ORBEA AVANT、ディスクブレーキ対応のオールロード
キャリパーブレーキも装備できる拡張性を有するフレーム
完全なる新設計のフルカーボンフレームは、ディスクブレーキ対応の設計だが、一般的なキャリパーブレーキ(リヤはチェーンステー下にVタイプを取り付け)も装備できる優れた拡張性を有するのは特筆すべき点だ。
そしてタイヤは最大で28Cサイズを飲み込む。
さらにマッドガードやキャリアのステーを装備できる直付け台座は、バイクのフォルムを壊さぬようにスマートに設置され、人気が高まりつつあるグラベルロードからツーリングまで幅広いシーンに対応したスペックに仕上げている。
ジオメトリーはレースバイクをベースに前後のホイールベースを長めに確保して快適性を重視したもの。
しかしながらピュアレーシングモデルのオルカシリーズで培われたテクノロジーを反映させて、平凡なロングライドモデルとは一線を画すレースライクな運動性能も同時に追求している。
今やオルベアの代名詞となりつつある特徴的なベンドスタイルのバックステーとフォークブレードにはじまり、プレスフィットタイプのハンガー、テーパードヘッド、フル内蔵式のワイヤシステムなど最新ロードバイクのトレンドとなる機能も網羅した「アヴァン」。
オルベアらしさを持ちつつも充実のパッケージを実現したマルチロードといえるだろう。
ORBEA AVANT
オルベア・アヴァン 33万6000円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・アルテグラ6800
ホイール:シマノ・RX31
タイヤ:ハッチンソン・フュージョン3 700×23C
ハンドルバー:オリジナル
ステム:FSA・チームイシュー
サドル:セライタリア・ネッカー
シートポスト:オリジナル
試乗車実測重量:8.59kg(51サイズ、ペダルなし)
サイズ:47、49、51、53、55
カラー:カーボンブルー、カーボンレッド
■バックステーのエンド側もまた、クランク状にベンド加工される。乗り心地を高めつつもペダリングトルクをロスしない、オルベアならではの考え抜かれた設計といえる。
■フォークブレードの先端付近は、クランク状のベンド加工を施す。優れた乗り心地とディスクブレーキの制動力を受け止める。フォークブレードの剛性をバランスしている。
■下側のベアリング径を広げたヘッドチューブ構造を採用。ディスク化で求められるフォーク剛性向上にも効果を発揮する。シフトワイヤはヘッド部からフレーム内に挿入される。
■リヤのディスクブレーキキャリパーは、チェーンステーマウントの構造。制動時のハウリング抑制をはじめ、ディスクブレーキの制動力を安定的に発揮するための設計だ。
■トップチューブはヘッド側を横方向に扁平させ、ねじれ剛性を稼ぐものの、センター部は縦方向に強く扁平加工している。フレーム前三角の横剛性を調整するための仕様だ。
吉本 司の試乗レポート
ロードレースをメインターゲットにしないだけあって、全体的な剛性はややしなやかな方向で、その特性を上手に実現した走行性能を持つ一台といえる。
パワーラインのしなりの戻り感とペダリングリズムの同調性に優れていて、スムーズに走れる感覚に長けているのが最大の魅力だ。
鋭さというより、フワッとした質を持つ走りの軽さで、その感覚は前衛的な造けいで魅了した2代目オルカを少しばかり思いおこさせる。
加速の切れで魅了するタイプではないが、するすると滑らかに速度が増す走りには、とくにホビーサイクリストにとっては脚に負担をかけず無理なく乗れるので、最終的にはエンデュランスライドのタイムを縮めることができるに違いない。
そしてロングホイールベースによる優れた安定性は、ディスクブレーキ化によって重心位置が下がることにより、さらなる利点が生まれる。
加えて安定感を重視した、しかし扱いはニュートラルなハンドリングとなめらかなペダリングフィール、さらにはフレーム全体でショックを吸収する乗り心地のよさが相まって、時速30~40kmの巡航走行は抜群の安定感と気持ちよさ。
また、この優れた走行安定性はダート走行でもライダーを優位に導いてくれるに違いない。
一般的なブレーキシステムも装備できる幅広い拡張性、さらにオールロードの用途にマッチする走行性能を持つ「アヴァン」の存在は、ロングライド派はもとよりディスクロードが気がかりな2台目以降のバイクを求めるサイクリストにも魅力的なパッケージといえるだろう。