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2017アジア選手権・U23男子で岡本、小野寺が金!エリート男子は表彰台を逃す

第37回アジア自転車競技選手権大会/第24回アジアジュニア自転車競技選手権大会が2017年2月25日(土)~3月2日(木)、中東のバーレーンにて開催された。

今大会はU23の小野寺玲、岡本隼が金メダルを獲得。注目のエリート男子ロードは別府史之が4位、新城幸也が7位という結果で惜しくも表彰台を逃した。
 
text&photo:大前 仁

大会初日・チームTTは日本が銀メダル獲得



アジア選手権ロードレース初日は、エリート男子によるチームTTが行われた。

F1で使われるバーレーンインターナショナルサーキットとその周辺道路を使ったコースは一周12.8kmで、タイムトライアルとロードレースともに同じ場所を使ってレースが行われる。本来のサーキットにはそれほど高低差がないように思われるが、周辺のサーキット外の道路も含めたコース設定は意外にテクニカル。さらに風次第で難しいレースになることが予想された。

日本代表はエリートカテゴリーの新城幸也、増田成幸、西薗良太に加え、U23カテゴリーの岡本隼、雨澤毅明、小野寺玲の合わせて6人がスタートラインに並んだ。強敵はカザフスタン。全員がプロツアーのアスタナで固めた布陣は強力で、幸也をして「ガチですね」とのコメントが漏れた。

7カ国が出走してレースが開始されると、2分間隔のなかで詰められてしまうチーム、逆に間隔が開くチームが出てくる。なかでも香港は昨年のアジア選TTとロードの覇者、チェン・キンローを擁し、前を走るチームを追い込んでいく。

日本は2分後ろのカザフスタンに若干詰められつつも快走を続け、アベレージ時速47.6kmで、距離38.4kmのコースをフィニッシュ。みごと銀メダルを獲得した。

今大会での目標メダル数を15個と掲げた浅田顕コーチは「早くも6個、ちょっと安心しました」と笑顔を見せた。

2017年アジア自転車競技選手権大会ロード・チームタイムトライアル(エリート男子)
1位 カザフスタン 47分20秒77
2位 日本(新城・増田・西薗・雨澤・小野寺・岡本)48分20秒79
3位 ホンコンチャイナ 48分48秒49

2日目・エリート女子個人TTで梶原悠未3位



アジア選手権ロード2日目は個人タイムトライアルが行われた。

朝8時にスタートしたのはまずジュニア男子、日本は蠣崎優仁が直前まで入念にアップしてスタート。しかし異次元の走りを見せるカザフの前にコース2周、25.6kmで2分以上の大差を付けられ、6位に終わった。

蠣崎は「オーバーペースにならないように走ったが、2周目の前半でちょっとリズムを落としたかもしれない」と話す。

2クラス目はエリート1年目となる梶原悠未が最終走者でスタート。エリートに上がってギヤ比制限がなくなり、「みんな重いギヤをしっかり踏んでいるから」と倍数を掛けた走りでペースを刻み、中国、韓国に次いで3位に入った。

銅メダルを獲得した梶原は「TTを走るのは直前に決まったのであまり準備期間がなかったが、選んでいただいたからにはしっかりポイントを取るつもりで走った」とコメントした。

3クラス目はジュニア女子、下山美寿々が一周12.8kmのコースに飛び出していった。下山は前半のうちに1分前を走るフィリピンの選手をオーバーテイクする快走を見せたが、中国に37秒差を付けられ、カザフ、インドネシアに続く4位となって惜しくも表彰台を逃した。

下山は「TTバイクでのコーナリングのヘタさが敗因です。でも中国との差は脚の差。1回泣いて、ロードに切り替えます」と目を潤ませた。

 
ジュニア男子・蠣崎優仁6位
ジュニア男子・蠣崎優仁6位
ジュニア女子・下山美寿4位
ジュニア女子・下山美寿4位


ジュニア男子 個人タイムトライアル(25.6km)
1位 CHZHAN Igor KAZ 34:29.63
2位 YU Ze CHN 35:38.86
3位 SHODIEV Iskandarbek UZB 36:02.08
6位 蠣崎 優仁(静岡・伊豆総合高校)37:04.68

エリート女子 個人タイムトライアル(25.6km)
1位 LIANG Hongyu CHN 36:48.20
2位 LEE Jumi KOR 36:56.43
3位 梶原 悠未(埼玉・筑波大学)37:42.17

ジュニア女子 個人タイムトライアル(12.8km)
1位 KANG Qiao CHN 19:29.17
2位 KURNOSSOVA Marina KAZ 19:49.63
3位 SETIAWAN Liontin Evangelina INA 19:50.28
4位 下山美寿々(大阪・大阪教育大学附属天王寺高校)20:06.77
 

3日目・U23男子TTで小野寺玲が金メダル!



アジア選手権ロード3日目、U23男子タイムトライアルにおいて小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が34分21秒16(時速44.7km)のタイムで優勝し、金メダルを獲得した。小野寺は表彰台で「オノデライダー」のポーズを決めてみせた。

小野寺玲のコメント:
チームTTで2位になり、カザフの国歌を聞いたのは悔しかったけど、今日は日の丸の旗が真ん中に揚がり、君が代が流れて感無量です。思っていた以上に気持ちよくリズムを刻めたので、リズムが崩れたら浅田さん(浅田顕コーチ)に「歌ってくれ」と頼んでいたのですが、その必要はなかったです。ロードも同じ色のメダルを持ち帰りたいです。


続いて行われたエリート男子タイムトライアルは昨年の覇者チェン・キンローが3位に沈み、カザフスタンのドミトリー・グルズジェフ(アスタナ)が3周38.4kmを49分21秒13(平均時速46.685キロ)で走り優勝。西薗良太(ブリヂストン・アンカー)は52分49秒79で8位に終わった。

西薗良太のコメント:
身体がふわふわしてうまく走れなかった。粘ろうとしたが無理だった。目標とはほど遠い結果だが、こういう舞台に立ったのも初めてなので、反省材料としたいです。

 
個人TT エリート男子・西薗良太8位
個人TT エリート男子・西薗良太8位


U23男子 個人タイムトライアル(25.6km)
1位 小野寺 玲(栃木・宇都宮ブリッツェン)34:21.16
2位 ZHANG Zheng CHN 34:26.69
3位 NATAROV Yuriy KAZ 34:30.29

エリート男子 個人タイムトライアル(38.4km)
1位 GRUZDEV Dmitriy KAZ 49:21.13
2位 CHOE Hyeongmin KOR 50:31.74
3位 CHEUNG King Lok HKG 50:38.81
8位 西薗 良太(鹿児島・ブリヂストン・アンカー)52:49.79

 

4日目・エリート女子ロードレースで吉川美穂3位



アジア選手権ロード4日目エリート女子は、吉川美穂がスプリントで3位に入り、銅メダルを獲得した。​

エリート女子ロードレースは、朝8時にスタートしたジュニア男子と同じ、バーレーン・インターナショナル・サーキットの周辺道路12.8kmを7周回するレースだ。日本チームは最大4人出場枠に対して梶原悠未と吉川美穂の2人。選抜されていた上野みなみが負傷欠場したため、中国や香港、韓国などの国が4人で戦うなかで人数面での不利をどう補うかがポイントとなった。

しかし、「ほとんどすべてのアタックに対応した」(梶原)と超人的な働きでレースをさばき、「これはマズイ」(吉川)という中国ら4人の逃げに吉川がブリッジ。5人となって勝ち逃げを形成。そのまま逃げ切って、スプリントで吉川が3位に入着。後続集団をふりちぎって前に上がった梶原が5位という見事な結果となった。

エリート女子ロードレース(89.6km)
1位 YANG Qianyu Hong-Kong HKG 2:32:50
2位 NA Ahreum Korea KOR 2:32:50
3位 吉川 美穂(和歌山・Live GARDEN BICI STELLE)2:32:50
5位 梶原 悠未(埼玉・筑波大学)2:33:28

 
ジュニア男子ロードレースはカザフスタンが圧勝
ジュニア男子ロードレースはカザフスタンが圧勝


4日目はジュニア男子ロードも行われた。出走は54人、7周回89.6kmのレースは1周目からカザフスタン2人とイラン1人の3人が逃げを形成し、その差は10秒から40秒、そして1分へと広がってしまった。

メイン集団にいる日本人選手4人、蠣崎優仁、篠田幸希、佐藤健、塩島嵩一朗は追走のチャンスをうかがうが成功せず、最終周回にはさらに集団に残ったカザフ2人にも行かれ、カザフが1位、2位、4位、5位。そして6位争いのスプリントで篠田が9位に入るだけの結果となった。

柿木孝之コーチは「1周目からカザフが行くのは想定の範囲内だったのですが、これほど常に後手、後手になってしまうとは.....」と頭を抱えた。
 
ジュニア男子ロードレース(89.6km)
1位 MARUKHIN Daniil KAZ 2:10:31
2位 CHZHAN Igor KAZ 2:10:31
3位 JAMSHIDIAN GHALEHSEFIDI Amirhoss IRI 2:10:45
9位 篠田 幸希(群馬・前橋工業高校)2:11:20
30位 塩島嵩一朗(鹿児島・南大隅高校)2:11:27
31位 蠣崎 優仁(静岡・伊豆総合高校)2:11:27
34位 佐藤 健(熊本・九州学院高校)2:13:40
 

5日目・U23男子ロードレースで岡本隼が金!



アジア選手権ロード5日目、U23男子ロードレースは9周回、115.2kmで争われた。アタック合戦は最後まで続き、ごく少数の逃げができては捕まり、を繰り返す。日本チームはカザフら重要なチームのマークを外さず、的確な動きでレースを展開した。

途中、雨澤毅明がパイロンにひっかかり落車する不運があったが、残る3人は協調して最終周回へと突入。30人ほどの集団がフィニッシュラインになだれ込む中、「ラスト200からもがけば着はとれると思っていた」と話す岡本隼がカザフスタンのイェフゲニー・ギディッチを僅差で下し、日本に2つ目の金メダルをもたらした。

岡本隼のコメント:
こんな展開になるとは思っていなかったが、勝ててうれしい。スプリントは勝てたかどうか、自分では判らなかった。

U23男子ロードレース(115.2km)
1位 岡本 隼(東京・日本大学)2:44:43
2位 GIDICH Yevgeniy KAZ  2:44:43
3位 GANJKHANLOU Mohammad IRI 2:44:43
7位 小野寺 玲(栃木・宇都宮ブリッツェン)2:44:43
23位 石上 優大(神奈川・EQADS)2:45:11
途中棄権 雨澤 毅明(栃木・宇都宮ブリッツェン)

 
ジュニア女子・下山美寿々2位
ジュニア女子・下山美寿々2位


5日目はU23男子ロードレースに続き、ジュニア女子ロードレースが行われた。日本からは下山美寿々、細谷夢菜、石上夢乃、成海綾香の4人が出走。

5周で争われたレースは3周目、細谷のアタックを契機に形成された8人の逃げグループに下山だけが乗り、これが勝ち逃げに。落ち着いて走った下山はスプリントで2位に入り、銀メダルを獲得した。
 
下山美寿々のコメント:
スプリント力がそんなにないので、逃げが決まってからは勝つためにはどうしたらいいかを考えながら走りました。逃げの8人には中国が2人いたので、中国を切りたかったのですがなかなか切れなくて...。昨年のアジア選は金メダルだったので、銀メダルには悔しさしかないです。この悔しさは世界選で晴らします。

ジュニア女子ロードレース(64km)
1位 CHANG Yue China CHN 1:53:18
2位 下山美寿々(大阪・大阪教育大学附属天王寺高校)1:53:18
3位 BATRIYA Chaniporn Thailand THA 1:53:18
10位 細谷 夢菜(埼玉・浦和工業高校)1:54:02
17位 石上 夢乃(神奈川・横浜創学館高校)1:54:02
22位 成海 綾香(鹿児島・南大隅高校)1:56:02
 

最終日・エリート男子ロードレースは韓国のサンホーンが優勝



アジア選手権ロード最終日、エリート男子は12.8kmのコースを12周する153.6kmで争われた。天気は本大会初の雨。1周目の途中までニュートラルで進み、レースがスタートした。

2周目、フミと増田成幸を含む逃げが形成されたが、不運にもここで増田がパンク。本日2回のパンクと3回の車輪交換を余儀なくされた増田は「今日は(独走ばかりで)個人TTみたいだった」と話す。

8人の逃げ集団に乗ったフミは「国別ポイント的に1人は不利」と後追いを待ち、脚を溜めた。後続のメイングループは1分以上の差が開き、そこから16人の追走集団ができた。ここに日本はユキヤと増田が入る。

9周目、ユキヤはバーレーン・メリダのチームメイトであるワン・メイイン、普段はアスタナで走るダニイル・フォミニフら4人で抜け出し、追走を形成。「追いつきたいが、脚は使いたくない」(ユキヤ)この4人が2分差で逃げを追う。

最終周回の半ばでようやく追いついたユキヤらは集団スプリントへ。最終コーナーを絶妙な位置で回ったユキヤ、そしてフミはラスト300から掛けたものの、昨年のアジア選ロードTTのU23覇者、パク・サンホーンが伸び、アジア選手権2017の覇者となった。

 
エリート男子は別府史之4位、新城幸也7位
エリート男子は別府史之4位、新城幸也7位


別府史之のコメント:
タイミングを焦りすぎたのと、自分の力を過信しました。最後は脚を溜められて、自分は脚がある感じだったので、スプリントで勝負という形にしたのですが、(スプリントの)距離が長かったです。日本チームで狙ってきて、この結果は悔しいし、チームメイトのためにも金メダルが欲しかった。

エリート男子ロードレース(153.6km)
1位 PARK Sanghong(KOR) 3:49:16
2位 MIRZA ALHAMMADI Yousif(UAE) 3:49:16
3位 BIZHIGITOV Zhandos(KAZ) 3:49:16
4位 別府 史之(JPCA・トレック・セガフレード)3:49:16
7位 新城 幸也(JPCA・バーレーン・メリダ)3:49:16
26位 増田 成幸(JPCA・宇都宮ブリッツェン)4:00:50
28位 窪木 一茂(和歌山・NIPPO・ヴィーニファンティーニ)4:00:50

 

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