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ワンランク上のヒルクライマーになりたい! 日向涼子と強くなる! 2ヶ月目

ヒルクライムの魅力に目覚めてしまったモデル日向涼子が、シーナックキャビンの中込由香里選手に弟子入り。より高いレベルを目指すために必要なトレーニングをレポートする新連載! 「がむしゃらに走っている」から、さらに上のレベルになりたい人。日向涼子と強くなろう!
text&illust●日向涼子 photo●岩崎竜太

2ヶ月目に突入! 気をつけるポイントは?

中込:それでは2ヶ月目メニューに入りましょうか。ところで、1ヶ月目のメニューは6月いっぱいまでだったけど、7月1日から今日まではどのように過ごしましたか?
 
日向:レースまでの過ごし方は、
1.レース当日(9/1)にピークを持っていけるように、トレーニングを上げていけるようにする。
2.大まかに期間を3つに分け、トレーニングの中心にする物を明確にする。
3.それぞれの期で少しずつ量や質をあげていき、疲労をとって次の期に進む
以上の3つを言われていたので、この1週間は“休息を取って2ヶ月目メニューに備える”つもりでしたが…
 
中込:言いにくそうね(笑)
 
日向:『休息=何もしない』だと思って、3日くらいは本当に何もしなかったのですが、だんだん不安になってきて……
 
中込:最後に追い込んじゃった?
 
日向:はい……。
 
中込: 「疲労を取る事が苦手」「休む事が苦手」というのは、私もそうだから、気持ちはよくわかります。でも、身体は鍛えれば鍛える程強くなるというものでは無くて、当然鍛えれば疲労もしてくるわけで。強化と休息を上手く組み合わせていかないと強くなれません。なので、質や量を上げていって疲労した身体を回復させた状態で次のセクションを迎えるのが望ましいのです。
 
日向:回復させないと強くなれないとは!疲労困憊という感覚はなかったし、休むと1ヶ月間やったことが無駄になるんじゃないかと焦っていました。
 
中込:6月にやってきたトレーニングで、特に疲れている感じもなく、次へのトレーニング意欲満々という感じであれば、そんなに休む必要はないかもしれない。でも休みたいって感じていたり次への意欲がなくなっていたら、休んでリフレッシュしてあげる事は必須です。
 
日向:休みたいと感じていたら、その1週間はまったく運動をしない方がいいのでしょうか。
 
中込:「疲労をとる、休息する」の説明不足でしたね。すみません。毎日毎日レースに追われるプロ選手やそれに近い選手、身体に問題がある場合などを除いて。シーズン中に1週間まったく運動をしない期間を作るというのはまずありえませんね。
「もし可能であれば、もう休みたい!」って思えるくらい練習出来ていたら素晴らしいし、完全休養日は何日か必要でしょう。それでも、1週間まったく運動をしないのではなく、この期間は、質・量共に今までやってきたよりも減らしてください。
 
日向:私はヨガが好きですが、例えば、いつもよりヨガの時間を多めにとるのはどうですか?
 
中込:日向さんは普段もっとヨガをやりたいのにその時間を自転車に費やしていると思うので、それは理想的です。ヨガは自転車にも役立つし良い気分転換にもなる。知らず知らずのうちに、どんどん疲労していっちゃうのは怖いですからね。出来るだけ、やることにメリハリをつけるのを心がけましょう。
 
日向:なるほど。重要なのはメリハリですね。『上手な休息もトレーニングのうち』だと思って次に生かします。
それでは今月もよろしくお願いします!
 
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・2ヶ月目(7/8~8/4)
強度をあげていく
平日45分のローラーの場合(今までやってきた週3のトレーニングの中に週1~2回インターバルトレーニングを入れる)
メイン練習
10分アップ
10分頑張れる位の強度で10分(10分流し)×1~2回
5~10分ダウン
期の後半に入れてもよい練習
10分アップ
3分(3分流し)×3   1~2セット・・・3分間同じパワーが継続し続けられて、しかも3回ギリギリ維持出来るか出来ないか位の強度
5~10分ダウン
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タイムアップのキモはなに?

中込:回復期の過ごし方はさっき聞いたけど、トレーニング期はどうでした?
 
日向:「今日は調子がいいぞ!」と思った日でも、わずかな差しか出なくて。そのくせ、悪い時はガクッ落ちるので自信をなくしそうです。
 
中込:タイムを縮めるって、すごく大変ですよね。そこで今回は、タイムアップに欠かせない“ダンシング”を取り入れて出力を上げる練習をしましょう。
 
日向:やはりダンシングですか…。私、ダンシングをするとすごく疲れるからレース中に脚が売り切れそうで…。怖くてなかなか使えないんです。
 
中込:なるほど。3ヶ月を通して課題とした筋トレは続いていますか?
 
日向:はい。最初は膝をついていた腕立ても、今は膝を浮かせて出来るようになりました。それでも10回ですが…。
 
中込 : それは素晴らしい!それなら今までよりは楽に出来るようになっているはず。早速やってみましょう!
 

ダンシングを自分のものにしよう!

【NG】
・上体が上下左右へ動いている
・バイクが動いていない
 
中込:一見、出来ているように見えるけど、効率的なダンシングではないですね。
 
日向:(ガーン!)
 


中込:サドルから離れた途端、支点が定まらなくなって上体が上下左右に動いているのに、バイクはまっすぐのまま。上半身の力が上手く使えていないので、頑張っている割にバイクは前に進みません。抱え込むように軽くヒジを曲げ、上半身の力をよりダイレクトにペダルに伝える為に車体を傾ける意識をしましょう。それから日向さんの場合、少しアゴを引いて上目遣いのイメージで走るといいですね。
 
日向:なるほど! 師匠、もう一回やらせてください!!
 


【ポイント】
・上体は安定
・バイクのみ動く
・振りすぎても力が逃げるので動きはコンパクトに
 
 
中込:うん。すごく格好よくなった!
 
日向:ほ、本当ですか!?
 
中込:今はまだぎこちなく感じるかもしれないけれど、うまく体重を利用できるようになれば、筋肉への負担を抑えつつ、より高い出力で走れるようになりますよ。
 
日向:ええっ!? そんな夢みたいなことが!
 
中込:シッティングでは、踏み込む時に脚の筋力を使うでしょ?筋力の代わりに自分の体重を使えば……どう?
 
日向:(確かに、でも……)
 
中込:ただ、動きが大きくなる分、心肺への負担も大きくなるから長時間の維持は難しいかもね。
 
日向:(やっぱり…
 
中込:それでも、同じ筋肉を使い続けて走るよりはメリットが大きいし、体幹を鍛えて支点が安定すれば、今より楽に走れるようになるはず。
 
 

「体幹」って聞いたことある?

日向:体幹! 最近よく耳にする言葉ですね。
 
中込:ペタリングの出力の支点は体幹にあるのだけど、シッティングではサドルが支えてくれるので安定して感じられても、ダンシングは支えてくれるサドルが無いわけで。体幹が弱いと腰が不必要に動いてしまって、スムーズなペダリングが困難になるの。
ということは、体幹を鍛えればスムーズなペダリングを継続させつつ、より出力の高い走りが出来るようになるということよ。
 
 
 

ストレッチポールを使って、体幹を鍛える!

日向:すごい!師匠オススメの体幹トレーニングがあれば教えてください!!
 
中込:私のオススメはストレッチポール。体幹トレーニングだけでなく、体のゆがみも正してくれて気持ちいいですよ。 
 
【ストレッチポールでの体幹トレーニング】

1.腕上げトレーニング

上げた右手を頭の方へ、左手を体側のほうへ持っていき、交互に腕を入れ替える。手を動かしていても、ポールの上で安定したフォームが取れるようにする。
 

2.脚上げトレーニング

右足を床から離しては戻す。反対の足も同じように行なう。 


3.両脚上げトレーニング

両足をそろえ、ゆっくりと持ち上げる。両足が床から離れてもストレッチポールの上で安定を保ち、ゆっくりと元の位置に戻す。
 
 
 【ストレッチポールでのエクササイズ】
 
1.肩甲骨運動 
 
腕を天井に向かって少し引き上げる。肩甲骨がポールから離れて、背骨がポールについていく。ゆっくりと腕をもとの位置まで戻す。
 

2.小さな揺らぎ運動

体の力を全部抜いて、ストレッチポールを背中で転がし、左右にコロコロと体ごと揺らす。ストレッチポールで背中をマッサージするように、気持ちよくコロコロと転がる。
 

3.腕の外転運動
 
ゆっくり腕を広げる。床が腕から離れないで楽に上げられるところまで腕を広げ、ゆっくりとその腕を下ろす。
 
 
4.足のワイパー運動
両足をゆっくり伸ばす。伸ばした状態で、つま先を内側・外側と小さな力で動かす。両足で「バイバイ」をするイメージ。 
 
 

 
 
 

【日向涼子、今月の感想】

 
子供の頃から、坂にさしかかると自然とやっていた“立ち漕ぎ”は、ママチャリがロードバイクとなり、ポタリングがレースと変化しても、やり方は我流のまま、なんとなく出来た気になっていましたが、『キツイから、やらずに済むならやりたくないこと』であり、レースではほとんど使わないままでした。
でも、今回のように短い期間でのタイム短縮には、苦手や無駄を減らすこと、効率的な運動をすることが課題。
残り2ヶ月、『効率的なダンシングを自分のものにする』のが、私にとって大きなカギとなりそうです。
 
 
ワンランク上のヒルクライマーになりたい! 日向涼子と強くなる!休息編
取材協力:シーナック・キャビン http://www.sy-nak.com/sy-nak.htm

問い合わせ先

衣装協力:KAPELMUUR/カペルミュール(ウエイブワン)
http://www.wave-one.com/