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イタリアチャンピオンのニーバリが初優勝! イル・ロンバルディア2015

晴天に恵まれた北イタリアで開催された
UCIワールドツアー最終戦のイル・ロンバルディアは
イタリアチャンピオンのビンチェンツォ・ニーバリが
不名誉なシーズンを覆すようなドラマチックな勝利をおさめ
祖国のファンを熱狂させた
Photo: Graham Watson / ANSA / CARCONI - PERI

名誉挽回のアタック!



昨年ツール・ド・フランスで総合優勝し、3大ツアー全制覇を果たしたイタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)は、その栄光を汚すような不名誉なシーズンを送っていた。

6月末のイタリア選手権を連覇し、今年もイタリアチャンピオンとして臨んだツール・ド・フランスは、嵐に見舞われた第2ステージでまさかの遅れを取り、区間優勝は上げたものの総合4位でパリの表彰台にすら上がれなかった。

そのリベンジを狙って出場したブエルタ・ア・エスパーニャでは、第2ステージで落車に巻き込まれた際、集団へ戻る途中でチームカーに捕まったことが発覚し、失格となってレースを追放されてしまった。

ニーバリにとって、祖国イタリアで開催されたイル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)は、名誉を挽回できる今シーズン最後のチャンスだった。チームメイトたちも、それは痛いほどわかっていた。


ゴールまで残り20km地点から始まったチビリオ峠の登坂で、メイングループを引くアスタナ勢は先頭を逃げていたミハウ・クウィアトコウスキー(エティックス・クイックステップ)とティム・ワロンス(ロット・ソウダル)を捕らえ、レースを振り出しへと戻した。

チビリオの登坂でニーバリは2度アタックを試みたが、ミケル・ニエベ(チームスカイ)、ティボー・ピノ(FDJ)、ダニエル・モレノ(カチューシャ)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ)がそれを許しはしなかった。


 


しかし、ニーバリはあきらめなかった。そして先頭グループには、まだアシストのディエゴ・ローザ(アスタナ)も残っていた。ローザが先頭を引いてゴールまで17.4kmのチビリオ峠の頂上を越えた直後、ニーバリは後方からアタックし、まさに飛ぶように坂を駆け降りた。下り坂が得意なニーバリは、たった400メートルで後続に8秒差を付けていた。
 

後方の追走グループでは、3日前のミラノ〜トリノで優勝して好調のローザがニーバリの援護射撃に回っていた。コモのゴール目前にあったサン・フェルモ・デッラ・バッタリアの丘越えが始まったとき、独走を続けるニーバリのアドバンテージは41秒にまで広がっていた。

サン・フェルモ・デッラ・バッタリアの坂で、追走グループからまず最初にピノがアタックしたが、抜け出すことはできなかった。つづいてモレノが飛び出し、追いすがるピノを振り切って単独でニーバリの追走を開始した。

ロシアのカチューシャは、このレースで2度優勝しているホアキン・ロドリゲス(スペイン)が、前日のトレーニングでヒザを負傷して参加できなくなってしまったため、モレノがチームのエースとして優勝を狙っていた。残り5.4kmの頂上をニーバリが先頭で通過したとき、モレノは14秒後方に迫っていた。

ロンバルディアの下り坂で、ニーバリは過去に落車したこともあった。しかし今回は、ギザッロのマドンナは彼の味方だった。彼は最後の坂を無事下り切り、モレノの追撃も寄せ付けずにコモ湖湖畔のゴールを目指して独走を続けた。沿道では大勢のファンの声援が彼の勝利を後押しした。

ゴールまで残り200メートルで後方を振り返り、勝利を確信したニーバリは、両手を上げて悠然とフィニッシュラインを通過した。その胸には、偶然にも沿道のファンの手から離れた小さな三色旗が付き、7年ぶりのイタリアの勝利をささやかに祝福しているかのようだった。


 
 
 
 
愛娘のエンマビットリアちゃんを抱いて表彰台に上がったニーバリ       
愛娘のエンマビットリアちゃんを抱いて表彰台に上がったニーバリ       
■イル・ロンバルディアで初優勝したニーバリのコメント
「僕はソルーマやサン・フェルモ、ルガーノ近くの村はよくトレーニングで走るから、このコースは熟知していた。それが今日、素晴らしい勝利をもたらしてくれた」

「金曜日はチビリオの上りの後にサン・フェルモがつづく新しい終盤のコースを研究するために試走した。とてもハードで、ヤワなクライマーには向かないコースだったから、長距離のアタックというアイディアを選んだ」

「慎重にチビリオからゴールまでの距離と、下りの長さ、サン・フェルモの谷の道を計測した。チビリオはこのレースの要になるかもしれないとわかっていたから、2つの上りがどれくらい離れているかチェックしたんだ」

「僕はずっと大きなクラシックで勝ちたいと望み、過去にはあと一歩のところまでいった。グランツールに集中するようになってからはスピードを失いはしたが、それでもワンデーレースは参加し続けていた」

「今日のように厳しい上りが多ければ、僕のようなクライマーには有利だ。遂にここで勝てたことに大きな意味がある。このレースでは、調子が良かったのに落車や不運に見舞われたこともあった。でも今、やっと勝った。いつも言っているが、ロンバルディアで勝つことはリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでの勝利に値するよ」
 

第109回イル・ロンバルディア結果

1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)6時間16分28秒
2 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+21秒
3 ティボー・ピノ(FDJ/フランス)+32秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+46秒
5 ディエゴ・ローザ(アスタナ/イタリア)+46秒
6 ミケル・ニエベ(チームスカイ/スペイン)+46秒
7 トニ・ガロパン(ロット・ソウダル/フランス)+56秒
8 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)+56秒
9 セルヒオ・エナオ(チームスカイ/コロンビア)+56秒
10 ジャンルーカ・ブランビッラ(エティックス・クイックステップ/イタリア)+1分10秒
 
 
[過去10年間の優勝者]
2014 ダニエル・マーティン(アイルランド)
2013 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2012 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2011 オリバー・ツァウグ(スイス)
2010 フィリップ・ジルベール(ベルギー)
2009 フィリップ・ジルベール(ベルギー)
2008 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2007 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2006 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005 パオロ・ベッティーニ(イタリア)

http://www.gazzetta.it/Speciali/GiroLombardia/it/