オルベア・アヴァンハイドロ【10万円台からのロードバイク・シリーズ】
アルミのイメージを覆す快適な乗り心地
スペイン北部にあるエイバルにて1840年に創業したオルベアは、ヨーロッパ最大規模の総合自転車メーカーであり、1970年代からプロサイクリングチームへの機材供給を行なってきた。
このアヴァンは、今シーズンに誕生したばかりの新しいシリーズ。昨今、ロードバイクの需要は多岐にわたっており、他人との順位やタイムを競う本来の使い方とは別に、より遠くへ、どんな状況でも快適に走りたいという、ロングライドに対してのニーズが高まってきている。
そうした声に応えるべく、オルベアが満を持して投入したのがこのアヴァンなのだ。 昨年末、アヴァンのカーボンモデルが発表されたのだが、オールロードというコンセプトに人気が集まり、瞬く間に完売。
そこで急きょ、来シーズンから投入予定だったこのアルミモデルが日本市場に先行上陸することとなった。
フレームの素材が異なるとはいえ、リラックスした乗車姿勢を目的としたジオメトリーはカーボン モデルと共通であり、またマッドガードが追加できるという凝った作りも同じだ。
トリプルバテッドのアルミパイプをハイドロフォーミング(液圧成型)によって有機的に加工しており、流行のマット系カラーとの相乗効果で、グレードを超えた存在感を漂わせる。
コンポは9速のソラ、ホイール は本スポークのJIS組オリジナルで、価格は5%の税込みで10万円を切っている。買いやすいだ けでなく長く楽しめる一台だ。
ORBEA AVANT H
オルベア・アヴァンハイドロ
シマノ・ソラ完成車価格/9万5000円(税抜)
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・ソラ
ホイール:オリジナル
タイヤ:ヴィットリア・ザフィーロ 700×23C
ハンドルバー:オリジナル
ステム:オリジナル
サドル:セライタリア・H1
シートポスト:オリジナル
試乗車実測重量:9.60kg(51サイズ、ペダルなし)
サイズ:47、49、51、53、55
カラー:アンスラサイトレッド、アンスラサイトブルー
コンポはシマノのソラ。上から5番目のグレードでカセットスプロケットは9速となるが、デュアルコントロールレバー上部にギヤ段数が表示されるのは便利
ロードバイクの場合、BB下部のワイヤリードにインナーワイヤを通すが、このアヴァンはフルアウター式として異物や水分によるワイヤのトラブルを極力排除
ヘッドパーツのサイズは上下とも1-1/8インチというオーソドックスなもの。エンデュランス系のト レンドにのっとり、ヘッドチューブは長めに設計される
限りなくストレートに近い形状のカーボンフォーク。コラムはアルミ製だ。ホイールは前後ともオルベアのオリジナルで、ハブはシマノの2200シリーズを採用
レースカテゴリーのオルカシリーズを彷彿とさせるシート&チェーンステーの曲げ加工。エンド部にはマッドガードを取り付けるためのネジ穴が設けられている
大屋雄一の試乗レポート
10kgに迫る実測重量は、昨今のロードバイクとしては重い部類だ。だが、走り出しての印象は軽く、しかもアルミフレームとは思えないほどの乗り心地のよさに驚かされた。
ベンド加工されたシートステーの上端がトップチューブよりもやや下にあること、また手組みアレンジのホイールなどが、路面からのショックをうまく吸収しているのだろう。
付け加えると、標準装備のセライタリアの穴開きサドルもこの快適性に貢献 しており、絶妙なパーツアッセンブルといえる。
同じアルミロードのアクアよりもホイールベースは10mmほど長く、ハンドリングは安定志向ではあり、舵角の付き方もナチュラルであるゆえに扱いやすい。
ソラのデュアルコントロールレバーはブラケットの部分が細身なので、手が小さい人でもしっかり握れるというメリットがある。
制動力が上位コンポよりもやや低いことが気になったが、これはパーツ交換で対処可能だ。ロングライド入門者はもちろん、ベテランのセカンドバイクとしてもお勧めできるモデルだ。