフォークに内蔵され、ワイヤもフォークコラムの中を通る。

 

 

 

右写真・下:フレーム同様、クランクのカーボンも変更された。

 

 

 

695エアロライトのシートステー

 

 

シートステーはリヤブレーキがないので、すっきりした見た目。

 

 

ルック 695 エアロライト

フレーム価格未定

10月発売予定

サイズ:49、51、53、55、57、59

カラー:プレミアムリフレクト、フラッシュブルー、プレミアムプロチーム、ホワイト阿シッド、プレミアムヘリテージ

 

 

これが695エアロライトの登場シーンだ!

 

 

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