コルナゴ CX-ゼロ ディスク 試乗レポート
多くのエンデュランス志向のライダーにマッチする性能
このモデルのベースになるのは今季のニューカマー「CXゼロ」。これまでの「CX-1」を受け継ぎながらも、よりエンデュランス志向の性能が与えられている。
快適性のためのギミックは見た目にもわかりやすく、アーチ状のトップチューブ、リーフ形状のシートステー、そしてベンドしたチェーンステーだ。
さらに27.2mm外径のシートポストと幅25mmまでのタイヤを装備できる設計により、乗り心地の良さを最大化している。
CXゼロは快適性だけでなく、パリ~ルーベなど北のクラシックを見据えたレース性能も追求される。
これまでスレッド式のハンガーシェルにこだわってきたコルナゴがついにプレスフィット規格の採用に踏み切ったのも、大径ダウンチューブによる反応性の良さを最大限に引き出すためだろう。
ディスクブレーキ化については、リヤ側はC59にならいチェーンステーマウントタイプとし、フロントフォークはクラウンからブレードのボリュームアップによって安定した制動性を求めている。
快適ライディングを構成するための要素は、乗り心地だけではなく信頼できる操作性も欠かせない。
CXゼロ ディスクは、全天候で安定した制動を発揮しやすいディスクブレーキを装備して、ライダーに心身ともに快適性を与えてくれる。
最新のエンデュランスパッケージを実現した一台といえる。
コルナゴ CXゼロ ディスク
フレームセット価格 37万円(税抜)
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・アルテグラ6800
ホイール:コルナゴ・アルテミスRR1
タイヤ:ヴィットリア・コルサ 700×23C
ハンドルバー:デダ・RHM02
ステム:デダ・ゼロ2
サドル:セライタリア・SLR
シートポスト:デダ・ゼロ100
試乗車実測重量:7.66kg(サイズ520S、ペダルなし)
サイズ:420S、450S、480S、500S、520S、540S
※560S以上は受注発注
カラー:ブルー、ブラック、ホワイト、マットブラック
幅を広げたプレスフィットタイプのハンガーシェルを導入。この部分に接合するチューブをシェル幅の面位置にして、ねじれ剛性の向上を狙うとともに、軽量化にも貢献する。
振動吸収性を高めるために、利やエンド側を上方にベンドさせた大胆な形状のチェーンステー。利やエンドはコンパクトに設計され、内蔵式ワイヤとともにスマートな仕上がり。
制動時の大きな力を受け止めるために、ディスクブレーキ台座はチェーンステー側に設置する。キャリパーの形状にもよるが、試乗車の仕様ではワイヤリングが若干厳しい印象。
吉本 司の試乗レポート
位置づけとしてはエンデュランス志向のモデルだが、フレーム剛性にやわな印象はない。とくに前三角は、大径のダウンチューブとプレスフィット式ハンガーシェルの効果もあって、高トルクのペダリングも十分に受け止めてくれる。
後三角で脚当たりのよさを調節しているようで、ペダリングでのストレスも抑えられている。さらに路面からの突き上げも十分なレベルで緩和してくれるので、腰への負担はかなり少ないと感じた。
踏み出しは軽く、上りも軽快にこなす。平地の巡航でもペダリングしやすいので、滑らかにバイクが進む。レース系のモデルと比べると、スプリントなど大きなトルクで踏んだときの伸びが少し抑えられている印象だ。
しかし一般的なライダーにとっては、その分脚当たりのいいペダリングと十分な快適性を得られるので、そのあたりはトレードオフと考えるべきだろう。
ハンドリングはコルナゴらしい安定感をある程度残しつつも、より素直に入力に対して反応するので、より万人に対してバランスのいい性能といえる。
幸か不幸か雨中での試乗だったので、晴天時と制動力の変わらないディスクブレーキの恩恵を得られた。
とくに試乗車のようなカーボンリムの場合、その効果は大きいだろう。また急制動におけるフォークの剛性感も十分安心できるものだった。
ディスクブレーキの有無はともかく、CXゼロは加速性能と乗り心地、直進性と旋回性は上手にバランスされた素直な走行感覚が魅力であり、その性能は多くのエンデュランス志向のライダーにマッチするだろう。