トピックス

今年はショートコースで開催! ジャパンカップ2015

ジャパンカップサイクルロードレースが、
いよいよ来月宇都宮市で開催される。
それに先立って都内で記者発表会が開かれ、
台風18号の大雨被害で変更になったコース概要や、
参加チーム、参加選手などが明らかになった。

 
Photo: Graham Watson / cyclesports.jp

SUBARUショールームで記者発表会

昨年8月にオープンしたばかりのSUBARUの恵比寿ショールームで行なわれた記者発表会
昨年8月にオープンしたばかりのSUBARUの恵比寿ショールームで行なわれた記者発表会
記者発表会で登壇した佐藤栄一宇都宮市長
記者発表会で登壇した佐藤栄一宇都宮市長
今年もバラエティーに富んだ公式グッズが販売される
今年もバラエティーに富んだ公式グッズが販売される
国内最大の自転車ロードレースであるジャパンカップサイクルロードレースが、9月16日に大会の主要スポンサーである富士重工業の本社ショールーム、スバルスタースクエア(東京都渋谷区恵比寿)で記者発表会を行なった。

栃木県宇都宮市で1990年に開催されたロード世界選手権のメモリアルレースとして1992年にスタートし、今年で24回目となるジャパンカップは、メインイベントであるアジアツアー1.HCのUCI公認レースだけでなく、毎年さまざまな併設イベントを企画して大会を盛り上げている。

昨年は本戦の一週間前に宇都宮城址公園特設コースでシクロクロスを初開催したが、宇都宮市は今年から『シクロクロス宇都宮シリーズ』を開催することになり、ジャパンカップシクロクロスがその第1戦になる。(http://www.utsunomiya-cyclocross.com)

土曜日に宇都宮市街地で開催されるジャパンカップクリテリウムの前座レースとして、昨年は往年の名選手たちによるレジェンドクリテリウムが開催されて大いに盛り上がったが、今年は若手選手を対象とした『ホープフルクリテリウム』を実施することになった。

すでに発表があったオフィシャルファンクラブも、記者発表会で改めて紹介された。オフィシャルファンクラブに加入すると、グレードによっては特別観覧席でレースが観戦できる特典が付いているものもある。(http://www.japancup.gr.jp/node/2187)

記者発表会では大会を盛り上げる公式グッズや、オリジナルビール、オリジナルフレーム切手などもお披露目された。詳細は公式サイトで
紹介されている。(http://www.japancup.gr.jp

 

大雨被害の影響で10.3kmのショートコースを使用

今年は下野萩の道が土砂崩れで使用できない
今年は下野萩の道が土砂崩れで使用できない
 
ジャパンカップサイクルロードレースが行われる森林公園周回コースは、台風18号による大雨被害が心配されていたが、今回の記者会見でコースの一部である「下野萩の道」が土砂崩れで使用できなくなっていることがわかった。

そのため、主催者は競技主管である日本自転車競技連盟と協議し、例年最終周回に使用している10.3kmのショートコースで大会を開催することを、記者発表会前日に決定した。コースの変更にともない、周回数は14周に増えるが、距離は現行の151.3kmから144.2kmになり、若干短くなる。

沿道で観戦するレースファンにとっては、選手たちが目の前を通過する回数が増え、周回ごとの待ち時間も短くなるわけだ。

競技主管代表として、説明を行った日本自転車競技連盟の大島研一副会長によると、ショートコースの方も台風18号による大雨被害でまだクリアな状態ではなく、開催までの1ヶ月間に修復しなければならないそうだ。コースは短くなるが、スタート&フィニッシュ地点は現行どおりとなる。

このショートコースは、ジャパンカップが1996年にUCIワールドカップへ昇格する以前の第1回大会から第4回大会まで、正規の周回コースとして使用されていた。ちなみに第1回大会だけは1990年の宇都宮世界選と同じように、コースは時計まわりだった。


このコース変更が、今年のジャパンカップにどんな影響を及ぼすことになるのかは気になるところだ。監督トークショーに監督代理で参加したチーム右京の土井雪広選手はコース変更について、こう分析している。
 
土井選手はコース変更でレースは厳しくなると分析した
土井選手はコース変更でレースは厳しくなると分析した
「鶴カントリークラブの上りは、古賀志の林道に入る前のワンクッションで、前半はとくにスピードの遅い段階で、ゆっくり走れて唯一休める坂。

それが今回なくなるということは、よりスピードコースになり、古賀志だけが勝負どころになる。古賀志で何回も勝負を賭けなければ、勝利につながる展開は生まれない。

ラスト4周くらいからスピードが上がり、よりパワーが必要なレース展開になるだろう。日本人にとっては非常に厳しくなる」

 

国内外の15チームが参戦

UCIワールドチームは5チームが来日
UCIワールドチームは5チームが来日
記者発表会では選抜された日本チームの監督&選手によるトークショーが行われた
記者発表会では選抜された日本チームの監督&選手によるトークショーが行われた
クリテリウムスペシャルチームも発表された
クリテリウムスペシャルチームも発表された
10月18日に開催されるアジアツアー1.HCのジャパンカップには、全15チームが参加する予定だ。すでに発表されているように、海外から参戦するUCIワールドチームは5チーム、UCIプロフェッショナルコンチネンタルチームは2チーム、UCIコンチネンタルチームは1チーム。

国内のUCIコンチネンタルチームは現在9チームあるため、厳しい選考基準で選ばれた5チームだけがジャパンカップへの参加を許される。まず第一に9月16日時点のUCI大陸ランキングで上位3チームが選抜され、次にジャパンカップ実行委員会が指定した6レースの成績により、上位2チームが選ばれる。

この5チームの他に、主催者への貢献度高いチームに与えられる、いわゆる『地元枠』と呼ばれる主催者招待枠があり、必要に応じて1チームが付け加えられることになっている。

この独自の選考基準により、今年選ばれたのは地元の宇都宮ブリッツェン、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム、チーム右京、マトリックスパワータグ、愛三工業レーシングチームの5チーム。愛三工業レーシングチームは、実行委員会が指定した最後の選考レースだったツール・ド・北海道(9月11~13日)の成績で、たった1ポイント差で出場枠を獲得した。

そして主催者招待枠は、栃木県に本拠地を置く那須ブラーゼンが獲得した。日本のレースには欠かせない存在であるシマノレーシングチームが、今年は選考からもれてしまったのは非常に残念だ。

この他に、例年どおり日本ナショナルチームが招聘されるため、選抜からもれてしまったチームの選手たちにもジャパンカップに参加するチャンスが与えられる。


大会前日の10月17日に宇都宮市街地で開催されるジャパンカップクリテリウムには、本戦に参加する15チームのほかに、クリテリウムのためだけに結成されるクリテリウム・スペシャルチームが参加する。

海外からは、2011年と2013年にこのクリテリウムで優勝したオーストラリアクリテリウムチャンピオンのスティール・ヴォンホフ(NFTO)が招待された。さらにオムニアム・のアジアチャンピオンである橋本英也、小坂光(那須ブラーゼン)、競輪選手の金子幸央と浅井康太がクリテリウム・スペシャルチームの一員として名を連ねている。

 

フィニー、モレマ、ウリッシが初参戦予定!

USプロチャレンジで区間優勝したフィニー
USプロチャレンジで区間優勝したフィニー
今年のツールで総合7位になったモレマ
今年のツールで総合7位になったモレマ
今年もジロで区間優勝したウリッシ
今年もジロで区間優勝したウリッシ
 
記者発表会では、現時点で確定している参加選手も発表された。ジャパンカップには初参加となる米国のBMCレーシングチームは、米国のテイラー・フィニー(25歳)が来日予定だ。フィニーは昨年5月に左脚を骨折し、長らくレースから遠ざかっていたが、今年8月に14カ月ぶりでレースに復帰したばかり。復帰直後にUSプロチャレンジの第1ステージで優勝している。

トレックファクトリーレーシングでは、日本の別府史之(32歳)の参加が決まっているほか、オランダのトップ選手の1人であるバウケ・モレマ(28歳)が参加メンバーに入っている。モレマは今年のツール・ド・フランスで総合7位になり、9月上旬にはカナダのツアー・オブ・アルバータで総合優勝している。

昨年は直前のケガでジャパンカップを走れなかったスイスのファビアン・カンチェッラーラは、8月にブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)をリタイアしたあと今季の活動終了を発表しているが、ジャパンカップの大会主催者は記者発表会で「カンチェッラーラは未定」と発表している。

イタリアのランプレ・メリダは、2007年の優勝者であるマヌエーレ・モーリ(35歳)とともに、親友のディエゴ・ウリッシ(26歳)が来日する予定だ。モーリは昨年も来日を希望していたのだが、チームのオーダーでツアー・オブ・ハイナンに参加しなければならず、とても残念がっていた。今年は2年ぶりの来日で2度目の優勝を目指すだろうが、ジロの厳しいステージで何度も区間優勝し、ジャパンカップのようなコースは得意なウリッシのために働く可能性もある。

UCIプロフェッショナルコンチネンタルチームでは、今季NIPPO・ヴィーニファンティーニへ移籍したイタリアのダミアーノ・クネゴ(34歳)が来日する予定だ。2005年とし2008年に今大会で優勝しているクネゴは、日本のスポンサーのためにも3度目の優勝を目指すにちがいない。

5月のツアー・オブ・ジャパンでNIPPO・ヴィーニファンティーニを密着取材した際、大門宏監督はジャパンカップについて「クネゴは調子が悪ければ行かなくてもいいと思っている。本当に勝てると言えば連れて行く。責任感のある選手なので、成績を出すと言えば出す奴だ」と、話していた。つまり、クネゴが参戦するということは、本気で勝ちに行く、ということだ。



[ジャパンカップ参加予定15チーム]
UCIワールドチーム(5チーム)

●BMCレーシングチーム(米国)
テイラー・フィニー(米国)
ミヒャエル・シャール(スイス)
マヌエル・センニ(イタリア)
ペーテル・ベリッツ(スロバキア)
フローリス・ヒールツ(オランダ/スタジエール)
(リザーブ)
マヌエル・クインツィアート(イタリア)
マルクス・ブルクハルト(ドイツ)

●ランプレ・メリダ(イタリア)
チュンカイ・フェン(台湾)
マヌエーレ・モーリ(イタリア)
エドワルド・ラバーズィ(イタリア/スタジエール)
ディエゴ・ウリッシ(イタリア)
ガン・シュー(中国)
(リザーブ)
ヤン・ポランツ(スロベニア)
バレリオ・コンティ(イタリア)
ルカ・ピベルニク(スロベニア)

●チームキャノンデール・ガーミン(米国)
※参加選手未定

●チームスカイ(英国)
※参加選手未定

●トレックファクトリーレーシング(米国)
別府史之(日本)
ローラン・ディディエ(ルクセンブルク)
バウケ・モレマ(オランダ)
ヤロスラフ・ポポビッチ(ウクライナ)
※1名未定
(リザーブ)
ファビオ・フェッリーネ(イタリア)

UCIプロフェッショナルコンチネンタルチーム(2チーム)
●NIPPO・ヴィーニファンティーニ(イタリア)

ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
ジャコモ・ベルラート(イタリア)
ピエールパオロ・デネグリ(イタリア)
アントニオ・ニーバリ(イタリア)
山本元喜(日本)
(リザーブ)
ディディエ・チャパッロ(コロンビア)
イウリ・フィローズィ(イタリア)

●チームノボノルディスク(米国)
ニコラ・ルフランソワ(フランス)
ハビエル・メヒアス(スペイン)
アンドレア・ペロン(イタリア)
シャルル・プラネ(フランス)
マルテイン・フェルシュホール(オランダ)

UCIコンチネンタルチーム(海外/1チーム)
●アタック・チームグスト(台湾)

シューミン・リュウ(台湾)
インハン・ヤン(香港)
シャオシュアン・ルー(台湾)
エリック・シェパード(オーストラリア)
ドマス・ラボウ(オランダ)

UCIコンチネンタルチーム(国内/6チーム)※参加選手未定
●宇都宮ブリッツェン
●ブリヂストンアンカーサイクリングチーム
●チーム右京
●マトリックスパワータグ
●愛三工業レーシングチーム
●那須ブラーゼン

ナショナルチーム ※参加選手未定
●日本ナショナルチーム

※参加予定選手は記者発表会時点のもの。最新情報は公式サイトでチェック
 

[2015 ジャパンカップサイクルロードレース大会日程]
10月16日(金) チームプレゼンテーション(オリオンスクエア)
10月17日(土) ジャパンカップ一般レース(3レース/森林公園周回コース)
10月17日(土) ジャパンカップクリテリウム(大通り周回コース)
10月18日(日) ジャパンカップサイクルロードレース(森林公園周回コース)


[過去10年のジャパンカップ優勝者]
2005 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・カッフィタ/イタリア)
2006 リッカルド・リッコ(サウニエルドゥバル・プロディ/イタリア)
2007 マヌエーレ・モーリ(サウニエルドゥバル・プロディ/イタリア)
2008 ダミアーノ・クネゴ(ランプレ/イタリア)
2009 クリスアンケル・セーレンセン(サクソバンク/デンマーク)
2010 ダニエル・マーティン(ガーミン/アイルランド)
2011 ネイザン・ハース(ジェネシス/オーストラリア)
2012 イバン・バッソ(リクィガス/イタリア)
2013 ジャック・バウアー(ガーミン/ニュージーランド)
*マイケル・ロジャース(チームサクソ・ティンコフ)がクレンブテロール陽性で優勝を剥奪されたため、2位のバウアーが繰り上げ優勝
2014 ネイザン・ハース(ガーミン・シャープ/オーストラリア)

http://www.japancup.gr.jp