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オルカ AERO(エアロ)発表!オルベア、ライトウエイト2018年新製品レポート

オルベアの代名詞「オルカ」に新たなモデルが登場する。「オルカAERO(エアロ)」。その名の通り、エアロダイナミクス性能を突き詰めたロードバイクだ。7月1日に始まったばかりの今年のツール・ド・フランスにて、コンチネンタルプロフェッショナルチームのコフィディス・ソッリュシオンクレディが使用するこのエアロロードのディティールに迫る。また、カーボンホイールのスペシャリスト、ライトウェイトも同時に展示された新製品発表会の模様をレポートする。
 
text:江里口恭平、松下功樹 photo:山口顕太

オルカ史上最高の空力性能と剛性

オルカAEROは18ヶ月の開発期間を経て送り出されるエアロロードバイクだ。このモデルは今年のツール・ド・フランスでコフィディスが第2ステージから実戦投入する。今回会場で展示されたバイクも、コフィディスのトレードマークである赤をまとい、各部にロゴのマーキングが施されていた。

これまで発表されてきた歴代のオルカシリーズにおいても、その空力性能は高く評価されていた。しかしオルベアが「エアロロード」として開発したのはこのモデルが初めてだという。開発の際には事前にライダーやチームと幾度もミーティングを重ね、「オルベアはどんなエアロロードを開発するか」という理想像を時間をかけて固めていった。

空力性能は何よりもまず第一に優先されている。オルベアが連携している大学の研究機関と共同で、風洞実験室でのテストを25時間に及び実施。結果、より空力的に最適な形状を追求した。また、2017年のUCI規定から見直された、フレーム形状において、前三角を除く各チューブの形状が側面から見て幅3に対し縦が1という比率を守らなければならないという「3対1ルール」が改訂された事で、より空力に有効なフレームデザインが可能になった。

フォーク、リヤトライアングルなどの各部形状をそれに当てはめることで、最新のエアロロードバイクと呼ぶのにふさわしい性能を手に入れた。オールラウンドロードのオルカOMRと同じ距離を走った時にを想定すると、27wのパワーセーブが実現した。

ハンドルはヴィジョンのステム一体型ハンドルがデフォルトで採用される。コックピットをインテグレーテッド化することで、標準のステムタイプに比べ6wのパワーがセーブできるとのこと。通常のステムやハンドルを使用する場合にには、専用のヘッドカバーが用意され、どちらを選択しても空力性能を大きくスポイルすることはない。

そしてやはり剛性についても目をつむるわけにはいかない。ライダー達からの「これまでのOMRと同等の剛性を確保して欲しい」というリクエストを元に開発にあたった。エンジニア達がそれに応えた結果、オルカOMRを上回る、オルベア史上もっとも高い剛性を実現した。快適性についても最低限ではあるが考慮されており、フレームの延長であるシートマストタイプではなくシートポストを採用し路面からの突き上げ感を減少。サドルのセットバック幅も10mmから43mmまでと広めにとることと併せて、ライダーに合わせたポジション調整がしやすくなっている。
 
エアロダイナミクス性能を突き詰めたヘッド周りのデザイン
エアロダイナミクス性能を突き詰めたヘッド周りのデザイン
ヴィジョンのステム一体型ハンドルとトータルで設計されているため、トップキャップ形状も工夫されている
ヴィジョンのステム一体型ハンドルとトータルで設計されているため、トップキャップ形状も工夫されている
シマノDi2のジャンクションAはダウンチューブに内蔵され、操作しやすくなっている
シマノDi2のジャンクションAはダウンチューブに内蔵され、操作しやすくなっている
フォーク、リアトライアングルのそれぞれのチューブ形状が新たな「3対1ルール」に基づき設計されている
フォーク、リアトライアングルのそれぞれのチューブ形状が新たな「3対1ルール」に基づき設計されている
シートポストはトップチューブ上側からボルトで固定する方式
シートポストはトップチューブ上側からボルトで固定する方式

オルベア・オルカ エアロ


オルカ エアロ フレームセット(オルベア エアロ カーボンOMP)
価格:48万円(税抜)、マイオー仕様は50万円(税抜)

オルカ エアロ M11i チーム  スラム eTAP 完成車
価格:120万円(税抜)  マイオー仕様は122万円(税抜)

オルカ エアロ M10i チーム シマノ・デュラエース Di2 完成車
価格:110万円(税抜)  マイオー仕様は112万円(税抜)

オルカ エアロ M10 チーム シマノ・デュラエース完成車
価格:70万円(税抜)  マイオー仕様は72万円(税抜)

オルカ エアロ M20i チーム シマノ・アルテグラ Di2 完成車
価格:60万円(税抜)  マイオー仕様は62万円(税抜)

オルカ エアロ M20 チーム シマノ・アルテグラ完成車
価格:50万円(税抜)  マイオー仕様は52万円(税抜)

オルカ エアロ M30 チーム シマノ・105 完成車
価格:45万円(税抜) マイオー仕様は47万円(税抜)

カラー:【マイオー仕様】メタル-ブラック-サテングロス オレンジ-サテングロス
サイズ:47、49、51、53、55、57、60

 

オルカOMRは継続し、価格を据え置き

オルベアが誇る最高のフレーム製作技術と素材を使い、ワールドツアーレベルのレースで使用されているバイク、それが「オルカOMR」だ。
発表された年にはドイツをはじめとしたヨーロッパ数カ国でバイクオブザイヤーに選ばれ、既にその品質は明らかとなっている。2018年モデルでは全ての要素をそのままに、購入しやすいよう価格を抑えた。重量はフレーム単体で800gと、オルベア最軽量をマークしている。ジオメトリーに関してはリラックスした状態で長時間乗車しても疲れにくいポジションをとることが可能だ。

販売モデルはディスクブレーキとリムブレーキモデル、フレームセットから完成車までと幅広く展開しているので、自分に合ったタイプのものが選べる。フレームセットはディスク、キャリパーブレーキ仕様ともに価格48万円(マイオー対応の場合は50万円・税抜)となる。


【オルカ OMR ディスクブレーキ】
オルカOMR M10チーム 
シマノ・デュラエース完成車 84万円(マイオー仕様は86万円・ともに税抜)

オルカOMR M20iリミテッド
シマノ・アルテグラDi2完成車 100万円(マイオー仕様は102万円・ともに税抜)

オルカOMR M20リミテッド 
シマノ・アルテグラ完成車 78万円(マイオー仕様は80万円・ともに税抜)

オルカOMR M20iチーム 
シマノ・アルテグラDi2完成車 75万円(マイオー仕様は77万円・ともに税抜)

オルカOMR M20チーム 
シマノ・アルテグラ完成車 60万円(マイオー仕様は62万円・ともに税抜)


【オルカ OMR キャリパーブレーキ】

オルカOMR M11iリミテッド 
スラム eTAP完成車  128万円(マイオー仕様は130万円・ともに税抜) 

オルカOMR M11リミテッド 
スラム RED完成車  120万円(マイオー仕様は122万円・ともに税抜) 

オルカOMR M10iチーム 
シマノ・デュラエースDi2完成車  120万円(マイオー仕様は122万円・ともに税抜) 

オルカOMR M10チーム 
シマノ・デュラエース完成車  75万円(マイオー仕様は77万円・ともに税抜) 

オルカOMR M20iチーム 
シマノ・アルテグラDi2完成車  68万円(マイオー仕様は70万円・ともに税抜) 

オルカOMR M20チーム 
シマノ・アルテグラ完成車  59万円(マイオー仕様は61万円・ともに税抜)
 
 

多用途な乗り方を想定。グラベルロードに対応する「テラ」

こちらは特徴的なグリーン×ブラックカラーの「テラ」スラム・フォース完成車価格50万円(マイオー仕様は52万円・税抜)だ
こちらは特徴的なグリーン×ブラックカラーの「テラ」スラム・フォース完成車価格50万円(マイオー仕様は52万円・税抜)だ
オルベアの自転車における新しいジャンルとして生み出されたのがオールロードモデルのテラ(TERRA)。このモデルは多用途性、快適性を重視し、剛性や軽量性も確保するのが設計思想だ。

多用途性の実現の為にディスクブレーキを採用。フォークブレードを長くすることで衝撃吸収性を高め、なおかつタイヤクリアランスを40mmに設計。オンロードはもちろんグラベルロードやシクロクロス、通勤用まで幅広く使える仕様になっている。またフェンダー取り付け用のダボもあり用途の幅を広めている。

チェーンステーを長くしたことによりホイールベースが広くとられている。ロードよりもリラックスしたポジションで乗車が可能で、これもまた快適性向上に貢献している。砂上やグラベルでの安定性向上のため、スタックハイトを上げてリーチを短めに設計した。

テラはロードモデルのサイズとは違ったサイズ設計になっており、XSからXLまでの5つのサイズ展開に。ジオメトリー的に選ぶ際には、ロードバイクやグラベルロードよりもMTBを参考にするといいだろう。
 

【TERRA テラ ディスクブレーキ】
テラ M10-D  
シマノ・デュラエース完成車 70万円(マイオー仕様は72万円・ともに税抜) 

テラ M21-D 
スラム フォース完成車  50万円(マイオー仕様は52万円・ともに税抜) 

テラ M20i-D 
シマノ・アルテグラ完成車 60万円(マイオー仕様は62万円・ともに税抜) 

テラ M20-D 
シマノ・アルテグラ完成車 44万円(マイオー仕様は46万円・ともに税抜) 

テラ M31-D 
スラム Rival完成車 40万円(マイオー仕様は42万円・ともに税抜) 

テラ M30-D 
シマノ・105完成車 40万円(マイオー仕様は42万円・ともに税抜) 

オルベアで個性的な一台を。カスタムシステム「マイオー」がスタート

マイオーによってオリジナルのカラーをまとったオルカOMR
マイオーによってオリジナルのカラーをまとったオルカOMR
オルカOMRをはじめとした対応モデルにおいて、新たなサービスがスタートする。4つの部位とロゴを自分の好きなカラーで塗装し、トップチューブに好きな文字や名前を入れることで他にはない一台を作ることができるのが、オルベアが立ち上げたプロジェクト、“マイオー”(MyO)だ。

製造から塗装にいたるまで、オルベアの熟練スタッフがマイオーの各プロセスで精密にチェックする。塗装から組み付けまでをバスクの中心、スペインのマラビア本社で行うからこそ出来るシステムだ。
 

ホイールとの完全なマッチング。ウルゲシュタルトがディスクブレーキに対応

「ウィルゲシュタルト ディスク」(価格未定)。こちらのホワイトを含む、ブラック・レッドの三色展開
「ウィルゲシュタルト ディスク」(価格未定)。こちらのホワイトを含む、ブラック・レッドの三色展開
ライトウェイトが自らのホイールと完全にマッチさせるために開発したロードバイク、「ウルゲシュタルト」。そのバイクが今回マイレンシュタインディスクに対応するため、ディスクブレーキ対応の「ウルゲシュタルト ディスク」を発表した。

加速性やハンドリング、剛性などを、ホイールからダイレクトに感じ取れることを目的としたフレームであり、フレーム単体重量は850g、左右非対称の形状となるフォークは375gの軽量さを誇る。自転車本体を含む体重制限は120kgとのことだ。
ディスクブレーキ対応ホイールの特性にあわせ、ゆるやかなスローピング形状などをとる等、先代のウルゲシュタルトに比べてエンデュランス寄りの快適性を確保したフレームへとキャラクターを振っている。

上記のウルゲシュタルトに対応するのが「マイレンシュタインディスク」。これまでクリンチャーのみだったが、チューブラーに対応するモデルが発表された。前後で1220gと現行のチューブラーディスクブレーキホイールの中では最軽量にあたるこのホイール。推奨のタイヤサイズは23~25cとなる。
ハブは特徴的な五角形。リム、スポーク、ハブボディはそれぞれカーボンで整形されており、そのハブ形状からよりブレーキングパワーをダイレクトに生かす構造となっている。
また、もしブレーキング時の高温でハブ周辺の樹脂(接着剤)がはがれてしまっても、引っかかりが作られることで万が一の自体は避ける事ができる。

プレゼンの中ではマイレンシュタインディスクの信頼性についても言及された。ドイツのディスクブレーキメーカー・マグラがさまざまなディスクホイールを集めてブレーキ性能や耐久性を見る試験を行った。
市販されているカーボンディスクホイールで、安価な物は約300~500回程度、高い物でも約800回、限界に近い力でのブレーキングを行うと何かしら異常が見つかった。しかしこのマイレンシュタインディスクでは2000回を過ぎても異常が見つからない。マグラの担当者が「壊れるまで試す」と試験を繰り返したが、結果1万8000回を超えた時点で断念。ライトウエイトの品質を高く評価した。という話だ。


「マイレンシュタイン チューブラー ディスク」
フロント+リア/57万円(税抜)
フロント/28万円(税抜)
リア/31万円(税抜)

重量/1220g
リム高/47.5mm
リム幅/20mm
スポーク数/F20・R20
タイヤ幅/23-25mm
対応最大重量/120kg
ローターサイズ/F140・R10mm
センターロック


 
マイレンシュタインディスクの特徴である、強いブレーキングパワーにも応える独自の五角形ハブ
マイレンシュタインディスクの特徴である、強いブレーキングパワーにも応える独自の五角形ハブ
ライトウエイトが宇宙航空産業で培った技術から生み出した製法として、完全なオートメーション化で作ったリムを使う「ヴィグワイザー クリンチャーディスク」も展示された
ライトウエイトが宇宙航空産業で培った技術から生み出した製法として、完全なオートメーション化で作ったリムを使う「ヴィグワイザー クリンチャーディスク」も展示された
市販モデルにて、カーボンリムの完全なオートメーション化は世界初だ
市販モデルにて、カーボンリムの完全なオートメーション化は世界初だ
オルベアエアロの裏話が満載の開発車インタビューは『サイクルスポーツ9月号』(7月20日発売)で紹介予定。お楽しみに。
オルベアエアロの裏話が満載の開発車インタビューは『サイクルスポーツ9月号』(7月20日発売)で紹介予定。お楽しみに。

問い合わせ先

ポディウム
http://www.podium.co.jp