TIME ZXRS 試乗レポート
都内~神奈川県のヤビツ峠、往復約200kmを試乗
フランスのバイクといえば、ある種独特の雰囲気をたたえている。手間がかかっても「自分たちの考えているもののほうがずっといい」と言わんばかりに、 独自規格を盛り込んでくる。
タイムも例外ではなく、アンカーナットなしで固定できるクイックヘッドセット。フレーム製造には、RTM工法というF1マシンやハイエンドスポーツカー製造の世界でも、形状の自由さ、精度、品質の 高さを実現できることから採用されている製造方法を用いる。カー ボンシートを金型に合わせて貼り合わせるのとは違う。
ステムの裏側には、シマノ Di 2のジャンクションAをネジ止めするための加工が施され、タイラップを使わずともスマートに取り付けることができる。また、 シートステーはエアロフィンが追加されている。
また、タイヤクリアランスを確保するためにチェ ーンステーが2mm延長されている。レースの現場では 24Cや25Cといった太めのタイヤを装着する風潮になっているからだ。
たったそれだけ、といえばそれだけだが、モデル名を変えることなく必要なブラッシュアップを加えるという方針がステキ。
「いいバイク」といわれるモデルはたくさんあるが、いざ購入するならそのブランドの心意気も気になるところだろう。 そう考えると、ちょっとした気遣いができるブランドは、それ以外の部分にもきっとこだわりがあると想像させてくれる。
TIME ZXRS
タイム ZXRS
フレームセット価格/48~52万円(税抜)
※フレームカラーにより価格が異なります
レーム●カーボン
フォーク●カーボン
コンポーネント●カンパニョーロ・スーパーレコード
ホイール●カンパニョーロ・ボーラウルトラツー
タイヤ●ハッチンソン・カーボンコンプ700×23 C
ハンドルバー●タイム・エルゴドライブ
ステム●タイム・モノリンクフルカーボン
サドル ●サンマルコ・アスピデカーボンFX
シートポスト●タイム・トランスリンクシートポスト
試乗車実測重量●6.37kg(XSサイズ、ペダルなし)
サイズ● XXS、XS、S、M、L、XL
カラー●VIP、チーム、エベーヌ
シートステーは後ろ方向にフィンが延長されている。これによってブレーキキャリパーとのクリアランスが狭まり、エアロ効果が高められているという
フレームとセット販売される、モノリンクステム。裏側に開いている小さな穴が、シマノDi2のジャンクションを取り付けるために改良された部分
下ワンに1.5インチ径のベアリングを採用する上下異径だが、見た目はそこまでごつくない。リブと相まってハンドリングの剛性を確保している
BBはBB30規格を採用。ダウンチューブはBBの内側に差し込む構造になっているが、トップチューブとシートチューブはトップチューブが外側と、逆になっている
トップチューブに設けられているコブはエアロ効果を狙ったものではなくヘッドチューブの剛性をアップし、安定したハンドリングを演出する。
ナカジの試乗レポート
マイナーチェンジモデルについてどんな試乗記事を書けるのかという不安があった。それもあって、都内から神奈川県のヤビツ峠を上り、往復約200kmを試乗。
相変わらず心地よい加速。価格さえもっと手の届きやすいものなら......。なんて考えてしまうが、これだけの性能を誰もが手に入れてしまったら、アドバ ンテージがなくなってしまう。
シフトワイヤの取りまわしはダウンチューブにワイヤエンドが付いていて、最新バイク!とい う雰囲気はやや弱い。
それでも走りはすごくいい。危険回避などの、とっさの動作に反応してくれる。姿勢を乱したときでも、 リカバリーできるし、転ばず踏 ん張れるところに感じる。
200kmを走ってとくに思うの は、ライドの後半でも脚力を残 すことができるフレームだということ。快適性ばかりを追い求めたフレームではもちろんないのだが、快適ゆえに平均スピー ドが落ちにくい。
フレームのバランスのよさが、疲労の少なさにつながっていく。仮に試乗の日がいつもより調子がよかったとしても、かなり脚力を温存で きていたと思う。
マイナーチェンジ前のZXRS との違いを感じるのは難しい。 チェーンステーが延びているので、気持ち今回試乗したZXRS のほうが、クイックさが少なく て自分には扱いやすいように思う。
もっと乗り込んでいったら また違う印象になるかもしれない。もちろん、性能が落ちているという印象は微塵もない。マイナーチェンジ部分は間違いなく必要な性能。最高を求める飽くなき姿勢は大きな魅力だ。