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オルベア・オルカとアヴァンがフルモデルチェンジ! トータルバランスを徹底的に追求

今年のツール・ド・フランスにおいてコフィディスのジョフレ・スープが、ダルズ迷彩のペイントをまとったプロトタイプを駆り、新型の登場がうわさされていたオルベアの旗艦機「オルカ」。その全ぼうがスペイン・バスク地方で開催された国際試乗会において明らかになった。同時発表されたエンデュランスロード「アヴァン」と共に速報をお伝えしよう。
 
text&photo:吉本 司

軽く、強くなり、総合力にさらなる磨きをかけた「オルカOMR」

プロトタイプを写真などで見た限りでは、その特殊なグラフィックの効果もあってか、前作との大きな違いをシートまわりにしか見いだせなかった新型オルカ。しかし現地で対面したその製品版は、“似て非なる物”であった。
これまで通り「オルカOMR」と名付けられるそれは、フレーム単体重量が前作の875gに対して795g、フロントフォークは327gから315gとなり、トータルで92gの軽量化に成功しながら、剛性面でも向上を果たしている。
新たに丸型に近い断面形状となったダウンチューブ、ボリュームを増したフォーククラウン、5㎜短縮されたヘッドチューブの採用により、パワーラインの剛性は前作に比べて14Nm増の94Nmを実現。さらにフロントフォークは前後方向に20%、左右方向に26%剛性が向上。こうして新型オルカは、より高効率な動力性能と俊敏なハンドリングを獲得するに至った。

近年のオルカといえば、外側へベンドさせたフォークブレードとシートステーを特徴としていたが、新型ではこれをあえて捨てている。快適性を得るためにシートステーはかなり細身となり、それをリヤエンドへと真っ直ぐ結ぶ。一方のフォークブレードは、TTバイクのオルドゥから受け継ぐ「フリーフロー」と呼ばれる形状を反映。抵抗が最も大きいとされるフォークブレード内側に流れる空気を、スムーズに後方へと流すことで空力を高めている。

新型オルカは圧倒的な重量の軽さや、見た目に明白な空力ギミックを備えた派手さのあるバイクではない。しかし走らせると明らかに前作に増して加速は軽く、力強い。ハンドリングはより俊敏になりつつも、的確に路面を捉える安定感を見せ、全ての面で性能は進化した印象だ。キャッチーな仕様を打ち出すモデルも多い昨今だが、勝つために本当に必要な性能を精査してトータルバランスを徹底的に磨き上げたコンペティティブロード、それが新型オルカである。
 
ボリュームアップしたフォーククラウンがヘッドチューブの下側にめり込むような「セミインテグラル」と呼ばれるデザインを新たに採用して、ヘッドまわりの剛性を増している
ボリュームアップしたフォーククラウンがヘッドチューブの下側にめり込むような「セミインテグラル」と呼ばれるデザインを新たに採用して、ヘッドまわりの剛性を増している
薄く仕上げられたフロントフォークは、ブレードが外側に軽く円弧を描く。これによりホイールとフォーク内側の間隔が増し、この部分を空気が整流され空気抵抗が低減する
薄く仕上げられたフロントフォークは、ブレードが外側に軽く円弧を描く。これによりホイールとフォーク内側の間隔が増し、この部分を空気が整流され空気抵抗が低減する
シートステーはトップチューブからそのままリヤエンドに向い真っ直ぐに伸びるデザインへ様変わりした。外径もかなり細くなり、丸型に近い断面形状によって乗り心地を高める
シートステーはトップチューブからそのままリヤエンドに向い真っ直ぐに伸びるデザインへ様変わりした。外径もかなり細くなり、丸型に近い断面形状によって乗り心地を高める
シートポストの固定は、新たにフレーム内にうすを内蔵構造へと変更された。乗り心地の向上というよりもデザイン的な美観を重んじての仕様。シートポストは丸型の27.2㎜径
シートポストの固定は、新たにフレーム内にうすを内蔵構造へと変更された。乗り心地の向上というよりもデザイン的な美観を重んじての仕様。シートポストは丸型の27.2㎜径
Spec.
●フレーム素材/カーボンT700(24T)、T800(30T)、M40J(40T)
●重量/フレーム単体795g、フロントフォーク317g(53サイズ)
●サイズ/47、49、51、53、55、57、60
●カラー/オーダーシステム「Myo」対応
●価格/未定
 

もちろんディスクブレーキモデルも

今作ではディスクブレーキ搭載車のラインナップも前提に開発が進められた。ディスクの規格はフラットマウント、12㎜スルーアクスル、リヤのオーバーロック寸法は142㎜
今作ではディスクブレーキ搭載車のラインナップも前提に開発が進められた。ディスクの規格はフラットマウント、12㎜スルーアクスル、リヤのオーバーロック寸法は142㎜
ディスクブレーキ側のチェーンステーはベンド加工によりキャリパーの取り付け位置を適正化して、安定した制動が発揮される。ローター径はフロント160㎜、リヤ140㎜
ディスクブレーキ側のチェーンステーはベンド加工によりキャリパーの取り付け位置を適正化して、安定した制動が発揮される。ローター径はフロント160㎜、リヤ140㎜

快適性を高めつつ、軽く、強くなった「アヴァンOMP」

前作のアヴァンはディスクとリムブレーキを兼用するフレームワークだったが、新作となる「アヴァンOMP」は本格的なディスクブレーキ時代に対応して、このシステムに専用化されることとなった。

そのフレームワークは見た目にも滑らかさを感じさせるものとなり、前作よりも200gも軽量化された990gのフレーム単体重量を実現。要所となる快適性は、10㎜ずつ延長されたヘッドチューブとフォーク全長によって、アップライトな乗車姿勢とさらなる乗り心地の良さを得ている。加えてトップチューブの傾斜を大きくしたスローピング形状によりシートポストの突き出しを増やし、横方向に大きく扁平加工されたトップチューブ、極めて細くディスク化によってブリッジレスとなったシートステーを搭載。これらによりフレームアッパー部の垂直方向に対する柔軟性は大きく進歩し、乗り心地の向上に成功している。

一方、動力側の性能はオルカ同様、大径化されたフォーククラウンとダウンチューブによってパワーラインの剛性を強化。前作よりも5Nm増した90Nmの剛性値を実現して、より高率的なペダリングを獲得している。

その走りはオルカとは毛色の違うふわりと軽い出足がありながらも、加速が必要な場面ではしっかりと前に出る力強さも持ち合わせる。乗り心地の向上は明白で、フォークブレードとバックステーの上手な仕事ぶりによって、タイヤが路面を離さない程に抜群の振動吸収性と安定感を発揮する。目指す内容は異なるものの、トータルバランスを徹底的に追求するという物作りの方向性はオルカと同様で、新型アヴァンは一途に作られたエンデュランスロードと言えよう。
 
細身に仕上げられたフォークブレード。ディスクブレーキ仕様でありながらしっかりとしなりも演出されており、路面からの振動を行儀良く吸収して乗り心地を高める
細身に仕上げられたフォークブレード。ディスクブレーキ仕様でありながらしっかりとしなりも演出されており、路面からの振動を行儀良く吸収して乗り心地を高める
トップチューブから流れるようにデザインされるシートステー。断面形状は丸型に近く、前作からはかなり細身になった印象。ブリッジレスの仕様も乗り心地に貢献する
トップチューブから流れるようにデザインされるシートステー。断面形状は丸型に近く、前作からはかなり細身になった印象。ブリッジレスの仕様も乗り心地に貢献する
2代目のオルカをほうふつとさせるヘッドチューブの接合部。上下共に大きなボリュームが与えられ必要なねじれ剛性を確保して、特にダンシングにおける加速性能を高める
2代目のオルカをほうふつとさせるヘッドチューブの接合部。上下共に大きなボリュームが与えられ必要なねじれ剛性を確保して、特にダンシングにおける加速性能を高める
ディスク規格はフラットマウント台座、12㎜軸×リヤ142㎜のオーバロックナット寸法。今後の定番となる仕様だ。ディスクローター径はフロント160㎜、リヤ140㎜
ディスク規格はフラットマウント台座、12㎜軸×リヤ142㎜のオーバロックナット寸法。今後の定番となる仕様だ。ディスクローター径はフロント160㎜、リヤ140㎜
Spec.
●フレーム素材/カーボン(スタンダード+5%ハイストレングス/ハイモジュラス)
●重量/フレーム単体990g
●サイズ/47、49、51、53、55、57、60
●カラー/オーダーシステム「Myo」対応
●価格/未定

サイクルスポーツ12月号では、さらに詳しく新型オルカとアヴァンの解説・試乗記事を掲載する。
 

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