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デゲンコルプが優勝! 2015 さいたまクリテリウム
2015.10.25
今年もツール・ド・フランスがやって来た!
世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスのアトモスフィアを、日本にいながら体感できるビッグイベント『J:COM presents 2015ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム』が、今年も10月24日に埼玉県さいたま市のさいたま新都心駅周辺で開催された。
これまではツール・ド・フランスに参加したチームと選手が中心で走るイベントだけだったが、3年目を迎えた今年は、女子選手とパラサイクリング選手も参加し、新たに個人タイムトライアルレースを実施。
海外からは、今年のツール・ド・フランスを走った7チームが来日した。今年、2度目の個人総合優勝を果たした英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)は、3年連続で参加。さいたま新都心駅周辺の、3.1km特設コースを埋め尽くした観客にマイヨ・ジョーヌ姿を披露した。
マイヨ・ジョーヌ以外の4賞ジャージ獲得選手は今回来日しなかったが、今年のツールの第18ステージで優勝し、スーパー敢闘賞も獲得したフランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)も3年連続でさいたまにやって来た。
さらに今季ミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベを制したドイツのジョン・デゲンコルプ(チームジャイアント・アルペシン)、スペインのホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ)、ツール第17ステージで逃げ切り優勝をしたドイツのシモン・ゲシュケ(ジャイアント・アルペシン)が参加。
今年のツールに日本人選手は参加しなかったが、さいたまクリテリウムには別府史之(トレックファクトリーレーシング)と新城幸也(チームヨーロッパカー)もそろって参加。別府は1週間前に宇都宮で開催されたジャパンカップクリテリウムで優勝していて、クリテリウム連勝の期待がかかっていた。
レースは1周目から7選手がアタック。メンバーは中島康晴(愛三工業レーシングチーム)、中村龍太郎(スペシャルチームジャパンforさいたま)、内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、日本チャンピオンの窪木一茂(チーム右京)、吉岡直哉(那須ブラーゼン)、安原大貴(マトリックスパワータグ)、そしてジャパンカップにも出場していたヤロスラフ・ポポビッチ(ウクライナ)だった。
集団はマイヨ・ジョーヌのフルームをお披露目するように、チームスカイ列車が引いていた。3周目の最後にかかっていた最初のスプリントポイントは、日本チャンピオンの窪木が1位で通過した。そのときすでに逃げは2つに別れ、そのまま集団に吸収された。
つづいて集団からアタックしたのは新城、バルデ、チェコチャンピオンのペトル・バコッチュ(エティックス・クイックステップ)、畑中勇介(チーム右京)の4人だった。彼らは6周回終了時点で集団に15秒差を付けていた。
6周目の途中にかけられていた山岳ポイントはバルデが先頭で通過。彼は今年のツール第19ステージで山岳賞総合トップに立ち、翌日のアルプ・デュエズをマイヨ・アポワを着て走った。バルデは最終的に山岳賞総合首位の座をフルームに奪われたので、さいたまでそのリベンジを狙っているのは明らかだった。
7周目の終わりにかかっていた2回目のスプリントポイントは畑中が先頭で通過。9周目の山岳ポイントは、ふたたびバルデが1位を獲得した。
先頭の逃げが目まぐるしく変わる中、レース中盤に逃げ出したのは“プリト”ロドリゲスだった。彼は同郷のアイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)、井上和郎(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、中村、新城と先行し、沿道のファンを沸かせた。
さいたまクリテリウムの三代目王者を決するアタックは、残り4周目で決まった。先行したのはマイヨ・ジョーヌのフルーム、新城、別府、ロドリゲス、バルデ、そしてデゲンコルプの6人。そこから新城がアタックして先行すると、沿道を埋め尽くした大観衆の熱狂はピークに達した。
新城は吸収され、6人で競ったゴールスプリントを制したのは、今年のツールでは区間優勝できなかったデゲンコルプだった。優勝を期待されていた別府は惜しくも2位になり、3位にはマイヨ・ジョーヌのフルームが入った。
ポイント賞は畑中、山岳賞と新人賞はバルデが獲得した。新城は6位でレースを終えたが、レースディレクターが任命した審査団が選ぶ敢闘賞を獲得し、表彰台へ上がることができた。
第3回さいたまクリテリウム結果[10月24日/埼玉県さいたま市/60km]
1 ジョン・デゲンコルプ(チームジャイアント・アルペシン/ドイツ)1時間19分30秒
2 別府史之(トレックファクトリーレーシング/日本)
3 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
4 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)
5 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
6 新城幸也(チームヨーロッパカー/日本)
7 ペトル・バコッチュ(エティックス・クイックステップ/チェコ)+22秒
8 マルコ・コレダン(トレックファクトリーレーシング/イタリア)+22秒
9 中島康晴(愛三工業レーシングチーム/日本)+22秒
10 中村龍太郎(スペシャルチームジャパンforさいたま/日本)+22秒
[各賞]
■ポイント賞:畑中勇介(チーム右京/日本)
■山岳賞:ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
■新人賞:ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
■チーム成績:トレックファクトリーレーシング
■チーム成績(日本チーム):愛三工業レーシングチーム
■敢闘賞:新城幸也(チームヨーロッパカー/日本)
2 別府史之(トレックファクトリーレーシング/日本)
3 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
4 ホアキン・ロドリゲス(チームカチューシャ/スペイン)
5 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
6 新城幸也(チームヨーロッパカー/日本)
7 ペトル・バコッチュ(エティックス・クイックステップ/チェコ)+22秒
8 マルコ・コレダン(トレックファクトリーレーシング/イタリア)+22秒
9 中島康晴(愛三工業レーシングチーム/日本)+22秒
10 中村龍太郎(スペシャルチームジャパンforさいたま/日本)+22秒
[各賞]
■ポイント賞:畑中勇介(チーム右京/日本)
■山岳賞:ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
■新人賞:ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
■チーム成績:トレックファクトリーレーシング
■チーム成績(日本チーム):愛三工業レーシングチーム
■敢闘賞:新城幸也(チームヨーロッパカー/日本)
「最後のグループには、本当にいい選手しか残っていなかった。UCIワールドツアーのレースにも参加している2人の日本人選手もいた。もっとも重要だったのは辛抱することだった。誰もアタックさせず、スプリントで勝つためにコントロールできて、今日はラッキーだった」
「(ブエルタ後は)世界選のために早めに米国へ行ってトレーニングをしていた。そこでシーズンは終了し、2週間の休暇を過ごした。さいたまクリテリウムは半分今シーズンの終わりであり、半分次のシーズンなんだ。そのための準備には(この勝利は)いいモチベーションになるよ」
「来シーズンのゴールは今年とまったく同じで、クラシックシーズンになるだろう。もちろんツール・ド・フランスは夏の主要なゴールであり、今度こそ区間優勝したい」
「(さいたまの自転車文化についての印象)とても情熱的な応援だ。ここで数多くのグラディエーターを相手に勝てたことはとてもうれしい。ここに来られたことをとても光栄に感じている」
■2位になって日本人として初めて表彰台へ上がった別府のコメント「今年で3回目になるさいたまクリテリウムだが、今回はとくに先週ジャパンカップのクリテリウムで優勝することができて、コンディションはとても良く、さいたまクリテリウムもスプリント勝負したかった。最後は強力なメンバーが残り、新城選手のアタックは強烈だった。
「最後は自分で勝ちにいったが、クラシックハンターの方が一枚上手だった。しかし、手応えのあるレースだった。多くの観客の前で世界トップレベルの走りを見せることができたのは大きいと思っている」
■敢闘賞を獲得した新城のコメント「タイムトライアルはいきなりの刺激で、いっきに心拍が上がった。クリテリウムは調子よく走ることができた。パワーが有り余っていたので、ああいう動きになった。序盤は大人しくしていようか思っていたが、ポイントを取れたりして、後半は長いようで短かった。ラスト1周は本当に観客のおかげで興奮の展開だった。楽しかった」