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フルームが参戦表明! ジロ・デ・イタリア2018 コース発表

中東のイスラエルで開幕する来年のジロ・デ・イタリアのコース発表会がイタリアのミラノで行われ、今年初優勝したドゥムランや地元イタリアのニバリ、アルーが出席した。RAIで生放送されたコース発表会の終盤には、英国のフルームがビデオ映像で登場し、来年のジロへの参戦を表明するサプライズがあった
 
photo & map : RCS Sport / LaPresse / Fabio Ferrari

史上初めて中東のイスラエルで開幕

MAP : RCS Sport
MAP : RCS Sport
3大ツアーとして史上初めて、ヨーロッパ圏外からスタートすることで話題になっている来年のジロ・デ・イタリアのコース発表会が、2017年11月29日にイタリアのミラノで行われ、その全貌が明らかになった。

第101回大会は、2018年5月4日(金)に中東のイスラエルで開幕。初日はエルサレムで9.7kmの個人タイムトライアルが行われる。イスラエルで3ステージを競った後は、イタリア南部のシチリア島へと移動。ビンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)の地元では3区間が競われ、そのハイライトは標高1736メートルのエトナ山でゴールする第6ステージだ。

その後、シチリア島からイタリア本土へと上陸し、半島をまっすぐ北上。最終日前日までアルプスで山岳ステージを競った後、空路で首都ローマへと飛び、最終日の5月27日には、史上初めてローマ市街地でサーキットレースが行われる。

総距離は3546.2km。来年もチームタイムトライアルはなく、個人タイムトライアルは初日の9.7kmと、第16ステージの34.5kmで合計44.2km。頂上ゴールは8ステージで、今年よりも3ステージ多い。

頂上ゴールは8ステージ! エトナとゾンコランがゴールになり、チマ・コッピは未舗装路があるフィネストレ峠

●第6ステージ[カルタニセッタ〜エトナ](MAP : RCS Sport)
●第6ステージ[カルタニセッタ〜エトナ](MAP : RCS Sport)
●第14ステージ[サン・ビート・アル・タリアメント〜モンテ・ゾンコラン](MAP : RCS Sport)
●第14ステージ[サン・ビート・アル・タリアメント〜モンテ・ゾンコラン](MAP : RCS Sport)
●第19ステージ[ベナリア・レアレ〜バルドネッキア](MAP : RCS Sport)
●第19ステージ[ベナリア・レアレ〜バルドネッキア](MAP : RCS Sport)
注目すべき山岳ステージは、第6ステージのエトナ山ゴールの後は、標高1730メートルのモンテ・ゾンコランを上がる第14ステージだが、その途中には忘れてはならない2つの重要なステージがある。

1つは第101回大会の『パンターニの山』に選ばれた標高2135メートルのグラン・サッソ山にゴールする第9ステージで、1週目の最後の日曜日に設定された。そしてもう1つは、今年4月に交通事故で急逝した故ミケーレ・スカルポーニに捧げられた第11ステージで、彼の故郷フィロットラーノを通過し、オジモの激坂でアップヒルゴールを競う。

第14ステージのゾンコラン頂上ゴールは、2週目の週末に設定された。ゾンコランは3カ所あるルートの最も傾斜のキツいオバーロが使われ、全長10kmの登坂は平均勾配が11.9%、最大勾配は22%で『怪物』と恐れられる。

しかし、来年のジロは最終週にさらなる怪物が待ち受けている。首都ローマへと移動する前には、頂上ゴール区間が3日間続くのだ。

その2日目となる第19ステージは、第101回大会のチマ・コッピ(最高峰)になる、標高2178メートルのフィネストレ峠を越えた後、標高2035メートルのセストリエーレ峠を越え、最後は標高1908メートルのヤッフェラウ山(バルドネッキア)にゴールする超難関ステージだ。

しかも、チマ・コッピのフィネストレ峠は全長18.5kmの登坂のうち、後半の9kmがグラベルの未舗装路という曲者だ。
●第20ステージ[スーザ〜チェルビニア](MAP : RCS Sport)
●第20ステージ[スーザ〜チェルビニア](MAP : RCS Sport)
最後の山岳ステージとなる第20ステージも、後半に2つの峠を越えた後、標高2001メートルのチェルビニア山にゴールする。タイムトライアルのスペシャリストが第16ステージでアドバンテージを得たとしても、最後の山岳3連戦でクライマーが逆転する可能性は大いにあるだろう。

そしてマリア・ローザは首都ローマへと凱旋する。最終ステージは一周11.8kmのサーキットを10周し、ローマの名所がたっぷり紹介されることになるだろう。フィニッシュ・ラインはコロッセオに近いフォリ・インペリアーリ通りに設定される。

第101回ジロ・デ・イタリア 全日程

5月4日 第1ステージ[エルサレム〜エルサレム(イスラエル)/9.7km](個人タイムトライアル)
5月5日 第2ステージ[ハイファ〜テルアビブ(イスラエル)/167km]
5月6日 第3ステージ[ベエルシェバ〜エイラート(イスラエル)/229km]
5月7日 休養日
5月8日 第4ステージ[カターニア〜カルタジローネ/191km]▲
5月9日 第5ステージ[アグリジェント〜サンタ・ニンファ(バッレ・デル・ベリーチェ)/152km]▲▲▲
5月10日 第6ステージ[カルタニセッタ〜エトナ/163km]▲▲▲△
5月11日 第7ステージ[ピッツォ〜プライア・ア・マーレ/159km]
5月12日 第8ステージ[プライア・ア・マーレ〜モンテベルジーネ・ディ・メルコリアーノ/208km]▲▲△
5月13日 第9ステージ[ペスコ・サンニタ〜グラン・サッソ・ディターリア(カンポ・インペラトーレ)/224km]▲▲△
5月14日 休養日
5月15日 第10ステージ[ペンネ〜グァルド・タディーノ/239km]▲▲
5月16日 第11ステージ[アッシジ〜オジモ/156km]▲▲△
5月17日 第12ステージ[オジモ〜イモラ/213km]
5月18日 第13ステージ[フェッラーラ〜ネルベーザ・デッラ・バッタリア/180km]
5月19日 第14ステージ[サン・ビート・アル・タリアメント〜モンテ・ゾンコラン/181km]▲▲▲▲△
5月20日 第15ステージ[トルメッツォ〜サッパダ/176km]▲▲▲▲
5月21日 休養日
5月22日 第16ステージ[トレント〜ロベレート/34.5km](個人タイムトライアル)
5月23日 第17ステージ[フランチャコルタ・ステージ(リーバ・デル・ガルダ〜イゼオ)/155km]▲▲
5月24日 第18ステージ[アッビアーテグラッソ〜プラート・ネボーゾ/196km]▲▲▲△
5月25日 第19ステージ[ベナリア・レアレ〜バルドネッキア/181km]▲▲▲▲△*
5月26日 第20ステージ[スーザ〜チェルビニア/214km]▲▲▲▲△
5月27日 第21ステージ[ローマ〜ローマ/118km]
[総距離:3546.2km]
(*…チマコッピがあるステージ)

※RCSスポルトはコース発表会で、第1ステージのスタートとゴール地点を『西エルサレム(ウエスト・エルサルム)』として紹介したが、イスラエル側の指摘を受けて『エルサレム』に訂正している。
 
MAP : RCS Sport
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フルームが来年のジロ参戦を表明!

RAIの生放送には、フルームからのサプライズな発表が仕込まれていた
RAIの生放送には、フルームからのサプライズな発表が仕込まれていた

イタリアのTV局RAIで1時間に渡って生放送されたジロのコース発表会は、終盤にサプライズがあった。全てのステージが紹介された後、ツール・ド・フランスで4度優勝している英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)がビデオで登場し、「2018年のジロ・デ・イタリアのスタートラインで、みんなと会えるのを楽しみにしている」とコメントし、来年のジロへの参戦を表明したのだ。

時を同じくして、英国のチームスカイは、フルームが2018年のジロでの優勝を狙うというニュースを発表している。彼がジロに参加するのはチームスカイに移籍した2010年以来、8年ぶりになる。彼は今年7月にツール・ド・フランス、9月にブエルタ・ア・エスパーニャで優勝しているので、もし来年5月のジロで初優勝すれば、3大ツアーすべてを制した選手になるだけではなく、シーズンをまたいだ3つのグランツールで連続して優勝することにもなる。

さらにフルームには、同じ年のジロとツールで優勝する『ダブルツール』への期待もかけられることになるだろう。それは1998年のマルコ・パンターニ以来、実現させた選手がいない困難な偉業だ。

そしてもし、それが実現できれば、彼はツール最多優勝記録の5勝に並ぶだけでなく、ベルギーのエディ・メルクスが持つ、グランツアーの連続優勝記録(1972年のジロ、ツール、1973年のブエルタ、ツールで優勝した4連勝)にも並ぶことになるのだ。


■来年のジロへの参戦を表明したクリストファー・フルーム(チームスカイ)のコメント
「ツールとブエルタで勝ち、そして今、ジロに行く機会を得て、グランツールで3連勝を試みることは、僕にとってまたとない機会だ。おそらく皆が期待していないことをして、引っかき回すという新しい挑戦ができるのは本当にエキサイティングだ。来年、自分が特別なことをやってのけることができるかどうかを知るのは全く新しいモチベーションだ。

僕は自分の自転車競技キャリアは、いくつかの点でイタリアで始まったと感じている。プロ選手としてのキャリアを始めた時、イタリアに3年間住んでいたんだ。だから、自分が今ある立場で、そして今置かれている状況でジロに帰る機会を持つことは、ある意味、1つの輪を完成させることのように感じている」

 
 


 

ジロのコース発表会にビッグネームが集結!

RAIの生放送に登場した豪華ゲスト。右からディフェンディングチャンピオンのドゥムラン、ニバリ、アルー、コンタドール
RAIの生放送に登場した豪華ゲスト。右からディフェンディングチャンピオンのドゥムラン、ニバリ、アルー、コンタドール
 
■今年ジロで初優勝したオランダのトム・ドゥムラン(チームサンウェブ)のコメント
「僕はあらゆるタイプのタイムトライアルを愛し、グランツールがこの形で始まるのが好きだ。個人TTで始まると、マリア・ローザを着る最初のチャンスになるだろう。山岳ステージは常に要注意で、ゾンコランもだが、その翌日の第15ステージも軽く見てはいけない。

このジロは好きだが、来年5月のスタートにいるかどうかは、まだ言えない。まずは注意深くコースを研究する必要がある。2017年には僕は最も強かった。でも、2018年はまた別のレースだ。フルームは強い選手で、彼が居ればレースはより難しくなり、より興味深くなるだろう」


■今年は総合3位だった地元イタリアのビンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)のコメント
「地元で走るのは特別だ。観客はとても多くの方法で元気づけてくれて、助けてくれるからね。シチリアでのステージは、僕がよく知らない島の地域だ。僕はエトナ山を天文台の側からは上ったことがない。

スカルポーニのことを考えると笑顔になる。彼がいなくて寂しいよ。ゾンコランの上りで僕の隣に彼がいてくれたらどんなに素晴らしかったか。そこで最後にレースをした時、僕はコンタドールと闘った。とてもハードなステージだった。

フルームのことはよく知っている。数カ月前にブエルタで彼に挑んだからね。彼だけでなく、彼のチーム全体が本当に強い。打ち負かすのは困難だろう」


■今年のジロはケガで欠場したファビオ・アルー(アスタナプロチーム)のコメント(※来季はUAE・チームエミレーツへ移籍予定)
「最初の上りは本当に重要だ。レースの序盤から良いコンディションでいなければならないからだ。ジロのスタートでタイムを失ったら、それを後で取り戻すのはとても難しい。

僕はスカルポーニと最後の数日前まで一緒だった。彼のビデオや写真を見続けている。彼がいなくて本当に寂しい。フルームは打ち負かす特別なチャンピオンになるだろう。僕はそこにいるかどうかわからないが、彼が居ることでジロはより特別なものになるだろう」