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白銀の極寒バトル! Raphaスーパークロス野辺山 2016
2016.11.28
雪原の間を駆け抜けるシクロクロス
11月26日、27日の2日間で開催された人気のシクロクロス・イベント『Raphaスーパークロス野辺山2016』は、開催2日前に会場となった長野県南佐久郡野辺山高原の滝沢牧場に30センチの雪が積った。7年間の歴史で、こんな白銀の大会になったのは初めてだ。
大会前夜は気温がマイナス10度以下になり、当日も低温で決してレース観戦に向いた日和ではなかったのだが、例年以上に大勢の観客が “シクロクロスの聖地” 野辺山に集結し、極寒の中で繰り広げられた激闘に熱い声援を送っていた。
シクロクロスのコース上は、大会主催者によって除雪されていたものの、周囲はまだ深い雪が残っていた。快晴に恵まれた初日は、日差しが強くなるにつれて凍った大地と雪が溶け出し、午後には誰もが期待するような野辺山らしい泥沼のコース・コンディションになっていた。
親子でも楽しめるシングルスピード
大会初日は午後にシングルスピードが行われ、今年も爆笑のコスプレで盛り上がった。その中で今年のコースに一番ピッタリだったのは、背中のポケットに詰めていたお菓子を、沿道で応援する子供たちに配りながら走るサンタクロース。
昨年は野辺山で知り合って結婚したカップルが走っていたが、今年はセサミストリートのバートとクッキーモンスターに扮した親子ペアが登場。日本で独特のスタイルを築いているシングルスピードは、仲間でワイワイ楽しむレースから、ファミリーでも楽しめるレースへと進化していた。
女子エリートは日本チャンピオンの坂口が圧勝
銀世界の極寒バトル!
男子エリートのUCIレースがスタートしたのは午後2時45分。心地よい日差しは西へと傾き、冷たい風が吹き始めると、気温をどんどん下がっていた。気象情報では気温4度Cだったが、体感温度はずっと低かった。
招待選手として来日し、午前中にはCXスクールを行っていた米国のティム・ジョンソンがスタート地点にいたので「どうして走らないの?」と、聞いてみたら「オレはもう引退しているから。観ている方がラクさ」と笑っていた。
そんなティムの優勝候補は、昨年の野辺山で初日に優勝した日本チャンピオンの竹之内悠(東洋フレーム)。チームメートで弱冠18歳のキャメロン・ベアード(キャノンデール・シクロクロスワールド)も強いから、注目していて欲しいと言っていた。
凍てつくような寒さの中、84選手の集団が銀世界のコースへと飛び出した。ほんのすこし前まではぬかるんでいた泥沼は、日陰ではすでに凍りつき、日向もレースが進むに連れてどんどん凍り始めていた。
60分、8周回で競われた男子エリートのUCIレースは、1周目から優勝候補が先行する高速レースになった。2周目で早くも沢田時(ブリヂストン・アンカー)とベアードがわずかに先行したが、すぐに小坂光(宇都宮ブリッツェン)が追いついて3人になり、横山航太(シマノレーシングチーム)もすぐ後方に続いていた。
先頭では18歳のベアードが最初に失速し、小坂と沢田の2人になって後半に突入。残り4周からは、小坂の独走態勢になった。最終周回に沢田が先頭の小坂のすぐ後方にまで迫ったが、ベテランの小坂が先頭を譲ることはなかった。
大勢の観客が待つホームストレートに単独で飛び込んだ小坂は誇らしげに胸を指し、ガッツポーズでゴールした。「野辺山は地元で、ホームとも言えるレースだったから、やっと勝ててメチャクチャうれしい」と、長野県佐久市出身の小坂は表彰台で初優勝の喜びを語っていた。
■ラファ・スーパークロス・野辺山(DAY1) 男子エリート結果
[11月26日/UCIレース・クラス2/長野県野辺山高原・滝沢牧場特設コース]
1 小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム/日本)58分30秒
2 沢田時(ブリヂストンアンカー シクロクロスチーム/日本)+11秒
3 横山航太(シマノレーシングチーム/日本)+19秒
4 キャメロン・ベアード(キャノンデール・シクロクロスワールドドットコム/米国)+58秒
5 ギャリー・ミルバーン(スピードワーゲンMAAP/オーストラリア)+1分41秒
6 丸山厚(ボーマ・ロンド/日本)+1分51秒
7 武井享介(チームフォルツァ/日本)+2分01秒
8 ケビン・ブラッドフォード(SET・コーチングドットコム/米国)+2分10秒
9 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム/日本)+3分03秒
10 竹之内悠(東洋フレーム/日本)+3分07秒