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パナレーサーが放つ “勝てる”タイヤとは?
2016.04.27
2016年1月「面白いチューブラータイヤができたんです」という一報が編集部に入った。自転車用タイヤを製造するパナレーサーからだった。何でも〝次世代に向けてのプロトタイヤ〞だという。そう聞いては見に行かないわけにはということで、 編集部はパナレーサーがサポートするプロロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」のシーズン前合宿を訪れた。
ロードサイドにはまだ雪の残る冬の宇都宮。チームの集合場所で待っていると、しっかりと防寒装備をした選手たちが集まってきた。 メカニックが用意しているのは、真っ黒なチューブラータイヤが装着されたホイール3セット。見たことのないラベル、手書きでコードネームが書かれたものなど、いかにもプロトタイプという雰囲気がただようタイヤだ。
1年近くの開発期間を経て出来上がったタイヤに、パナレーサーの担当者は「チームはいいことも悪いことも忌憚なく伝えてくれる。製造からテストまで国内で完結するから開発スピードも速いし、細かい要望も実現できる」と胸を張る。チームとは何かあれば頻繁に連絡を取り合っているという。
開発しているタイヤは「チームエディション」というシリーズ。 エディションゼロがプロトタイプで、エディション1が市販モデルとなる。キーワードになるのは「タイヤ剛性」だ。勝てるタイヤには何が必要なのかを考え、追求していった結果、いかにエネルギーロスを少なくするかが重要。そのためにはムダな動きをしないことが勝利を引き寄せる。なるほど、フレームやホイールも高剛性化を進 めている流れからするとうなずける。
より具体的な話を聞くべく、編集部は兵庫県丹波にあるパナレーサー本社工場へ飛んだ。応対してくれたのはチューブラータイヤの開発担当者である安堂政明さん。
「チューブラータイヤという構造自体はとても古典的なものです。フレームやコンポーネント、ホイールなどロードバイクを構成する他のパーツの進化に比べると、チューブラータイヤの進化は少ないと思っていました。チューブラータイヤの弱点は大きく2つあります。ひとつはよくチューブラータイヤを形容する言葉として使われる〝しなやか〞であること。確かに快適性という意味では利点になりますが、ゴールスプリントなどでは、変形することによるエネルギーロスが発生します」
ぜい肉を可能な限り削減
「もうひとつは、装着に接着剤が必要であるという点。接着剤の層が不確定要素となり、エネルギーロスに影響すると考えます。とはいえ、軽さが必要なレース機材において、現状ではチューブラーホイールが欠かせません。
ですので、以上の2点をいかにして改善するかに主眼をおきました。具体的にはタイヤの構造を見直し、ホイールへタイトに装着する設計としています。
もともと弊社製チューブラータイヤは、トレッドとケーシングを接着剤ではなく加硫接着(化学反応により 結合)しているのでタイヤ内でのエネルギーロスは最小限です。
そして、エネルギーロスにつながるぜい肉のような部分を可能な限り削減しています。 ホイールへの装着にはやはり接着剤が必要ですが、最適な装着方法を当社HPで紹介していますので ご参照ください」
このように、かなりエッジの利いた製品だ。それゆえのデメリットについても聞いた。
「正直、メカニックの方は大変だと思います。ホイールにはまるギリギリの設計にしているので。それから競技に特化した性能を追い求めたので、耐久性は標準モデルに比べると低下しています。トレッド面積は実際に使用する範囲ギリギリにしてありますし。その分、実験データはかなりいいです。製造は丹波工場のチューブラー専用ラインで行いますので、安定した品質はお約束します」
この強烈な個性を持ったタイヤ は数量限定で販売される。その走りごこちを享受できる人は、そう多くないということだ。
ですので、以上の2点をいかにして改善するかに主眼をおきました。具体的にはタイヤの構造を見直し、ホイールへタイトに装着する設計としています。
もともと弊社製チューブラータイヤは、トレッドとケーシングを接着剤ではなく加硫接着(化学反応により 結合)しているのでタイヤ内でのエネルギーロスは最小限です。
そして、エネルギーロスにつながるぜい肉のような部分を可能な限り削減しています。 ホイールへの装着にはやはり接着剤が必要ですが、最適な装着方法を当社HPで紹介していますので ご参照ください」
このように、かなりエッジの利いた製品だ。それゆえのデメリットについても聞いた。
「正直、メカニックの方は大変だと思います。ホイールにはまるギリギリの設計にしているので。それから競技に特化した性能を追い求めたので、耐久性は標準モデルに比べると低下しています。トレッド面積は実際に使用する範囲ギリギリにしてありますし。その分、実験データはかなりいいです。製造は丹波工場のチューブラー専用ラインで行いますので、安定した品質はお約束します」
この強烈な個性を持ったタイヤ は数量限定で販売される。その走りごこちを享受できる人は、そう多くないということだ。