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自転車を人気スポーツに 日本初、女子インターナショナルサイクリングチーム「ハイアンビション2020jp」

レース
2019年3月19日(火)、東京・目黒で、日本で最初の女子インターナショナルサイクリングチーム「High Ambition 2020jp. International Women's Cycling Team(ハイアンビション2020jp インターナショナルウーマンズサイクリングチーム)」のチーム発表会が行われた。

 


ハイアンビションは、女子アスリートの力によって日本のサイクリングを人気スポーツにしたいという加藤修代表の想いから誕生。日本の女子レースのレベルアップを図るためには、経験値のある海外の監督や選手を日本に呼んで、国際的なチームを作る必要があった。監督に就任したのはスペイン人のマネル・ラカンブラ氏。2014年に南アフリカの男子チーム、MTNクベカ(今のディメンションデータ)を率い、2016年にはアメリカの女子のUCIワールドツアーチーム、サイランスを創った。世界のトップクラスのチームを率い、世界チャンピオンになった選手も指導している。新興国で、ヨーロッパの文化を違う国で教えることに喜びを持っているという。

現在チームは​スポンサーを探している最中のいわゆるプロジェクトチームだが、第1戦としてベトナムのビワセカップを走った。

 


発表会には、加藤代表、ラカンブラ監督、ビワセカップを走った選手たちや提携チーム、提携会社の関係者が出席した。

ビワセカップの第5ステージで優勝したアリアンナ・フィダンツァは、イタリアのUCIチーム「ユーロターゲット・ビアンキ」にも所属する。イタリアを代表するスプリンターで、トラックのジュニア世界チャンピオンからプロ入り。父親はツール・ド・フランス・やジロ・デ・イタリアで活躍したジョバンニ・フィダンツァだ。平坦ステージのフィダンツァのアシスト役として、同じくユーロターゲット・ビアンキに所属するアナ・コヴリックもビワセカップを走った。ルーマニアのナショナルチャンピオンであり、UCIレースの経験がとても豊富で上りに強く、2016年のジロ・ローザでは総合21位に入った。ハイアンビションに準所属の形で参加する、4月からは鹿屋体育大学の石上夢乃(ゆの)は、ビワセカップを日本のナショナルチームで走った。2018年の全日本選手権ロード女子ジュニアの日本チャンピオンで、アジア選手権トラックジュニア女子オムニアムでは金メダル、ジャパンカップオープン女子でも優勝しており、加藤代表が最も目をかけている選手だ。実業団の「ヨコスカウーノレーシング」に所属する大堀博美は、石上がナショナルチームで走ったことと、ハイアンビションとウーノが同じ三浦半島を拠点とすることからビワセカップに出場。初めて海外で走ったという。

 
加藤代表
加藤代表
ラカンブラ監督「日本人の選手はポテンシャルを持っていると信じているが、欠けているのは経験。海外のハイレベルのレースに参加させてもらって、レベルを上げていきたい」
ラカンブラ監督「日本人の選手はポテンシャルを持っていると信じているが、欠けているのは経験。海外のハイレベルのレースに参加させてもらって、レベルを上げていきたい」
アリアンナ・フィダンツァ「日本人の選手と一緒に国際レースで活躍していきたい」
アリアンナ・フィダンツァ「日本人の選手と一緒に国際レースで活躍していきたい」
アナ・コヴリック「ヨーロッパでは女子選手がたくさんのレースに出る機会がある。日本には沢山の強い選手がいるので、同じような機会があった方が良い」
アナ・コヴリック「ヨーロッパでは女子選手がたくさんのレースに出る機会がある。日本には沢山の強い選手がいるので、同じような機会があった方が良い」
石上夢乃「将来オリンピックに出ることが夢。このチームに準所属として入ってその夢に一歩でも近づければ良い」
石上夢乃「将来オリンピックに出ることが夢。このチームに準所属として入ってその夢に一歩でも近づければ良い」
大堀博美「チームで走るというのがすごく楽しく、海外で走って経験を積んで強くなれることを実感した」
大堀博美「チームで走るというのがすごく楽しく、海外で走って経験を積んで強くなれることを実感した」


ハイアンビションと提携するチームは、女子チームのライブガーデンビチステンレと、UCIプロコンチネンタルチームのインタープロサイクリングアカデミー。ライブガーデンからは雨谷千紗子チームマネージャー、鈴木真理コーチ、新川明子選手が出席した。ライブガーデンの選手をハイアンビションに派遣するほか、ジャパンカップの国際女子クリテリウム開催を目指して宇都宮で動いている。インタープロサイクリングアカデミーからはオーナーのセバスチャン・ピロット氏が出席。ピロット氏はハイアンビションのジャージをデザインした。提携する会社、ウォークライドからは須田晋太郎氏が出席。ハイアンビションが本拠にする神奈川県にあり、一緒に三浦を自転車で盛り上げていく。ビワセカップではチームにボトルを提供した。

 
ライブガーデンの雨谷チームマネージャー
ライブガーデンの雨谷チームマネージャー










 
ライブガーデンの鈴木コーチ
ライブガーデンの鈴木コーチ
ライブガーデンの新川選手
ライブガーデンの新川選手
インタープロサイクリングアカデミーのオーナー、ピロット氏
インタープロサイクリングアカデミーのオーナー、ピロット氏
ウォークライドの須田晋太郎氏
ウォークライドの須田晋太郎氏


チームの目標は、まずは名前にもあるように2020年東京オリンピック。現在日本人の枠は開催国ということで2だが、3枠目を取りにいく。そのために、ナショナルチームだけでは足りないであろうUCIポイントを稼ぐ。女子の場合は男子と違い、UCI登録してないチームでもUCIレースに出られる。ワールドツアー以外のUCIレース、今の日本人のレベルに合わせるとカテゴリー2のレースを狙っていくという。

しかし、東京オリンピックで終わりではない。ラカンブラ監督とは3年契約であり、これは2020年で終わらないということ。2021年も次のパリオリンピックに向けてスタートする。では、3年間をどうするか。今年は前述のように、クラブチームでインターナショナルチームとしてUCIポイントを取りにいく。ワールドツアーレベルの監督、選手と一緒に闘うことで、日本人がもっと成長する機会を設ける。来年の2020年はスポンサーを獲得してUCIチームになった上で、可能ならワールドツアーに出場する。3年目にはワールドツアーに出てトップ10のチームになる。これがチームのビジョンである。ラカンブラ監督はサイランスの時に2年目でトップ10になっており、資金次第で実現できるだろうと加藤代表は考えている。

チームの編成は以下のように予定している。2020年のUCI登録に伴い正メンバーを12人に絞る。日本人が3、4人、日本以外のアジアから2、3人、その他をヨーロッパ、オセアニア、アメリカから構成する。2019年はその前段階として、様々な選手たちと一緒にレースへ行きながらセレクションを行う。正メンバー以外の選手は準所属選手やトレーニー(研修生)のような位置づけになる。



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