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4賞ジャージが勢揃い! さいたまクリテリウム 2016
2016.10.31
シャンゼリゼからつながるツール・ド・フランス第22ステージ
アモリースポールオルガニザシオン(ASO)とさいたま市が手を組んで主催し、ツール・ド・フランスの名前を冠したポストツール・クリテリウムとして2013年からスタートした『J:COM presents 2016 ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム』は、今年で4回目の開催となった。
初開催時は海外から8チームが来日してにぎやかな大会だったが、昨年は7チーム、今年は6チームになって参加選手の数は減っている。しかし、それを感じさせないほど豪華な顔ぶれがさいたま市に集結した。今年は何と、マイヨ・ジョーヌ(個人総合優勝)、マイヨ・ベール(ポイント賞)、マイヨ・アポワ(山岳賞)、マイヨ・ブラン(新人賞)の4賞ジャージ獲得選手がさいたまクリテリウムに勢揃いしたのだ。
ツール終了直後にベルギーやオランダで盛んに開催されているポストツール・クリテリウムでも、4賞ジャージ獲得選手が1つのクリテリウムに全員招待されることはまずないだろう。それはツールを主催するASOがみずから手がけるイベントならではの特例で、それを観られる日本のレースファンは本当にラッキーだ。
今年3度目のツール総合優勝を成し遂げたマイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)は、最初の年から4年連続で参加し、まさに『さいたまクリテリウムの顔』だ。ASOのはからいで、招待選手たちは家族やガールフレンドを同伴して来日できるのだが、昨冬誕生した息子はまだ小さくて長旅はさせられなかったとフルームは言っていた。
マイヨ・ベールを5年連続で獲得した世界チャンピオンのペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)は、3度目のさいたまクリテリウムだったが、今回兄のユライは同行せず、親友のマイケル・コーラール(ティンコフ/スロバキア)と一緒に参加した。マイヨ・アポワのラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)は、2014年につづいて2度目の来日だった。
さいたまクリテリウムではおなじみの顔が並ぶなか、初参加となったのは今年英国人として初めてマイヨ・ブランを獲得したアダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ)だった。何と彼はアジアに来るのも初めてだと言っていた。
4賞ジャージ獲得選手の他にも、今年総合2位になったフランス期待のロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)や、ツールで区間9勝を上げているトップスプリンターのマルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ)も来日。さらには日本で悪魔おじさんと呼ばれているドイツの名物サポーター、ディディさんまで招待され、“ツールの第22ステージ” にふさわしい特別なポストツール・クリテリウムになった。
昨年は併設イベントのさいたまるしぇの来場者約3万8000人、サイクルフェスタの来場者約1万7000人を含めた総来場者が約9万5000人だった人気イベントのさいたまクリテリウム。前日は冷たい雨が降る中で市内交流会が行われたが、イベント当日は天気も回復し、昨年並みの大観衆が1周約3.1kmのサーキットを埋め尽くした。
クリテリウムメインレースはマイヨ・ベールのサガンが優勝
国内外の51選手が参加したメインイベントのクリテリウムは、サーキットを20周して行われた。2014年の勝者で今年も優勝候補の1人だったキッテルは中盤の逃げに加わり、7周回と11周回のスプリントポイントで1位になってポイント賞を確実にした。
終盤にはツール・ド・フランス・ジャパンチームとしてさいたまクリテリウムに参加していた別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(ランプレ・メリダ)がアレクシス・ビュイエルモーズ(AG2R・ラモンディアル)と一緒にアタックして先行し、日本のレースファンを熱狂させた。
そこから別府が単独で飛び出して逃げつづけたが、残り2周回で吸収されてしまった。最後に集団から飛び出したのは、マイヨ・ジョーヌのフルーム、マイヨ・ベールのサガン、マイヨ・ブランのイエーツ、そして日本チャンピオンの初山翔(ブリヂストン・アンカー)の4人だった。
第1回大会を思い起こさせるクライマックスになり、観客の声援がさらに高まる中、最終周回のさいたまスーパーアリーナ内通過時に、マイヨ・ブランのイエーツがアタックして先行。そのまま先頭でフラム・ルージュを通過した。
しかし、イエーツは残り300メートルでマイヨ・ジョーヌのフルームに捕まってしまった。そこからスパートしたフルームを初山が交わして一度先頭に立ったが、スプリントになれば誰が最強かは歴然としていた。後方から上がってきたマイヨ・ベールのサガンは難なく先頭に立ち、さいたまクリテリウムで初優勝した。
2位にはサガンの後方に食らいついてゴールした日本チャンピオンの初山が入り、マイヨ・ジョーヌのフルームが3位になって最後の表彰台に上がった。ポイント賞はバルデ、新人賞はイエーツが獲得。敢闘賞は果敢な逃げを見せた別府が受賞した。最優秀チームはロシアのティンコフ、最優秀日本チームはブリヂストン・アンカーだった。
クリテリウム終了後のコメント集
「(優勝できたのは)ラッキーだった。沿道の声援のおかげだった。今大会は特に自分への声援が多かったように感じている。そのおかげかな! ドーハ世界選ではスロバキアの大勢のファンと家族が僕をフォローしてくれて力になった。でも、さいたまではそれよりたくさんのスロバキア国旗をみた。まるでホームタウンのようだった。スロバキアの人もいっぱいいたのかな? 日本のファンに感謝している。応援が多かったからここの方がより闘いやすかった。選手としての誇りに思うよ」
「今日はとても高速レースだった。ローカルの日本選手たちのレベルはどんどん上がっていると思う。こんなにたくさんの日本の若い選手たちが、プロのシステムにどんどん入って来るのは良いことだ。僕は最後の何周かでサガンを出し抜こうと全力を出した。スプリントになれば彼が勝つのがわかっていたからだ。けれど抜け出せず、結局彼はスプリントで勝つことができたのさ」
「日本人1位であることはあまり意味がない。世界に放映されるレースで2位になったのは意味がある。引退する時もその意味の大きさを感じると思う」
「ブリヂストンになって4年になる。全日本チャンピオンも取れた。ブリヂストンに移ったのも海外での活躍を目指したもの。全日本チャンピオンジャージで海外を走るので、それに見合う活躍をしていきたい」
■ポイントレースで優勝した新城「ポイントレースをここまで狙って走ったことはなかったので、頑張った。先週(ジャパンカップ)結果が出ていなかったし。フィニッシュ後は自分で結果がわからなかったけど、沿道からおめでとうと言われたのでわかった。またさいたまに帰って来られたのはうれしい。市長、みんなにありがとうと言いたい。シャンゼリゼの次に人が多い。こんなレースはほかにはない。いつも以上に力が出た。来年もっと強くなって帰ってきたい。
2016さいたまクリテリウム全結果
恒例の市内交流会は着物体験、ジャンボひな壇、モチつき体験!
さいたまクリテリウムの前日には、今年も恒例の『さいたま市内交流会』が行われ、来日した海外選手たちは貴重な日本文化を体験をした。まずは選手全員が日本の伝統着物を体験。紋付羽織袴を着てJRさいたま新都心駅前でお出迎えにやってきた岩槻商業高校と岩槻高校の生徒たちと記念撮影を行った。
その後、さいたまスーパーアリーナ内に場所を移動し、選手たちはまず江戸時代に日本三奴と呼ばれた岩槻黒奴パフォーマンスを見学。岩槻高校国際文化科生徒による英語説明を受けた後、人形の街として有名な岩槻のお祭りの出し物となっている『ジャンボひな壇』再現が行われた。
ジャンボひな壇は、ひな祭りの人形を生身の人間が演じて再現するもので、フルームがお内裏様を衣装をまとって最上段に上がった。そしてサガン、マイカ、イエーツ、バルデ、キッテルが五人囃子に扮した。
最後は餅つきを体験し、4賞ジャージをイメージした餅を試食。マイヨ・ジョーヌはきな粉餅、マイヨ・ベールはずんだ餅、マイヨ・アポワは赤ようかんいりの餅、マイヨ・ブランは大福餅だった。
大福餅の中に入っているあんこを初めて見た選手たちは、ちょっと戸惑っていたが、豆のペーストで甘いよと教えてあげると、おそるおそるトライ。アジア初体験中のイエーツは「悪くはないな」と言っていた。
夜にはJ SPORTSの『我らワールドのツール・ド・フランス観戦塾〜さいたまクリテリウム2016直前スペシャル〜』が、さいたまスーパーアリーナから生中継され、フルーム、サガン、マイカ、イエーツの4人が出演した。
選手たちは前夜祭王決定戦でクイズやアーケードゲームの『太鼓の達人』に挑戦。シーズン中には決して見られない姿を、日本のファンに見せてくれた。
★第1回大会(2013)
レポート→ http://www.cyclesports.jp/articles/detail/28975
市民交流会→ http://www.cyclesports.jp/depot/detail/39674
★第2回大会(2014)
レポート→ http://www.cyclesports.jp/articles/detail/29152
市民交流会→ http://www.cyclesports.jp/articles/detail/29193
★第3回大会(2015)
レポート→ http://www.cyclesports.jp/articles/detail/54561
市民交流会→ http://www.cyclesports.jp/depot/detail/54471
市民交流会→ http://www.cyclesports.jp/depot/detail/54488
(http://saitama-criterium.jp)