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タイム・スカイロン試乗レポート

タイムのフラッグシップモデルは2年ぶりにフルモデルチェンジした。「スカイロン」はタイムの考える最高性能の新しい方向性が示されたモデルとなっている。
 
text:ナカジ photo:小見哲彦

タイム新時代の幕開けを告げる一台

2013年に発売されたZXRSは、2006年に登場したRXRの流れを組むモデルであった。新城選手がブイグテレコム時代に使用していたRXR ULTEAMは、カーボンラグを用いて各パイプを接合する作りだった。 ついで登場したRXRS ULTEAMは、RXR ULTEAMの剛性をより高めた。そしてZXRS。より剛性と空力性能を煮詰めていった最終形態として発表された。
 
空力性能について、ZXRSまではエッジの効いたチューブを用いていたが、スカイロンは一転して各部が丸みを帯びた形へと変更されている。この形が、タイムの考える空力性能に優れた新しい形状なのだ。直方体に風を当てて、どんどん空力性能がよくなるように削り込んでいった結果得られた形状だという。 
 
次は剛性のアップだ。ZXRSではトップ・ダウン・ヘッドチューブがモノコックだったものが、前三角がモノコック成型に、チェーンステーが左右非対称となり、さらにモノコックに仕上がった。これによって、ペダリングパワーをよりダイレクトにリヤホイールへと伝えることを狙っている。また、フレーム前三角との接合面積が大きく取れることにも貢献している。ねじれ剛性が30%、BB周辺に至っては45%アップしている。
 
ノンドライブ側が太くなっているチェーンステー。シートステーとあわせてコンパクトなリヤセクションを構成し、ペダリングパワーのロスを抑える
ノンドライブ側が太くなっているチェーンステー。シートステーとあわせてコンパクトなリヤセクションを構成し、ペダリングパワーのロスを抑える
BB規格にはBB386を採用。剛性が45%もアップされている。シートチューブの形状も左右非対称となっている
BB規格にはBB386を採用。剛性が45%もアップされている。シートチューブの形状も左右非対称となっている
ZXRSに比べ、かなりボリュームアップが図られている。エアロダイナミクスを意識し、ヘッドチューブ、 ダウンチューブに滑らかにつながるようなフォルムになっている
ZXRSに比べ、かなりボリュームアップが図られている。エアロダイナミクスを意識し、ヘッドチューブ、 ダウンチューブに滑らかにつながるようなフォルムになっている
下ワンには1.5インチ径のベアリングを採用。かな り丸みを帯びた形状に変更されている。空力性能が向上しているほか、ねじれ剛性も30%アップしている
下ワンには1.5インチ径のベアリングを採用。かな り丸みを帯びた形状に変更されている。空力性能が向上しているほか、ねじれ剛性も30%アップしている
ボリューム感あふれるBBエリアの根元をよく見てみると、左右のチェーンステーがまとめて接合されているのがわかる。 スカイロンの走りのキャラクターに大きく影響している
ボリューム感あふれるBBエリアの根元をよく見てみると、左右のチェーンステーがまとめて接合されているのがわかる。 スカイロンの走りのキャラクターに大きく影響している

ナカジの試乗レポート

かなり硬質な乗り味。とくにダンシングでの反応のよさが際立っている。ハンドリングは、フレームの硬さから想像するよりもおとなしい仕上がり。ただ、タイムらしいかどうかという点においては、戸惑う人が多いと思う。自分が思うしなりを生かして乗りこなすタイムの走りからすると、その印象が薄らいでいる。
 
RXRS、ZXRS、スカ イロンと試乗してきたが、硬さがだんだんと強調されて進化してきた。ただ、 RXRSからZXRSへのレベルアップよりも、ZXRSからスカイロンへの硬さのレベルアップのほうが大きい印象。それゆえかねてからのタイムファンの中には、ちょっと違和感を覚える人もいるのではないだろうか。
 
だが、一台のロードバイクとして改めてスカイロンと向き合ったとき、レーシーなバイクであると感じる。ハンドリングもいっそのこと、もっとクイックにしてもよかったのではないかとすら思う。パワーがある人は、その踏み応えを気に入ると思う。
 

TIME SKYLON タイム・スカイロン

フレームセット価格/48万円(税抜) 
 
フレーム●カーボン
フォーク●カーボン 
コンポーネント●カンパニョーロ・スーパーレコードEPS 
ホイール●カンパニョーロ・ボーラウルトラTWO 
タイヤ●ハッチンソン・プロツアー 24C 
ハンドルバー●タイム・エルゴドライブ 
ステム●タイム・モノリンクアルティウム 
サドル●サンマルコ・マントラレーシング 
シートポスト●タイム・ダイレクトリンク 
試乗車実測重量●6.69kg(Sサイズ、ペダルなし) 
サイズ●XXS、XS、S、M、L、XL 
カラー●ホワイト×マット、チーム×マット、レッド×グロス、プラズマ×マット
 
※インプレッション車は、市販モデルと仕様が異なる場合があります
 

問い合わせ先

ダイナソア
0742-64-3555
http://www.dinosaur-gr.com