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【速報】ジャパンカップ2018でオーストラリアのパワーが初優勝

レース

10月21日に栃木県宇都宮市で開催された、国内最大の自転車ロードレースである第27回ジャパンカップサイクルロードレース(アジアツアー1.HC)は、オーストラリアのロバート・パワー(ミッチェルトン・スコット)が、オランダのアントワン・トルーク(チームロットNL・ユンボ)を一騎打ちのゴールスプリントで打ち負かして初優勝を飾った。3位にはデンマークのマッティ・ブレシェル(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)が入った。

パワーは今大会で2016年に3位に入り、表彰台に上がった選手だった。

日本勢は後続集団でゴールした中根英登(NIPPO・ヴィーファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)の12位が最高位だった。

引退レースだったプジョルがアタック!

  
 
 
 
土砂降りで距離が短縮された昨年とは打って変わり、さわやかな秋晴れに恵まれた今年のジャパンカップは、UCI規則の変更に伴って参加選手数が増加し、122人が出走。宇都宮市は大会冠スポンサーであるスバルの支援を受け、コースとなる森林公園の整備を行い、スタート&フィニッシュ地点は見違えるように広々としてキレイになっていた。

レースは今大会が引退レースとなったスペインのオスカル・プジョル(チーム右京)のアタックで幕を開けた。そこに同郷のマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が合流した。スペイン人コンビに2周目でオランダのクーン・ボーマン(チームロットNL・ユンボ)が追いつき、先頭は3人になった。

3周目の古賀志林道山頂にかけられていた最初の山岳賞はガルシアが獲得。1分遅れの集団は、地元チームである宇都宮ブリッツェンの赤い列車が先頭を引いていた。3人はそのまま逃げ続け、6周目にかけられていた2回目の山岳賞はボーマンが獲得。集団は2分ほど後方を走っていた。

しかし、後半戦に入ってタイム差はそれ以上にはならなかった。9周目の山岳賞をボーマンが先頭で通過した時、すでにタイム差は1分を切っていた。ここでスペイン人2人は力尽き、先頭はボーマン1人になって10周目に突入。結局プジョルは山岳賞を1つも取れず、引退レースで表彰台に上がることはできなかった。

ボーマンが単独で逃げ続けている後方では、11周目の古賀志林道でベテランのロベルト・ヘーシンク(チームロットNL・ユンボ)が加速し、集団はバラバラになった。ここで選別された15人ほどの精鋭グループが先頭のボーマンを吸収した。

最後の山岳賞がかかった12周目に突入した時、先頭は16人で、後続集団とのタイム差は17秒ほどになっていた。先頭に4選手が入っていたチームロットNL・ユンボは、古賀志林道でさらに加速。トルークが先頭で山頂を越え、最後の山岳賞を獲得した。

田野町の交差点を曲がった後のアップダウン区間でトルークとパワーがアタックし、イヴァン・サンタロミータ(NIPPO・ヴィーファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)、ニコラ・ロッシュ(BMCレーシングチーム)、ブレシェル、ヘーシンクが追従し、先頭は6人に絞られて残り2周に突入。ここに加われなかったディフェンディングチャンピオンのマルコ・カノラを擁するNIPPO・ヴィーファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニが、追走集団を引いていた。

しかし、先頭グループは古賀志林道でヘーシンクが加速し、追走集団とのタイム差を広げていった。最終周回に入った時、先頭の6人は単独で追い始めたカノラに40秒差、後続集団に1分差を付けていた。最後の古賀志林道で、先頭ではパワーとトルークの一騎打ちが始まり、2人で山頂を通過。そのままゴールまで逃げ切り、最後のゴールスプリントはパワーが制した。

23歳のパワーはプロ3年目で、今季はスペインのプルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシア(ヨーロッパツアー1.1)で初優勝を上げていて、これがプロ2勝目だった。彼は来季、ドイツ登録のチームサンウェブに移籍することが決まっていて、これが母国のミッチェルトン・スコットで走る最後のレースでもあった。


■初優勝したパワーのコメント
「チームロットNL・ユンボが最も強いチームであることは念頭に置いて走っていた。残り5周までは前に出ず、温存するように走っていた。脚の調子は良かったし、チームも同様に良かった。日本に来るのは2回目で、2年ぶりだった。ここに来ることは1カ月前に決まった。ファンがたくさんいるし、ヨーロッパ以外のレースを走るのはとてもエキサイティングでいい。

これは特別な勝利だった。何故ならボクにとってミッチェルトン・スコットのカラーで走る最後のレースだったからだ。だからボクは本当にココに来たくて、この数年間のチームへの感謝を示すためにベストを尽くしたかったんだ。このチームで過ごした時間をボクは本当に楽しんだし、ここで成績を得て、ポジティブな方法でシーズンを締めくくることができてうれしいよ」

 
 
左から2位のトルーク、優勝したパワー、3位のブレシェル 
左から2位のトルーク、優勝したパワー、3位のブレシェル 

■第27回ジャパンカップサイクルロードレース結果[10月21日/アジアツアー1.HC/144.2km]
1. POWER Robert (MITCHELTON - SCOTT / AUS) 3:44'00"
2. TOLHOEK Antwan (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) 
3. BRESCHEL Matti (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / DEN)+0'40"
4. ROCHE Nicolas (BMC RACING TEAM / IRL)+0'40"
5. SANTAROMITA Ivan (NIPPO - VINI FANTINI - EUROPA OVINI / ITA)+0'42"
6. CANOLA Marco (NIPPO - VINI FANTINI - EUROPA OVINI / ITA)+2'02"
7. GESINK Robert (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +2'07"
8. STANNARD Robert(MITCHELTON - SCOTT / AUS) +2'26"
9. DE KORT Koen (TREK - SEGAFREDO / NED) +2'26"
10. HUCKER Robbie (TEAM UKYO / AUS) +2'26"
11. POGAČAR Tadej (LJUBLJANA GUSTO XAURUM / SLO) +2'26"
12. NAKANE Hideto / 中根 英登 (NIPPO - VINI FANTINI - EUROPA OVINI / JPN) +2'26"

大会公式サイト

 
山岳賞を獲得したトルーク、バウマン、ガルシア 
山岳賞を獲得したトルーク、バウマン、ガルシア 
アジア最優秀選手賞を獲得した中根
アジア最優秀選手賞を獲得した中根
U23最優秀選手賞はミッチェルトン・スコットのロバート・スタナードが獲得した
U23最優秀選手賞はミッチェルトン・スコットのロバート・スタナードが獲得した