らしさを継承して生まれ変わったデローザ、アイドル
ディスクブレーキ対応モデル
ジオメトリーを見てもわかるとおりヘッドチューブ寸法は長すぎることもなく、チェーンステーも標準的な数値に設定されており、あくまでもレーサーを基本とするモデルであると見てとれる。
でありながら快適性は十分に意識している。デザインにおけるチャームポイントとなる、初代アイドルからの特徴を継承したトップチューブからシートステーに至るアーチ状のシェイプはその一つであり、さらにスーパーキングにも似た極細のシートステー形状をを伴って快適性を大きく向上させる狙いだ。
近年のデローザは加速性などとともに快適性の確保を大きな一つのテーマにしていると聞くが、アイドルはそうしたコンセプトを明確に表した一台といえるだろう。
その一方でフレーム下側のパワーラインはテーパードヘッドチューブとBB386規格のハンガーまわりによって大径化され、効率的なパワートランスファーを追求しているのは言うまでもない。
そして新型アイドルにおけるもう一つのトピックは、ディスクブレーキへの対応だ。
ディスク台座こそないが、バックステーはディスクブレーキの搭載を考えてカーボンのレイアップや強度が考えられているという。
こうした次世代のブレーキシステムへの対応も含めて、あらゆる意味で注目されるデローザの新しい「アイドル」になるモデルといえるだろう。
デローザ・アイドル
フレームセット価格 26万2500円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:カンパニョーロ コーラス
ホイール:カンパニョーロ・バレットウルトラ50カルト
タイヤ:ミシュラン・プロ4SC
ハンドルバー:デダ・ゼロ100
ステム:デダ・100セルヴィッツィオコルセ
サドル:セライタリア・SLR
シートポスト:デダ・100
試乗車実測重量:7.12kg(サイズ54.5SL、ペダルなし)
サイズ:47SL、49.5SL、52SL、54.5SL、57SL、59.5SL
カラー:ブルー×ホワイト×マット、グレー×マット、ホワイト×マット、ブラック×ホワイト×マット
■写真下・左:ハンガーシェルはBB386規格に対応する。大径化されたダウンチューブからチェーンステーまでの流れるようなデザインが美しい。
■写真下・右:中ほどの位置でクランク状に曲げ加工が施され、快適性と駆動効率をバランスするチェーンステー。ディスクブレーキの搭載も見据える。
■写真下・左:底辺を大きくした台形の断面を持つトップチューブ。ヘッド側の断面積は大きく確保してフロントパートのねじれ剛性を高めている。
■写真下・右:圧倒的に横方向に薄く扁平加工されたシートステー。さらに弓状の形状が与えられ、垂直方向の荷重に柔軟に反応して快適性を高める。
吉本 司の試乗インプレッション
ルックスからも想像できるどおり、乗り心地はかなり高いレベルにある。
大きめのギャップを越えてもフレームのクッション性をしっかり体感できるほど。
加えてハンドリングはニュートラル。乗車時の前後の重量配分、重心位置も秀逸だ。
コーナリングなども無意味のままに理想的なラインを走れる感覚すらある。
これら卓越した乗りやすさは、デローザならではの美点だろう。
剛性レベルは適度で、若干のウイップを効果的に推進力へと換える。
低速での加速に鮮烈な印象はないが、とくにすばらしいのは平地や緩斜面の中高速域において、シッティングでパワーをかけつつスピードを上げる場面。
フレーム上下の絶妙な剛性バランスにより、踏み負けせず脚力を効率的に使い、速度をスムーズに上げられる。
ターゲットユーザーに最適な剛性レベルで、レースからロングライドまで走りの負担を総合的に軽減する好バランスが魅力的だ。