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スコットのエンデュランスロード、ソレイス20

その市場の大きさから各社が意欲作を投入するエンデュランスロード。

スコットがこのカテゴリーに殴り込みをかける新作がソレイスシリーズであり、なかでもキラーモデルともいえるのがサードグレードの「ソレイス20」だ。

 

 

text:吉本 司 photo:和田やずか

最先端のコンフォート設計と運動性能を両立

ロングライドやグランフォンドといった用途に必要な抜群の快適性を持ちながら、レースバイクに迫る運動性能を両立するのがソレイスの大きな開発テーマ。

 

そのためにフレームのアッパー部をコンフォートゾーンとし、ボトム部をパワーゾーンとする設計を展開。

これは最新ロードバイクでひとつの定番となる設計だが、ソレイスはさらに一歩踏み込んだ構造となる。それはリヤブレーキをチェーンステー下に移設したこと。

 

これによりシートステーはブレーキブリッジを省きつつも、極めて細く成型され、より効果的に柔軟性を発揮。快適性を高めている。

 

一方のパワーゾーンは、プレスフィット規格のボトムブラケットを中心とした大きなボリュームを持つハンガーまわり、上下異径ヘッドチューブ、左右非対称チェーンステーによって剛性を追求。

こうして乗り心地と駆動効率のよさという相反する性能を、高い次元で両立させることを可能にした。

 

最先端のコンフォート設計を施したフレームには、話題の新型シマノ・アルテグラを中心としたコンポを搭載。

ロングライドやグランフォンドにおいて、まったく不足のないスペックとしながらも抜群のお買い得感を実現している。

 

スコット・ソレイス20

SCOTT SOLACE20

シマノ・アルテグラ6800完成車価格 36万7500円

 

フレーム:カーボン

フォーク:カーボン

コンポーネント:シマノ・アルテグラ6800

ホイール:シンクロス・RP2.0

タイヤ:シュワルベ・デュラーノ

ハンドルバー:シンクロス・RR2.0 CRMO

ステム:シンクロス・FL2.0

サドル:シンクロス・RR2.0

シートポスト:シンクロス・FL1.0

試乗車実測重量:7.41kg(Mサイズ、ペダルなし)

サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL、XXL

※XXLは受注生産のみ

カラー:ブラック×レッド

 

■シートステーの高い柔軟性を実現するため、リヤブレーキはシマノのダイレクトマウントタイプを用いてチェーンステー下に装備する。

 

■写真下・左:ダウンチューブからチェーンステーまで一体感のある形が特徴的なハンガー部。この部分をひとつの構造体とし、ねじれ剛性を高める。

 

■写真下・右:フロントのフォークエンドは後方にオフセットされるように装備される。路面からの突き上げの力を上方向に抜くための処理だ。

 

■角形に近い断面形状に成型されたボリューム感あふれるチェーンステー。応力に合わせた左右異形状とすることで、最適な剛性を追求する。

 

■写真下・左:極細のシートステーは、外側に張り出すようにシート部に接続される。接続位置を広げることにより、ねじれ剛性を高める効果がある。

 

■写真下・右:フォークブレードは、外側にわずかなアールを持たせた形状。路面からの突き上げに対して衝撃を分散し、乗り心地を高めている。

 

吉本 司の試乗インプレッション

レースバイクや軽量車が持つ鋭さとはまた違った走りの軽さを持つバイクといえる。たとえるなら「ふわり」と軽いという感覚で、少ない脚の力でなめらかにバイクが前に出る印象が強い。

かといって剛性面に不安はなく、むしろパワーラインはしっかりとしている。しなやかさのあるアッパー部でフレーム全体の剛性がうまく調整されていて、ペダリングのリズムをつかみやすい。

 

瞬間的に大きなトルクをかけるような走りでは、バックステーがもう少し硬いと反応性はより高まると思うが、快適性とのバランスを考えれば納得のレベルだ。加速性能自体を不満に思うこともないだろう。

想像どおりバックステーは垂直方向に対する柔軟性が高く、フロントフォークとともに路面の不快な振動をしっかりとカットして乗り心地のよさはこのクラスで最高レベル。

軽くなめらかな走り、という言葉が当てはまる、上質なライディングフィールを実現した一台だ。