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【入門ロードバイク2017】ピナレロ・ガン 105

「ガン・105」はトップモデルが持つ優位性を有効活用し、走行性能をまとめつつ素材のグレードを下げ、手の届きやすい価格でピナレロの性能を提供する。近年のピナレロのモデル作りの旨味をうまく生かした一台。
 
text:安井行生 photo:小見哲彦

ミドルグレードに降りてきたドグマの技術

90年代後半にアルミフレーム&アルミカーボンバックフレームでロードバイク界の先頭集団に躍り出てから、ピナレロは現在まで一度も失速していない。歴代プリンスが旗艦の座をドグマに譲っても、ドグマのフレームが金属からカーボンになっても、F8に進化して形状がエアロになっても、市場とレース界の双方でプレゼンスを維持し続けている。  

つい先日までそんなピナレロの旗艦だったドグマF8の弟分となるのが、ガンシリーズである。トップモデルのガンRS(フレーム 素材:T800)はフレーム価格 約45万円の高価格車。セカンドモデルのガンS(同:T700)は シマノ・アルテグラ完成車で約43万円のアッパーミドルグレード。 ここに取り上げるガン(同:T600)はガンシリーズの三男坊。 シマノ・105仕様で約30万円のミドルクラス完成車である。  

そのフレーム形状はドグマF8 と瓜二つ。ハンドリングと安定感を両立させたオンダフォーク、優れた空力性能と剛性を持つフラットバック形状、かかる応力に応じてフレームの左右で形状を変える左右非対称設計など、ドグマF8の持つ形状的特徴をそっくりそのまま受け継いでいる。  
 

PINARELLO GAN 105
ピナレロ・ガン 105
シマノ・105完成車価格/29万8000円(税抜) 

フレーム●ハイストレングスカーボン T600 UD 
フォーク●オンダTMF8 T600カーボン 
メインコンポ●シマノ・105
ホイール●シマノ・RS010 
タイヤ●ヴィットリア・ザフィーロ 700×25C 
ハンドルバー●モスト・アルミコンパクト 
ステム●モスト・アルミ 
シートポスト●モスト・専用フルカーボンシートポスト 
サドル●フィジーク・アンタレスR7 
サイズ●42EZ、44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5 
カラー●カーボンスカイ(マット)、カーボンレッド(マット)、 ホワイトカーボン(シャイニー) 
試乗車実測重量●8.48kg(46.5SLサイズ、ペダルなし)

 
エアロダイナミクスを追求したフラットバック形状のダウンチューブ。軽さや剛性を犠牲にすることなく、空力性能を高めることができる
エアロダイナミクスを追求したフラットバック形状のダウンチューブ。軽さや剛性を犠牲にすることなく、空力性能を高めることができる
シートクランプはトップチューブに埋め込まれる。これも空力を意識したデザインだという。固定力やメンテナンス性に文句なし
シートクランプはトップチューブに埋め込まれる。これも空力を意識したデザインだという。固定力やメンテナンス性に文句なし
ドグマF8の造形をそっくりそのまま踏襲するヘッドまわり。上部のくびれは電動コンポを使う際にDi2ジャンクションと干渉しないための形状
ドグマF8の造形をそっくりそのまま踏襲するヘッドまわり。上部のくびれは電動コンポを使う際にDi2ジャンクションと干渉しないための形状
最大の特徴は左右非対称設計。かかる応力を考慮し、フォーク、トップチューブ、シートステー、チェーンステーが左右で形状が異なる
最大の特徴は左右非対称設計。かかる応力を考慮し、フォーク、トップチューブ、シートステー、チェーンステーが左右で形状が異なる
ピナレロのアイコン、オンダフォークはドグマF8 になってカタチをガラリと変えたが、ガンにもドグマF8譲りのフォークが与えられる
ピナレロのアイコン、オンダフォークはドグマF8 になってカタチをガラリと変えたが、ガンにもドグマF8譲りのフォークが与えられる

安井行生の試乗インプレッション

実際にガンで走り出すと「ドグマと同じカタチがこの価格で」などという分かりやすいスペック的魅力とはまったく異なる種の魅力があることに気づく。

イタリアンロード特有の安定感。男らしい剛性感。鋭いというより濃い加速。ガンは、いわゆるロードレーサーらしい硬派な走りを持っているのだ。 フワッと軽くて快適という流行の最先端を行くような性能ではなく、もちろんキレキレのF8とも別物だが、このどんなにペダルを踏みつけても音を上げない頼もしさは、スペックや数値には表れにくい’’ピナレロ伝統の走り’’だ。

重たいギヤをゴンゴンと踏んで高速域に向けて突き進んでいく気持ち良さは、何物にも代えがたいものがある。この走りはいつまでたっても色あせないだろう。 コスト上昇を覚悟でフレームサイズを11種類も用意している事実を含め、’’ロードバイクの本質’’を突いた良作である。
 

問い合わせ先

ピナレロジャパン
072・238・0039
http://www.riogrande.co.jp/pinarello_opera/