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ニールプライド・ナザレ2 試乗レポート

ウインドサーフィンの分野から彗星のごとく自転車界に現われ、知名度を上げたブランドがニールプライドだ。企業としての歴史は40年にも及ぶが、自転車部門が設立されたのは2011年。「ナザレ2」は、初期モデルを進化させ、高性能を実現した2015年ニューモデルだ。

 

text:ナカジ、photo:吉田悠太

攻めのエアロロード

 

初期のモデルとしてアリーゼというエアロロードがあった。当時はまだエアロロードという概念が確立されていなかった時期ではあるが、空力性能と快適性を両立させたオールラウンドに使えるバイクとして発表した。  

 

それから3年余り経ち、フレームの各部の構成を見直しマイナーチェンジを行ない、進化を続けた。名前をナザレと変えて、今でもラインナップされている。それをさらに高性能化させたのが「ナザレ2 」だ。


前後ブレーキをダイレクトマウントタイプにし、シートクランプはトップチューブに内蔵。チューブ形状は風洞実験施設で検証し、正面からはもちろん、左右20度までのさまざまな角度で空気抵抗が低減される。その効果はナザレに比べて20%向上されている。ワイヤ類のルーティングも見直された。フロントブレーキケーブル以外を、ステムの後ろからフレーム内に入れることで、ヘッドチューブ前の空気抵抗を削減している。 

 

走行性能はカーボンの積層を見直すことで、反応性をアップ。よりレースでの使用においてスパルタンな要求を満たせるようになっている。フレーム単体重量はLサイズで20g軽くなり、920gを実現。「戦闘機」として正常進化を遂げている。

 

NEILPRYDE NAZARE 2

 

ニールプライド●ナザレ2

フレームセット価格/34万9800円(税抜) 

シマノ・アルテグラ6800完成車価格/44万9800円(税抜) 

シマノ・デュラエース9000完成車価格/59万9800円(税抜)

 

フレーム●カーボン 

フォーク●カーボン 

コンポーネント●シマノ・デュラエース9000 

ホイール●フ ルクラム・レーシング3 

タイヤ●ヴィットリア・ディアマンテプロ 23C 

ハンドルバー●ニールプライド・ CFマトリックス 

ステム●ニールプライド・ALマトリックス 

サドル●ニールプライド・レース 

シートポ スト●ニールプライド・エアロブレードCF 

試乗車実測重量●7.20kg(Sサイズ、ペダルなし) 

サイズ●XS、S、M、L、XL 

カラー●ブラック×ブルー×マットホワイト(フレームセット、デュラエース 完成車)、ブラック×レッド×グロスホワイト(アルテグラ完成車)

※インプレッション車は市販モデルと仕様が異なる場合があります

 

 

ダウンチューブの形状は、エッジの効いた翼断面。フロントホイール とのクリアランスを減らし、フォークとホイールを通って乱れた空気の流れを整える効果がある

 

 

 

ヘッドチューブはフォークからつながり、さらにトップチューブ、ダウンチューブとつながって大きな翼断面形状を確保。これによって高い空力性能を実現している

 

 

フロントブレーキ以外のワイヤが、ステムの上を越えてトップチューブに入る。ワイヤで空気の流れが乱れても、その後ろにはライダーがいるので影響は少ない

 

 

BBはPF86を採用。リヤブレーキもダイレクトマウントタイプをすぐ後ろに取り付ける。ダウンチューブにあるカバーを外すと、シマノDi2のバッテリーをフレームに内蔵できる

 

 

ダウンチューブとシートチューブが、ひとつの大きなカムテール形状であるかのような形を成す。BBまわりのボリュームを確保することで、パワーロスを抑える

 

ナカジの試乗レポート

 

ルックスについて言えば、ナザレとナザレ2を比べると前者はエアロロードという印象があったが、ナザレ2になってよりTTバイクに近いフォルムをまとった。使用するシーンはロードバイクとしてのオールマイティーさが求められるわけだが、はたしてそのバランスはどうなっているのか。  

 

試乗に出かけてみると、見た目から想像していたとおり、普通の路面を走っているなら縦にしっかり硬い。ペダルを踏み込めば、がんがんバイクが前に出ていく。下りでもスピードが伸びていく印象があった。 

 

荒れたところではバイクの挙動に不安定さはあまりないが、振動はかなりくる。なんだか矛盾しているようだが、振動によってバイクの挙動まで乱れてしまうとよくないのだが、しっかり荷重をかけて進む方向に視線を向けていけば、振動を踏み越えていく。振動がいつまでも残らず、押さえ込まれる。  

 

ワイヤリングは好みの分かれるところだろう。3本のワイヤがフレームの上を通るのは、すぐ後ろにライダーがいるので空気抵抗がそれほど影響しないのはわかる。ただ、メーター類の設置位置は工夫しないと見づらいこともあるだろう。また、下側からワイヤを出すタイプのハンドルは、ルートに苦労する可能性がある。  

 

と、細かいところをあげたが、フレームの全体的な印象は乗る者をやる気にさせるスパルタンなもの。とはいえTTバイクのように直進安定性ばかりを追求したものではないので扱いやすい。ハンドリングが気になるところだと思うが、自分にとっては、クイックすぎになる寸前の味付けなので、いいあんばいだと感じた。

 

 

 

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