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2017年ツール・ド・ラヴニール、U23日本ナショナルチーム監督・浅田顕インタビュー
2017.09.15
「日本アンダー23史上最強。」
2017年ツール・ド・ラヴニールでU23日本ナショナルチームを率いた浅田顕監督は、そう宣言してはばからなかった。総合20位以内を目標に掲げ、1年間の準備を積み、「U23カテゴリーのツール・ド・フランス」に乗り込んだ。
第7ステージ終了時点までは、間違いなく、目標は手の届くところにあった。
しかしアンダーカテゴリーにおける世界最高峰レベルのレースは、9日間続くのだ。しかも最後の3日間は、全て山頂フィニッシュだった。選手たちの体は悲鳴をあげ、最終2日間は、本来の実力を発揮することすら叶わなかった。
足りなかったものはなんなのか。今後すべきことはなにか。2度目のラヴニール参戦を終えた浅田顕監督に、話を聞いた。
2017年ツール・ド・ラヴニールでU23日本ナショナルチームを率いた浅田顕監督は、そう宣言してはばからなかった。総合20位以内を目標に掲げ、1年間の準備を積み、「U23カテゴリーのツール・ド・フランス」に乗り込んだ。
第7ステージ終了時点までは、間違いなく、目標は手の届くところにあった。
しかしアンダーカテゴリーにおける世界最高峰レベルのレースは、9日間続くのだ。しかも最後の3日間は、全て山頂フィニッシュだった。選手たちの体は悲鳴をあげ、最終2日間は、本来の実力を発揮することすら叶わなかった。
足りなかったものはなんなのか。今後すべきことはなにか。2度目のラヴニール参戦を終えた浅田顕監督に、話を聞いた。
「最後まで走り抜く力が足りなかった」
2度目のツール・ド・ラヴニールを終えて、まずは率直な感想をお願いいたします。
浅田監督:去年も非常に厳しいレースでしたが、今年も後半、難しい山岳ステージが集中する闘いでした。山岳初日までは、わりと計画通りに行ったんです。ただ最後の2日間は、選手に疲れが見え始め、順位を落としていってしまいました。そこが残念ですね。今回は目標を雨澤の総合20位以内と定め、準備もしっかり進めてきました。しかし、選手の力そのものを、最後まで残すことができませんでした。ここが非常に難しいポイントだったと思っています。
序盤の平地ステージについては、どんな感触を抱かれましたか?
浅田監督:スピード系というよりは、むしろ、パワー系の選手向けのステージが多かったですね。雨澤以外の選手たちが、個々の持ち味を活かして、ステージ上位を狙いました。手応えがなかったわけではないですが、やはり、10位以内に入るのはちょっと難しいという印象です。
日本チームにはスプリンターも逃げの選手もいます。しかしパワーが1ランク違う。スプリントの力も違うし、逃げの巡航速度も違う。ただし全く歯が立たないというわけでもなく、展開次第で順位に絡める力はあるんじゃないかと感じました。
2年連続のラヴニール挑戦でしたが、去年と比べてなにか新たな準備を取り入れましたか?
浅田監督:去年は、これ以上に落ちることはないんじゃないか、っていうくらいのつらい思いを、選手も、私自身も、味わいました。だから今年に向けては、目標をしっかり定めて、選手選考を早い段階から行いました。まず去年の秋の時点で、ラヴニールを頂点においた年間スケジュールを立てました。またラヴニールに1番のピークを持ってくる必要があることを、強化指定選手たちに告げました。アンダー23はここを目指すのだ、と認識の統一をはかりました。
今大会の出場権を得るためには、アジア選手権でのポイント獲得が絶対に必要でした。そのためにシーズン初めの1月2月に、アジア選用の合宿を沖縄で行いました。もちろん4月のネイションズカップでは、いつもどおりに遠征を行いました。最後の山岳3連戦に向けては、高地順応とコース下見を兼ねて、アルプスで合宿も組んでいます。
去年闘った3人が再び参戦しましたが、選手たちのラヴニールに対する認識、意識は上がったでしょうか?
浅田監督:去年はどんなものなのか、選手たちには実態が見えていませんでした。単にネイションズカップの最終戦で、どこの国もみんな騒いでる……といった程度の認識でしかありませんでした。でも去年実際に走ってみた。ダメだった選手もいましたし、ある程度手応えを得られた選手もいました。ただあれからは、誰もが、このレースを意識しながら走ってきました。ここにいる6人は、このレースで結果を出すことを目標に、1年間準備を積んできたんです。選手たちの心構えも、意識も、去年とは全然違いました。
ラヴニールとは足りないものが全部見えるレースです、と常々おっしゃってますが、今年の戦いからなにが見えましたか?
浅田監督:ヨーロッパ遠征でもローカルレースの場合は、各選手の持ち味、強みを活かして、上位入賞に絡めるような闘いができています。ところが、このレベルになると、それはすべて消されてしまいました。もう、なにがなんだか分からないまま、ごちゃまぜになって、水面に誰も浮き上がってこれないような、そういう息苦しい状況でした。
単純に力が足りません。たとえナショナルチームとして選ばれた選手であっても、力の底上げが間に合っていない。そう感じました。戦い方、走り方はもちろん、このレースでは厳しい9日間を最後まで走り抜く体力が重要です。そういう意味での厳しさは、想定していたよりも遥かに凄まじいものでした。
2017年のラヴニールは終了したばかりですが、来年に向けて、どう準備していかれますか?
浅田監督:日本チームのほとんどが、アンダー4年目の選手だったんです。今年のアンダー23は、今までで一番強いと言い切れるくらい、いい選手が揃っていました。それでも、今回のような成績しか、出せなかったということなんです。そんな彼らが卒業してしまうと、また新しい選手が入ってきます。すると、その新しい選手と、今いる選手とを、この先どれだけ成長させられるのか、ということが重要になります。
まずはその部分での底上げから始めなけばなりません。来年に出場するであろう選手たちを、速いスピードで成長させていく。1年でこれだけ強くなったんだ、と目に見える成長をしっかり後押ししていく。そういう可能性のある選手をどんどん採用し、どんんどん輩出していく。これこそが大切だと思っています。
■2017年ツール・ド・ラヴニール、U23日本ナショナルの挑戦 世界の現実を知ること。それが未来への第一歩
http://www.cyclesports.jp/articles/detail/84701