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4賞ジャージが勢揃い! さいたまクリテリウム 2016

4年目を迎えたさいたまクリテリウムは、
昨年よりも1チーム少ない6チームの来日だったが、
初めて4賞ジャージ獲得者が勢揃いし
豪華なポストツール・イベントになった。

キモノや餅つきといった日本文化を体験し、
選手たちはリラックスして
シーズンオフのひとときを楽しんでいた
Photo: Yazuka Wada / cyclesports.jp

シャンゼリゼからつながるツール・ド・フランス第22ステージ

左からマイカ、サガン、フルーム、イエーツ                     
左からマイカ、サガン、フルーム、イエーツ                     
 
アモリースポールオルガニザシオン(ASO)とさいたま市が手を組んで主催し、ツール・ド・フランスの名前を冠したポストツール・クリテリウムとして2013年からスタートした『J:COM presents 2016 ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム』は、今年で4回目の開催となった。

初開催時は海外から8チームが来日してにぎやかな大会だったが、昨年は7チーム、今年は6チームになって参加選手の数は減っている。しかし、それを感じさせないほど豪華な顔ぶれがさいたま市に集結した。今年は何と、マイヨ・ジョーヌ(個人総合優勝)、マイヨ・ベール(ポイント賞)、マイヨ・アポワ(山岳賞)、マイヨ・ブラン(新人賞)の4賞ジャージ獲得選手がさいたまクリテリウムに勢揃いしたのだ。

ツール終了直後にベルギーやオランダで盛んに開催されているポストツール・クリテリウムでも、4賞ジャージ獲得選手が1つのクリテリウムに全員招待されることはまずないだろう。それはツールを主催するASOがみずから手がけるイベントならではの特例で、それを観られる日本のレースファンは本当にラッキーだ。

今年3度目のツール総合優勝を成し遂げたマイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)は、最初の年から4年連続で参加し、まさに『さいたまクリテリウムの顔』だ。ASOのはからいで、招待選手たちは家族やガールフレンドを同伴して来日できるのだが、昨冬誕生した息子はまだ小さくて長旅はさせられなかったとフルームは言っていた。

マイヨ・ベールを5年連続で獲得した世界チャンピオンのペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)は、3度目のさいたまクリテリウムだったが、今回兄のユライは同行せず、親友のマイケル・コーラール(ティンコフ/スロバキア)と一緒に参加した。マイヨ・アポワのラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)は、2014年につづいて2度目の来日だった。

さいたまクリテリウムではおなじみの顔が並ぶなか、初参加となったのは今年英国人として初めてマイヨ・ブランを獲得したアダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ)だった。何と彼はアジアに来るのも初めてだと言っていた。

4賞ジャージ獲得選手の他にも、今年総合2位になったフランス期待のロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)や、ツールで区間9勝を上げているトップスプリンターのマルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ)も来日。さらには日本で悪魔おじさんと呼ばれているドイツの名物サポーター、ディディさんまで招待され、“ツールの第22ステージ” にふさわしい特別なポストツール・クリテリウムになった。
 
昨年は併設イベントのさいたまるしぇの来場者約3万8000人、サイクルフェスタの来場者約1万7000人を含めた総来場者が約9万5000人だった人気イベントのさいたまクリテリウム。前日は冷たい雨が降る中で市内交流会が行われたが、イベント当日は天気も回復し、昨年並みの大観衆が1周約3.1kmのサーキットを埋め尽くした。
 
さいたまクリテリウムはASOが関わる今シーズン最後のイベントだったため、ASOのアンバサダーを今年で勇退するベルナール・イノーの引退セレモニーも行われた
さいたまクリテリウムはASOが関わる今シーズン最後のイベントだったため、ASOのアンバサダーを今年で勇退するベルナール・イノーの引退セレモニーも行われた
引退セレモニーの後、オープニング走行へ出発するイノーを見送る選手たち   
引退セレモニーの後、オープニング走行へ出発するイノーを見送る選手たち   

クリテリウムメインレースはマイヨ・ベールのサガンが優勝

さいたまクリテリウムで初優勝したサガン 
さいたまクリテリウムで初優勝したサガン 
 
国内外の51選手が参加したメインイベントのクリテリウムは、サーキットを20周して行われた。2014年の勝者で今年も優勝候補の1人だったキッテルは中盤の逃げに加わり、7周回と11周回のスプリントポイントで1位になってポイント賞を確実にした。

終盤にはツール・ド・フランス・ジャパンチームとしてさいたまクリテリウムに参加していた別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(ランプレ・メリダ)がアレクシス・ビュイエルモーズ(AG2R・ラモンディアル)と一緒にアタックして先行し、日本のレースファンを熱狂させた。

そこから別府が単独で飛び出して逃げつづけたが、残り2周回で吸収されてしまった。最後に集団から飛び出したのは、マイヨ・ジョーヌのフルーム、マイヨ・ベールのサガン、マイヨ・ブランのイエーツ、そして日本チャンピオンの初山翔(ブリヂストン・アンカー)の4人だった。

第1回大会を思い起こさせるクライマックスになり、観客の声援がさらに高まる中、最終周回のさいたまスーパーアリーナ内通過時に、マイヨ・ブランのイエーツがアタックして先行。そのまま先頭でフラム・ルージュを通過した。

しかし、イエーツは残り300メートルでマイヨ・ジョーヌのフルームに捕まってしまった。そこからスパートしたフルームを初山が交わして一度先頭に立ったが、スプリントになれば誰が最強かは歴然としていた。後方から上がってきたマイヨ・ベールのサガンは難なく先頭に立ち、さいたまクリテリウムで初優勝した。

2位にはサガンの後方に食らいついてゴールした日本チャンピオンの初山が入り、マイヨ・ジョーヌのフルームが3位になって最後の表彰台に上がった。ポイント賞はバルデ、新人賞はイエーツが獲得。敢闘賞は果敢な逃げを見せた別府が受賞した。最優秀チームはロシアのティンコフ、最優秀日本チームはブリヂストン・アンカーだった。
 
                                                
                                                

クリテリウム終了後のコメント集

                                    
                                    
■さいたまクリテリウムで初優勝したサガン「最初からとても速いレースだった。逃げがいくつかできたが決まらなかった。最後の3〜4周で逃げを作ろうと思っていて、そこでアタックした。決まったメンバーはとても強いメンバーだった。でも勝つことができた。レース全体としてはすごくペースが速かった」

「(優勝できたのは)ラッキーだった。沿道の声援のおかげだった。今大会は特に自分への声援が多かったように感じている。そのおかげかな! ドーハ世界選ではスロバキアの大勢のファンと家族が僕をフォローしてくれて力になった。でも、さいたまではそれよりたくさんのスロバキア国旗をみた。まるでホームタウンのようだった。スロバキアの人もいっぱいいたのかな? 日本のファンに感謝している。応援が多かったからここの方がより闘いやすかった。選手としての誇りに思うよ」
 
                                   
                                   
■4年連続で来日したフルームのコメント「日本にまた戻って来られて、とてもうれしかった。さいたまクリテリウムはこれで4回目だ。日本のファンにはとても特別な絆を感じている。日本はヨーロッパやツール・ド・フランスからとても離れていると思うのに、ファンはツールをとても身近に追いかけている。彼らは本当によくこのスポーツのことを知っている。個人的にもここに来て、ファンとつながりをもてるのは本当に特別だ」

「今日はとても高速レースだった。ローカルの日本選手たちのレベルはどんどん上がっていると思う。こんなにたくさんの日本の若い選手たちが、プロのシステムにどんどん入って来るのは良いことだ。僕は最後の何周かでサガンを出し抜こうと全力を出した。スプリントになれば彼が勝つのがわかっていたからだ。けれど抜け出せず、結局彼はスプリントで勝つことができたのさ」
 
■2位に入った日本チャンピオンの初山「毎年参加している。今年は全日本チャンピオンとして、違う覚悟でのぞんだ。毎年ラスト数周で決まるのはわかっていた。その瞬間を逃さないように集中していた。厳しいメンバーだったから、真っ向勝負しようと全力で行っての結果だった」

「日本人1位であることはあまり意味がない。世界に放映されるレースで2位になったのは意味がある。引退する時もその意味の大きさを感じると思う」

「ブリヂストンになって4年になる。全日本チャンピオンも取れた。ブリヂストンに移ったのも海外での活躍を目指したもの。全日本チャンピオンジャージで海外を走るので、それに見合う活躍をしていきたい」
 
                        
                        
■クリテリウムで敢闘賞を獲得した別府「毎年走っているが、自分が育った国にファンが多いことを実感する。早めのアタックで1人で出てしまったのも、みんなの声援に我慢できなくなって、早くかけてしまった。普段はヨーロッパで走っているので、母国でそれを披露する場があるのはうれしい。これを糧に来年もいい走りをしたいと決意を新たにした」

■ポイントレースで優勝した新城「ポイントレースをここまで狙って走ったことはなかったので、頑張った。先週(ジャパンカップ)結果が出ていなかったし。フィニッシュ後は自分で結果がわからなかったけど、沿道からおめでとうと言われたのでわかった。またさいたまに帰って来られたのはうれしい。市長、みんなにありがとうと言いたい。シャンゼリゼの次に人が多い。こんなレースはほかにはない。いつも以上に力が出た。来年もっと強くなって帰ってきたい。

2016さいたまクリテリウム全結果

クリテリウムメインレースの表彰台。左から2位の初山翔、初優勝のサガン、3位のフルーム
クリテリウムメインレースの表彰台。左から2位の初山翔、初優勝のサガン、3位のフルーム
ポイント賞を獲得したキッテル
ポイント賞を獲得したキッテル
山岳賞を獲得したバルデ
山岳賞を獲得したバルデ
新人賞を獲得したイエーツ               
新人賞を獲得したイエーツ               
敢闘賞を獲得した別府史之 
敢闘賞を獲得した別府史之 
最優秀チームはロシアのティンコフだった
最優秀チームはロシアのティンコフだった
最優秀日本チームはブリヂストン・アンカー     
最優秀日本チームはブリヂストン・アンカー     
個人TTで優勝したバコッチュ
個人TTで優勝したバコッチュ
ポイントレースで優勝した新城              
ポイントレースで優勝した新城              
4年目のさいたまクリテリウムも豪華メンバーが表彰台に上がって幕を閉じた             
4年目のさいたまクリテリウムも豪華メンバーが表彰台に上がって幕を閉じた             

恒例の市内交流会は着物体験、ジャンボひな壇、モチつき体験!

紋付羽織袴を着た選手たちがJRさいたま新都心駅前に勢揃い!
紋付羽織袴を着た選手たちがJRさいたま新都心駅前に勢揃い!
 
さいたまクリテリウムの前日には、今年も恒例の『さいたま市内交流会』が行われ、来日した海外選手たちは貴重な日本文化を体験をした。まずは選手全員が日本の伝統着物を体験。紋付羽織袴を着てJRさいたま新都心駅前でお出迎えにやってきた岩槻商業高校と岩槻高校の生徒たちと記念撮影を行った。

その後、さいたまスーパーアリーナ内に場所を移動し、選手たちはまず江戸時代に日本三奴と呼ばれた岩槻黒奴パフォーマンスを見学。岩槻高校国際文化科生徒による英語説明を受けた後、人形の街として有名な岩槻のお祭りの出し物となっている『ジャンボひな壇』再現が行われた。

ジャンボひな壇は、ひな祭りの人形を生身の人間が演じて再現するもので、フルームがお内裏様を衣装をまとって最上段に上がった。そしてサガン、マイカ、イエーツ、バルデ、キッテルが五人囃子に扮した。

最後は餅つきを体験し、4賞ジャージをイメージした餅を試食。マイヨ・ジョーヌはきな粉餅、マイヨ・ベールはずんだ餅、マイヨ・アポワは赤ようかんいりの餅、マイヨ・ブランは大福餅だった。

大福餅の中に入っているあんこを初めて見た選手たちは、ちょっと戸惑っていたが、豆のペーストで甘いよと教えてあげると、おそるおそるトライ。アジア初体験中のイエーツは「悪くはないな」と言っていた。

夜にはJ SPORTSの『我らワールドのツール・ド・フランス観戦塾〜さいたまクリテリウム2016直前スペシャル〜』が、さいたまスーパーアリーナから生中継され、フルーム、サガン、マイカ、イエーツの4人が出演した。

選手たちは前夜祭王決定戦でクイズやアーケードゲームの『太鼓の達人』に挑戦。シーズン中には決して見られない姿を、日本のファンに見せてくれた。

 
4賞ジャージ獲得選手たちには特別な羽織が用意された          
4賞ジャージ獲得選手たちには特別な羽織が用意された          
岩槻の高校生と記念撮影に収まる和装の選手たち
岩槻の高校生と記念撮影に収まる和装の選手たち
海外メディアの取材を受けるフルーム。この日の午前中、日本に到着したばかりだった
海外メディアの取材を受けるフルーム。この日の午前中、日本に到着したばかりだった
和装が似合っているフランスのデュムラン     
和装が似合っているフランスのデュムラン     
岩槻まつりの『ジャンボひな壇』を選手たちが再現した                           
岩槻まつりの『ジャンボひな壇』を選手たちが再現した                           
ジャンボひな壇でお内裏様に扮したフルーム  
ジャンボひな壇でお内裏様に扮したフルーム  
五人囃子のサガン                    
五人囃子のサガン                    
五人囃子のキッテル                    
五人囃子のキッテル                    
五人囃子のバルデ       
五人囃子のバルデ       
五人囃子のマイカ        
五人囃子のマイカ        
五人囃子のイエーツ        
五人囃子のイエーツ        
餅つきを体験するフルーム   
餅つきを体験するフルーム   
別府も餅つきは初体験だった 
別府も餅つきは初体験だった 
仲間の挑戦を見守るチームメートたち    
仲間の挑戦を見守るチームメートたち    
マイヨ・ジョーヌの餅つきが見られるのは日本だけだ 
マイヨ・ジョーヌの餅つきが見られるのは日本だけだ 
キッテルはちょっと及び腰?     
キッテルはちょっと及び腰?     
4賞ジャージ獲得選手たちが杵を持って記念撮影 
4賞ジャージ獲得選手たちが杵を持って記念撮影 
大福を試食するイエーツ 
大福を試食するイエーツ 
J SPORTSの生中継番組でクイズに挑戦した選手たち
J SPORTSの生中継番組でクイズに挑戦した選手たち
J SPORTSの生中継番組で太鼓の達人を初体験したフルームとサガン
J SPORTSの生中継番組で太鼓の達人を初体験したフルームとサガン

★第1回大会(2013)
レポート→ http://www.cyclesports.jp/articles/detail/28975 
市民交流会→ http://www.cyclesports.jp/depot/detail/39674

★第2回大会(2014)
レポート→ http://www.cyclesports.jp/articles/detail/29152
市民交流会→ http://www.cyclesports.jp/articles/detail/29193

★第3回大会(2015)
レポート→ http://www.cyclesports.jp/articles/detail/54561
市民交流会→ http://www.cyclesports.jp/depot/detail/54471
市民交流会→ http://www.cyclesports.jp/depot/detail/54488

(http://saitama-criterium.jp