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アムステル・ゴールドレース2015

UCIワールドツアーのアムステル・ゴールドレース 2015は、世界チャンピオンのクフィアトコフスキーが優勝して50回記念に花を添えた

 

photo: Graham Watson / cyclesports.jp

アルカンシエルの勝利!

1966年に創始し、今年50回記念大会を迎えたUCIワールドツアーのアムステル・ゴールドレースが4月19日にオランダ南部のリンブルフ州で開催された。

 

節目の大会を祝福するような晴天に恵まれ、リンブルフの34ヶ所の丘を越える厳しいレースはスタートからゴールまで高速の展開になった。

 

ディフェンディング・チャンピオンのフィリップ・ジルベール(BMC)は、昨年と同じように最後のカウベルフでアタックしたが今年は成功せず、最後は小集団でのゴールスプリントになった。

 

その闘いを制したのは、アルカンシエルを着た世界チャンピオンのミハウ・クフィアトコフスキー(エティックス・クイックステップ)。昨年の世界選手権につづいて、祖国ポーランドにクラシックでのビッグな勝利をもたらした。

 

アムステル・ゴールドレースの50年の歴史で、アルカンシエルを着て優勝したのは過去に1975年のエディ・メルクス(ベルギー)、1980年のヤン・ラース(オランダ)、1981年ベルナール・イノー(フランス)の3人だけだった。クフィアトコフスキーはそんな偉大なチャンピオンたちの仲間入りも果たした。

 

今季はクラシックでなかなか勝てなかったベルギーのエティックス・クイックステップも、クフィアトコフスキーのおかげでやっと勝ち星をあげ、UCIワールドランキングで英国のチームスカイを抜いて首位に立つことができた。


ベルナール・イノーが50回記念のスターター

50回の節目を迎えた今年のアムステル・ゴールドレースには、過去の優勝者が大勢招待された。1983年の勝者フィル・アンダーソン(オーストラリア)、1987年の勝者ヨープ・ズートメルク(オランダ)、1995年の勝者マウロ・ジャネッティ(スイス)。そして1981年の勝者であるイノーは、マーストリヒト市庁舎前で栄誉あるスターターをつとめた。

 

今大会で勝った現役選手がいるUCIプロコンチネンタルチームも、この記念大会に招待された。NIPPO・ヴィーニファンティーニは2008年にこのレースを制したイタリアのダミアーノ・クネゴがエースをつとめ、山本元喜がUCIワールドツアーレース初出場を果たした。

 

ポーランドのCCC・スプランディ・ポルコウィツェは、43歳で現役のダビデ・レベッリンとシュテファン・シューマッヒャーという2人の元優勝者を擁していた。ベルギーのワンティ・グループゴベールには、2012年の勝者であるエンリーコ・ガスパロットがいた。

 

レースが本格的に動き出したのはゴールまで残り40km、この日34ヶ所越えた丘の28ヶ所目だったアイゼルボスウェグでだった。この厳しい丘で集団からオーストラリアのデービッド・タナー(IAM)がアタックし、同郷のサイモン・クラーク(オリカ・グリーンエッジ)が加わって前を逃げ続けていた3人をとらえた。

 

さらに集団からはイタリアチャンピオンのビンチェンツォ・ニバリ(アスタナ)がチームメートのディエゴ・ローザ(アスタナ)とともに抜け出し、地元オランダのウィルコ・ケルデルマン(ロトNL・ユンボ)やトニー・マルティン(エティックス・クイックステップ)を含めた数人の選手とともに追走グループを作った。

 

ところがケルデルマンはカーブでコースアウトしてしまい、落車はしなかったもののニバリたちのグループから脱落してしまった。さらにローザもカーブで落車し、ーバリは重要なアシストを失ってしまった。

 

ニバリたちのグループは先行していたタナーとハウスを捕らえたが、集団とのタイム差は数10秒しかなかった。ゴールまで残り20km、この日3度目のカウベルフを通過したときには、BMCが引く集団とニーバリのグループのタイム差は22秒だった。

 

集団が後方に迫り、ニバリはふたたびアタックを試みたが成功せず、結局BMCが引く集団に吸収されてしまった。


残り8kmで、今度は集団からヤコブ・フグルサング(アスタナ)がアタックしたが、グレッグ・バンアーベルマート(BMC)が見逃しはしなかった。

 

誰も抜け出せないまま最後のカウベルフの上り坂がスタート。最初にアタックしたのは、水曜日にブラバンツペイルで優勝したベン・ヘルマンス(BMC)だった。それはまるで、昨年のサムエル・サンチェス(BMC)の役どころをそのまま引き継いだかのようだった。

 

そして昨年と同じように、ヘルマンスがとらえられたところでジルベールがアタックしたのだが、去年とはちがってオーストラリアのマイケル・マシューズ(オリカ・グリーンエッジ)が後方に食らいついていた。

 

2人はライバルにわずかな差を付けてカウベルフを登り終えたが、そこから1kmちょっとの平坦路を逃げ切るには十分な秒差はなかった。アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)がまず追いつき、さらにアルカンシエルのクフィアトコフスキーが合流した。

 

結局最後は10数人でのゴールスプリントになり、クフィアトコフスキーが初めてのクラシック・タイトルを獲得した。レースをコントロールし続けたBMCは結局バンアーベルマートが5位、ジルベールが10位という結果に終わり、表彰台にすら上がることができなかった。


■アムステルで初優勝したクフィアトコフスキーのコメント「僕にとってすばらしい日だった。ハードワークが報われた。今日はみごとな働きをしてくれたチームメートたちに感謝している。一日中リラックスできた」

 

「重要な逃げにはマルティンが入っていたが、あれば本当に苦しい瞬間だった。たくさんの上り坂があるレースだから、もちろん僕も苦しかった。(チームメートの)ミールスマンに今日はそんなに調子が良くないと言ったら、このレースでは34ヶ所も上るんだから、みんな苦しんでるんだと励ましてくれた。だから任務を遂行しなければならなかったのさ」


アムステル・ゴールドレース結果

1 ミハウ・クフィアトコフスキー(エティックス・クイックステップ/ポーランド)
6時間31分49秒

2 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)

3 マイケル・マシューズ(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)

4 ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ/ポルトガル)

5 グレッグ・バンアーベルマート(BMC/ベルギー)

6 トニ・ガロパン(ロット・ソウダル/フランス)

7 ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ/フランス)

8 エンリーコ・ガスパロット(ワンティ・グループゴベール/イタリア)

9 マチエイ・パテルスキー(CCC/ポーランド)

10 フィリップ・ジルベール(BMC/ベルギー)

アムステル・ゴールドレース2015★フォトアルバム

UCIワールドツアー初出場を果たした山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)は、スタート前に行われたチームプレゼンテーションではエースであるダミアーノ・クネゴの隣に並んだ






4月5日にロンド・バン・ブラーンデレン(ベルギー)を走った別府史之(トレック)はアムステル・ゴールドレースにも参加した








9ヶ所目のロールベルフの坂でチームメートたちとともに集団を引いていた別府史之(トレック)

斜度14%という激坂のフルペンベルフを駆け上がる山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)。「ゲンキ! ガンバレ!!」という声援、届いたかな?







優勝したミハウ・クフィアトコフスキー(エティックス・クイックステップ)は、表彰式に向かう途中、遅れてゴールしたチームメートのジャンニ・ミールスマンと出会って熱い抱擁を交わした






レース終了後、チームの公式サイトで使用するインタビュー映像を撮影していた3位のマイケル・マシューズ(オリカ・グリーンエッジ)。彼がビッグ・クラシックで表彰台の真ん中に立つ日は近いだろう(http://www.greenedgecycling.com/)