ニュース

ママの電動アシスト車、おもな危険は交差点・右側通行・ノーヘル 有識者指摘

その他
「自転車に乗るママが知るべき危険とは?」。6月の改正道路交通法施行を前に、自転車利用の有識者らによるセミナーが12日、都内で行なわれた。子ども乗せ自転車に乗る際のおもな危険として、有識者は交差点、右側通行、自転車用ヘルメットの未着用を挙げた。
 
子ども乗せ仕様の電動アシスト自転車。乗車時重量は最大100kgにも
 
■裏道、脇道の交差点が危険
今度の改正道交法では、信号無視や右側通行など14項目の「危険運転」で、3年以内に2回検挙された自転車運転者には「安全講習」の受講が義務付けられる。取締りの強化で、重大な自転車事故を防ぐのがねらいだ。
自転車政策に詳しい古倉宗治氏は自転車事故の発生場所は「交差点内が67.1%と圧倒的に多く、なかでも裏道や脇道の交差点が多い」と分析。
また、主婦と子どもによる自転車事故では「件数は大幅に減少しているが、子どもは裏道交差点、主婦は脇道交差点でもっとも多く発生している」とした。交差点や脇道での出会い頭の衝突は、歩道や車道右側の通行が原因となりやすく、主婦がこうした危険な走り方をしがちな実態が浮かび上がった。
電動アシスト車についても古倉氏は「全自転車に占める保有率に比較すると事故の割合は低い」とする一方で「全体の自転車事故件数が減る中、電動アシスト車の事故は約1割増えた」と指摘。さらに電動アシスト車の事故発生場所では「歩道の割合が高い」とした。子乗せ電動アシスト車の重量は最大で100kgにも達し、歩道走行は歩行者への大きな脅威となる。
 
「車道右側を走っていると、出会い頭でブレーキをかける間もなく衝突する」。右側通行の危険性を説明する疋田智氏=12日、都内で
 
■「右側通行抑止へ指導強化を」
自転車ツーキニストの疋田智氏は、主婦の自転車利用意識について解説。有識者でつくる「自転車の安全利用促進委員会」が昨年末、主婦500人余を対象に行ったアンケート調査では、6割以上がこの1年で自転車運転マナーを意識するようになったと答えた。
疋田氏は、安全意識の向上を評価する一方で「信号無視や車道の逆走・右側通行への危機感が薄い。『やってはいけない』と知りながら、これらの交通違反をする主婦が多い」と話した。アンケートでは、車道を逆走または右側通行した人が40.9%、歩道走行が57.8%に上った。
右側通行は、交差点や脇道で出会い頭の事故につながる危険性が高い。疋田氏は「目的地が車道の右側にあることでつい、右側通行してしまうのではないか」とみる。疋田氏は「出会い頭の事故では、ブレーキをかける間もなく衝突する。交通安全指導の内容に優先順位を設ける必要がある」と話し、信号無視や右側通行への指導を強めるべきとの考えを示した。
 
「危ないと知りつつ、つい右側を走ってしまう。右側通行をしないよう指導を強めることが大事」と疋田氏
 
さらに疋田氏は、子ども乗せ自転車でのヘルメットの未着用にも言及。「自転車事故の死因の64%が頭部損傷。子どもは頭の重さの割合が大きいので、事故時に頭からアスファルトの路面に落ちる。もちろん、子どもだけでなく母親もヘルメットをかぶる必要がある」と強調した。(斉藤円華)