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自転車天国オランダ&ベルギー・フランダースでサイクリング【フランダース編】

オランダとベルギーのフランダース地方は、初心者でも気軽にサイクリングが楽しめる自転車の国。

スポーツとしての自転車競技が盛んなイメージが強いベルギーのフランダース地方も、最近はプロレースのコースを走れるツーリスト・レースが盛んに行われ、娯楽としてのサイクリングも人気だ。

フランダース編では、古都ブルージュから郊外のダムまで、のんびり田舎道を走るサイクリングを紹介。

www.hollandflanders.jp

 

自転車競技が世界で最も盛んな “聖地” フランダース

ベルギー最大のクラシックレース『ロンド・バン・ブラーンデレン』のスタート風景
ベルギー最大のクラシックレース『ロンド・バン・ブラーンデレン』のスタート風景
『ロンド・バン・ブラーンデレン』のツーリスト・レースには、1万6000人もの参加者が集まる
『ロンド・バン・ブラーンデレン』のツーリスト・レースには、1万6000人もの参加者が集まる
プロレースと同じコースを走れるのがツーリスト・レースの醍醐味だ          
プロレースと同じコースを走れるのがツーリスト・レースの醍醐味だ          
オランダとベルギー北部のフランダース地方は、初心者でも気軽にサイクリングが楽しめる自転車天国だ。どちらもオランダ語が公用語だが、英語を話せる人たちが一般的に多く、フランスやイタリアと比べれば、旅行そのものがしやすい国でもある。

オランダは自転車が移動手段として生活に根付き、自転車保有台数が世界一の自転車天国だが、ベルギーのフランダース地方は、スポーツとしての自転車競技が世界で最も盛んな “聖地” と言っても過言ではない。

1913年に創始し、今年100回記念大会を祝った『ロンド・バン・ブラーンデレン』は、5大クラシックレースの1つに数えられている。自転車競技が黎明期から盛んなベルギーでは、北部フランダース地方のロンド・バン・ブラーンデレンと、南部ワロン地方のリエージュ~バストーニュ~リエージュの2レースが、5大クラシックレースに入っている。

フランダース地方でのロンド・バン・ブラーンデレンのTV視聴率は80%を越えると言われるが、信じられなければその日ベルギーを訪れてみるといい。どこの家のTVもロンドのライブ放送がついている。

近年はプロレースのコースをアマチュア・サイクリストでも走ることができる一般参加のツーリスト・レースも盛んに行われるようになった。その中でもプロレースの前日に開催されるロンド・バン・ブラーンデレンのツーリスト・レースは、毎年1万6000人もの参加者が集まる人気イベントになっている。

ロンド・バン・ブラーンデレンの見どころとなる東フランダース州は『フランダースのアルデンヌ』と呼ばれている。アルデンヌはベルギー南部ワロン地方の丘陵地帯のことで、東フランダース州はアルデンヌのように丘が多い、ということだ。

その丘陵地帯に残された古い石畳の坂道が、ロンド・バン・ブラーンデレンの戦場だ。コッペンベルフ、クワルモント、パーテルベルフ。4月の第一日曜日にチャンピオンたちが熱い闘いを演じる石畳の坂道は、普段はのどかな田舎道なので、ツーリスト・レースに参加しなくても自由にサイクリングを楽しむことができる。
 

テーマを持ったサイクリング・ルートが数多くあるフランダース地方

クラシックレース好きなら一度は自転車で上ってみたい石畳の急坂 “ミュール” 
クラシックレース好きなら一度は自転車で上ってみたい石畳の急坂 “ミュール” 
ベルギーには近隣の国と同じ基準で作られたサイクリング・ルートの標識がある    
ベルギーには近隣の国と同じ基準で作られたサイクリング・ルートの標識がある    
ビール好きならサイクリングでホップ農家を見学、なんていうのも面白いかも
ビール好きならサイクリングでホップ農家を見学、なんていうのも面白いかも
オランダと同じように、ベルギーのフランダース地方もサイクリング・ルートが整備され、道しるべとなる標識はフランダース中に設置されている。この標識は南部のワロン地方や、フランス、オランダなどの隣国と同じ基準で作られているのでわかりやすい。

フランダース地方の主要なサイクリング・ルートの総距離は3000kmにも及ぶ。サイクリング・ルートには50km前後の短いものから健脚向きのロングライドまである。LFと呼ばれる長距離サイクリング・ルートは10種類あり、フランスやオランダのサイクリング・ルートとつながっているものもある。

標識には番号が記されたものと、ルート名が書かれたものがある。番号が記された標識はサイクリング・ルートの分岐点に設置されていて、その番号をたどっていくことで決まったルートを走れる仕組みになっている。ルート名が書かれた標識は、その矢印をたどっていくだけだ。

ロードレースが盛んなベルギーでは、レースや選手にちなんだサイクリング・ルートがいくつもある。脚に自身があれば是非『ロンド・バン・ブラーンデレン・ルート』や『エディ・メルクス・ルート』を走って欲しい。他にも古城を巡るルート、第一次世界大戦ゆかりの地をめぐるルート、ベルギーらしくビール醸造所を巡るルートなど、ユニークなテーマを持ったサイクリング・ルートがたくさんある。

サイクリング・ルートが記された地図は、ツーリスト・インフォメーションやスタンダールド・ブークハンデル(Standaard Boekhandel)のような大型書店チェーンで購入することができる。『ロンド・バン・ブラーンデレン・ルート』のマップは、オウデナールドにあるロンド・センター(CRVV)でも取り扱っている。






ベルギー・フランダース政府観光局の日本語版サイトには、地域ごとのおすすめサイクリング・ルートが紹介されているので、是非活用してほしい。英語のみだが、東フランダース州のサイクリング・ルートのPDF版やGPXデータをダウンロードできるサイトもあり、距離や難易度でルートを選べるのが便利だ。


◆ベルギー・フランダース政府観光局 日本語版サイト →
http://www.visitflanders.com/ja/themes/cycling-in-flanders/cycle-sport/routes/

◆東フランダース州のサイクリング・ルート 英語版サイト →
http://www.liveyourowntour.com/en/cycling/bike-routes/


 

レンタサイクルで楽しむ古都ブルージュと郊外の田舎町ダム

ブルージュからダムまでは、運河沿いにサイクリング・ロードが整備されている            
ブルージュからダムまでは、運河沿いにサイクリング・ロードが整備されている            

​歴史的建造物が多く残る旧市街区域が、ユネスコ世界遺産に登録されている西フランダース州の州都ブルージュは、世界的に人気の観光都市で、自転車レースファンには『ロンド・バン・ブラーンデレン』のスタート地としても知られている。

残念ながら来年からロンドのスタート地はアントワープに移ってしまうが、運河が張り巡らされた古都ブルージュは見どころがたくさんあるので、自転車レースを観るためにベルギーへ行ったら、是非訪れてほしい観光地だ。

ブルージュではレンタサイクルを借りるのがオススメ。小さな街だが、自転車を使えば効率よく観光名所を回ることができる。市内観光ツアーや郊外へのツアーを主催しているサイクリング・ツアー会社もあり、中世にブルージュの外港として栄えたダムという田舎町を訪れるツアーが人気だ。


ダムまで往復15kmほどのサイクリングのコースは平坦で、車通りの少ない田舎道やサイクリング・ロードを使うため、初心者にはピッタリだ。サイクリングをしながらのどかに草をはむ牛や馬をながめたり、大きなアオサギが飛んでいるのに遭遇したり、フランダース地方の田園風景を満喫できる。ダムでは43メートルの高さの聖母教会の塔のてっぺんに上がって、美しいランドスケープを堪能してほしい。天気が良ければ北海を見ることもできる。

サイクリングを奨励しているブルージュ市では、2014年に誰でも自由に利用できるユニークな足踏み式の空気入れをマルクト広場、ザント広場、鉄道駅、旧市街に入る門など8カ所に設置し、年々数を増やしている。ベルギーでも娯楽としてのサイクリングが盛んになってきている証拠だろう。
 
ユネスコ世界遺産に登録されている古都ブルージュ。馬車もいいけどサイクリングで回ってみたい          
ユネスコ世界遺産に登録されている古都ブルージュ。馬車もいいけどサイクリングで回ってみたい          
春のクラシックシーズンはベギン会修道院の中庭の水仙が見頃だ
春のクラシックシーズンはベギン会修道院の中庭の水仙が見頃だ
古都ブルージュは夜景もオススメ
古都ブルージュは夜景もオススメ
マルクト広場にあるツーリスト・インフォメーションの前に設置されている空気入れは誰でも利用できる
マルクト広場にあるツーリスト・インフォメーションの前に設置されている空気入れは誰でも利用できる

街の中心部から徒歩圏内にあるサイクリング・ツアー会社

ブルージュ旧市街にある『クアジムンド(Quasimundo)』は、ガイド付きの市内サイクリングや郊外へのサイクリングを主催している会社だ。市内サイクリングは約2時間半で英語のガイドが付き、大人28ユーロ。自分の自転車で参加することもでき、その場合は16ユーロになる。地元のカフェでのワンドリンク付きなのがうれしい。予約はインターネットでできる。

ブルージュ郊外のカントリーサイドをサイクリングするツアーは約4時間で、料金は市内サイクリングと変わらない。このツアーではオススメの町ダムにも訪れる。その郊外ツアーのハイライトを凝縮した、ブルージュとダムを往復する片道1時間のサイクリングを写真で紹介しよう。
 
ブルージュ旧市街にあるサイクリングツアー会社『クアジムンド』
ブルージュ旧市街にあるサイクリングツアー会社『クアジムンド』
ガイドのヨス・トゥーヘルスさんはブルージュの歴史や自然に詳しい  
ガイドのヨス・トゥーヘルスさんはブルージュの歴史や自然に詳しい  
クアジムンドのレンタサイクルは、昔プロチームのスポンサーだった『フランダース』だ
クアジムンドのレンタサイクルは、昔プロチームのスポンサーだった『フランダース』だ
ツアーの出発地点はブルージュ市内。運河をながめながら、石畳の道を走っていく 
ツアーの出発地点はブルージュ市内。運河をながめながら、石畳の道を走っていく 
ブルージュ旧市街を囲む運河沿いでは、風車が見られる
ブルージュ旧市街を囲む運河沿いでは、風車が見られる
行きは運河近くの田舎道をサイクリング。途中牛、馬、羊に遭遇した 
行きは運河近くの田舎道をサイクリング。途中牛、馬、羊に遭遇した 
これから向かうダムが星型の町であることを、写真を使って説明するガイドのヨスさん 
これから向かうダムが星型の町であることを、写真を使って説明するガイドのヨスさん 
ダムとブルージュをまっすぐつないでいる運河。はるか彼方にブルージュの教会が見える
ダムとブルージュをまっすぐつないでいる運河。はるか彼方にブルージュの教会が見える
運河沿いのサイクリング・ロードを使うとダムまでは片道7km。初心者にはピッタリだ
運河沿いのサイクリング・ロードを使うとダムまでは片道7km。初心者にはピッタリだ
聖母教会の塔から見下ろしたダムの町。天気がよければ北海も見える
聖母教会の塔から見下ろしたダムの町。天気がよければ北海も見える

◆クアジムンド 公式サイト:http://www.quasimundo.com
 

ブルージュへ行ったら是非訪れたい『レースセンター』

繊細な手作業で美しい模様が生み出される伝統工芸のボビンレース
繊細な手作業で美しい模様が生み出される伝統工芸のボビンレース
 
ベルギーと言えば、伝統工芸のボビンレースも有名だ。針で編むニードルレースとは異なり、小さな糸巻きに巻きつけた何十本もの糸を複雑に絡めて編んでいく繊細なボビンレースは、中世には王侯貴族や聖職者たちの豪奢な衣装の装飾には欠かせないものだった。

古都ブルージュには、ボビンレースの歴史を学び、素晴らしいコレクションの数々を鑑賞できる『レースセンター』がある。ボビンレース編みの実演を見学することもできるので、是非訪れてほしい。ボビンレース編みのスゴさは、実際に作っている所を見て初めて実感できる。

入館料は実演見学込みで大人5ユーロ、12~25歳と65歳以上は4ユーロ。いずれも別途市税が0.20ユーロかかる。

レースセンターはブルージュの中心部にあるマルクト広場から徒歩だと15分かかるが、レンタサイクルを使えば簡単に訪れることができる。

レースセンターのすぐ近くにある『アポステリーンチェ』では、アンティークレースや手作りのレースを購入することもできる。街中の土産物店では機械編みの安いレースを数多く販売しているが、ここなら安心して手作りの逸品を購入することが可能だ。


◆レースセンター(Kantcentrum) 公式サイト:http://kantcentrum.eu/en/

◆アポステリーンチェ(’t Apostelientje)公式サイト:http://www.apostelientje.be/


 
ミュージアムではボビンレースの歴史とともに、素晴らしい作品の数々を見ることができる。
ミュージアムではボビンレースの歴史とともに、素晴らしい作品の数々を見ることができる。
アポストリエンチェではアンティークレースや手作りレースが購入できる
アポストリエンチェではアンティークレースや手作りレースが購入できる

中世の王侯貴族の気分が味わえる旧市街の4つ星ホテル

 
ブルージュ旧市街の中心部にある『グランド・ホテル・カッセルベルフ』は、中世の王侯貴族になった気分が味わえる4つ星ホテルだ。客室内には豪華なシャンデリアや調度品が飾られ、ユネスコ世界遺産の街に泊まるロマンチックな夜を演出してくれる。

ホテルの地下には16世紀のワインセラーを改造したスパがあり、宿泊客は無料で利用できる。マルクト広場から数100メートルの立地なので、美しいブルージュの夜景をたっぷり楽しむこともできるし、近くのカフェでベルギービールを夜遅くまで堪能することも可能だ。


Grand Hotel Casselbergh
住所:Hoogstraat 6, Bruges
ホテルの公式サイト:http://www.grandhotelcasselbergh.be/en/
 
シャンデリアのある寝室に泊まれるチャンスは滅多にない
シャンデリアのある寝室に泊まれるチャンスは滅多にない
持ち帰れるアメニティは日本でも人気のロクシタンだった
持ち帰れるアメニティは日本でも人気のロクシタンだった
ホテルの建物自体がまるで美術館のようだ
ホテルの建物自体がまるで美術館のようだ
パブリックスペースにある化粧室も豪華だ
パブリックスペースにある化粧室も豪華だ

ブルージュで人気のレストラン

テーブルと椅子にはオランダ人デザイナー、ピートヘイン・エークの作品が使われている
テーブルと椅子にはオランダ人デザイナー、ピートヘイン・エークの作品が使われている

世界中の観光客が訪れるブルージュには、ムール貝は牛肉のビール煮のような典型的なベルギー料理が楽しめる観光客向けのレストランがたくさんある。しかし、趣向を変えて地元っ子が集まるレストランに行ってみたければ、ブルク広場近くの「イーテン・ベイ・リーベン」がオススメだ。

オランダ編で紹介した人気家具デザイナー、ピートヘイン・エークのテーブルと椅子が使われている店内はモダンで、中世の街並みの真ん中にあるレストランとは思えない。メニューも舌の肥えた地元っ子が納得する、洗練された品ばかりだ。


Eten bij Lieven
住所:Philipstockstraat 45, Brugge
お店の公式サイト(オランダ語のみ):http://www.etenbijlieven.be
お店のFacebook:https://www.facebook.com/etenbijlieven 
 

最新情報は『オランダ&フランダース』でチェック!

『オランダ&フランダース』は、オランダ政府観光局ベルギー・フランダース政府観光局が国境を越え、共同で制作・運営するサイト。海外旅行ではセットで訪れることが多い2つのエリアの最新情報が満載だ。

見どころが観光テーマごとに分類されていて、情報を探しやすいのもうれしい。オランダとベルギーのフランダース地方へ旅行するときは是非チェックしてほしい。旅行の予定がなくても、見ているだけで楽しめるサイトだ。

◆『オランダ&フランダース』→ https://www.hollandflanders.jp
 
 
 
 

 
◆取材協力:
オランダ政府観光局/
ベルギー・フランダース政府観光局
https://www.hollandflanders.jp

KLMオランダ航空
https://www.klm.com/home/jp/ja