新リーグ設立の課題点として一番大きいのは、ヨーロッパと同じ仕組みを作ったところで、レースをするフィールドがないという点である。サッカーがヨーロッパのリーグ構造を見習ってJリーグを立ち上げたときとは大きく異なる点である。
「サッカーの場合はリーグっていうお手本があって、グラウンドやルールなどは共通。自転車ロードレースは同じフィールドが作れないっていうのがまずあります。もっと大前提の問題なんです。サッカーでいうと、僕らはまだフットサルしかできていない状態。フィールドすら同じにできない。枠作りと規約作りだけじゃ、強力な国内リーグ体制を作りあげるのは難しい。
現状でJBCFのレースは、同じ日に同じ場所でエリートツアーやJプロツアーなどいろいろ詰め込んでいるから長時間レースもできない。ブロック化していく必要がある。でなければ上っ面のプロリーグ化だけになってしまう」と栗村理事は懸念する。
また、もう一つ大きな課題点もある。現在の仕組みでは、高校、大学、実業団、国体など、それぞれで完結してしまうことだ。もちろんそれが悪いというわけではない。だがサッカーや野球では、インターハイあるいは甲子園を勝ったその先にプロという道を夢見ることができる。自転車競技は、それぞれで完結するため、例外はあれどもその先への道標がほぼ絶たれているような状態だ。
目標というのは、大きな目的へのステップを指す。現状、高校でのインターハイ、大学でのインカレというものは、それぞれの競技生活における目標ではなく、それ自体が最大目的となり、終われば一般企業に就職し、競技生活を完結させてしまうパターンも多く見られる。
また、あくまでも国内の枠の中でレースを完結してしまえば、目指すべきところがどうしたって世界基準とは違うベクトルになってしまう。もし世界に行けたとしても世界での標準・基準を知らない状態であり、海外選手と同じスタートラインに立つことすら難しい。
前途ある若者たちに向けて、インターハイやインカレで優勝するという目標からさらにその先の目的を夢見られる選択肢を提示できるような仕組み作りが求められていくことだろう。いつの日か自転車競技がメジャースポーツになるときを夢見て、”本気の”構造改革を改めて自転車界全体で考えるべきだ。
問:
全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)