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勢和多気国際XCでジャイアントの門田が連覇
2015.10.08
難コースでも安定の走り
今年から、国際レースとなったこのコース、昨年の優勝者門田基志(チームジャイアント)が「日本でワールドカップや世界戦にいちばん近い」と話すほど難度の高いコースレイアウト。
そのポイントは4つのセクションである。石が敷き詰められた下りの先にドロップオフのある『古道』、ジャンプが必要な『キャニオン』、 45度の急斜面を下る『猪落(ししおとし)』、階段に大きな石が並べられライン選びが必要となる『石清水』。どのセクションも他のコースにはないもので、エリートであっても回避路を選ぶ選手がいるほどの難度だった。エリート男子のレースは6周回で行なわれた。
空は広く晴れ渡り、コースコンディションも良好。12時45分、レースの号砲が鳴らされた。
テニスコート脇の舗装路を抜けると、ダブルトラックに入へ。このコースは大きく2つのループに分けられる。1つめのループを経て、まず先頭に立ったのはスタートダッシュを決めた小野寺健(ミヤタメリダバイキングチーム)。すぐうしろには、先日の全日本選手権でジュニアチャンピオンに輝いた沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、3番手には前田公平(ビオレーサー)、4番手には門田基志。5番手には斉藤亮(チームブリヂストンアンカー)が続く。
2周目、先頭には沢田。独走を決めようと後続との差を広げ始めるも、「パンクや!」と声を上げる。斜面を平行に走ることで、タイヤがよれて空気が抜けてしまったのだろう。
その他にもブリヂストン勢は斉藤、平野星矢がパンクをしてしまい、順位を落としてしまう。平野に次いで2位を走っていた小野寺も3周目に姿を現わさない、波乱の展開となった。
レース中盤となる3周目、猪落にトップで現われたのは前田だった。体力面に不安を抱えていた前田だがスキルは他選手より高いと定評がある。
「セクションは問題なくクリアできますが、ちょうど1時間で終わってしまいました」とレース後にはなしたように、しばらくトップを引っ張ったものの後退してしまった。
その後トップに出たのは、門田だった。アジア選手権、世界選手権など数々の海外レースの経験を重ねるベテランである。それに続くのはパンクで一時後退していた平野。8月に手術を行ない、筋力が低下していて万全ではないものの堅実な走り。5周目に入り上位2人の後ろを走っていたのは松尾純(ミヤタメリダバイキングチーム)。自身初の表彰台に向けて、石清水を越えていく。最終周回、フィニッシュにはこのままの順位で3人が入った。
門田は「日本でいちばん自分に合っているコース。下りでも休むところがないコースだけど、踏むところは踏む。休むところはしっかり休む。そうやってメリハリをつけて走ることが必要です 」とコメントした後に、「若い選手は体力的なトレーニングを中心にしていると思いますが、テクニックを磨くことも必要です。目先の勝利だけでなく、長い目で見て必要なトレーニングをしていって欲しい」と付け加えた。その言葉のとおり門田はすべての難セクションをクリア。それに加え前日の試走では、セクションを含むコースの走行ラインを念入りにチェックしていた。コーステープの中であれば、どう走るかは選手の自由である。「ほかの人と違うラインを見つけなければ、それ以上のタイムを狙うのは容易ではない」過去、ダウンヒル選手から聞いた言葉だが、この勢和多気のコースにおいて、門田選手以上にラインを研究していた選手はいなかったように思う。それは、レース当日の選手の機材トラブル、走行ラインによく表われていた。
[リザルト]
1位 門田基志(チームジャイアント) 1時間24分50秒78
2位 平野星矢(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +15秒99
3位 松尾 純(ミヤタメリダバイキングチーム) +1分8秒43
4位 中原義貴(BHレーシングMTBチーム) +1分43秒18
5位 佐藤誠二(USM) +1分48秒16
6位 斉藤 亮(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +2分27秒40