DOWNHILL SERIES #6 吉無田高原DHコース レースレポート
12月13、14日、DOWNHILL SERIES #6 が熊本県は吉無田高原 DHコースにて開催された。最終戦の舞台は九州、熊本県。会場となる吉無田高原・緑の村は阿蘇の外輪山の南西のはずれにあり、DHコースは一面にカヤや笹が生える草原のなかに設定された。
スタートからゴールまで一度も森林に入らないコースを走っていると、雄大な阿蘇の景色に飛び込んでいるような気持ちになる。火山灰が降り積もったその大地は真っ黒で、表面の土は滑りやすいが、Gをかければしっかりとグリップする。
タイヤ選びや走り方など、ローカルライダーの間で蓄積されたノウハウを聞いていると面白い。今回のレースで各クラスの年間優勝も決まるため、選手達のあいだにも一層の気合いが入っていた。
ベースから見上げたコース。舞台は木の生えていない草原で、日本とは思えないような景色だった
日本列島に寒波が流れ込み、小雪が舞った土曜日。風も強く、体感温度も低い。 フィニッシュエリアを取り囲むように並んだメーカーブースには、試乗車がず らりと並んだ。試走でクラッシュした人がメーカーブースに整備をお願いする姿や、オフィシャルメカニックを勤めてくれている MAVIC ブースでは、一本の試走ごとにホイールを交換して“試乗を満喫”している女性ライダーの姿も見られた。
午後に行なわれたタイムドセッションでは、清水一輝(MADISON SARACEN)が 44秒 607 のタイムで1位。2位には 0.151 秒差で井本はじめ(LoveBikes)が続き、 3 位には福岡のライダー・木村宏一(Nustyle 海月)が入った。
家族、友人、チームへのお披露目会でもある決勝。選手達は見守る人達の 前を力強く駆け抜けた
迎えた本戦の朝、氷点下に冷え込んだ会場では、夜の間に薄らと白く積もった 雪化粧が参加者を出迎えた。青空が広がって凍ったコースは少しずつ溶け、ぬかるみ、刻々とコンディションを変えていく。完全には乾かないまま迎えた本戦。メイン会場からコースの後半がすべて見渡せる会場の特性のためか、ゴールエリアをたくさんの観客・ライダーが取り囲んだ。
長年Jシリーズを転戦する本村貴之(delsol/cleat/とくさがみね)や、今年のJシリーズ最終戦で、プロライダーたちを押さえて初優勝を果たした浦上太郎 (Transition/Cleat)ら九州勢が大本命。
前日のタイムドセッションを走らなかった本村と浦上が早い段階で出走すると、本村がタイムドセッションのタイムで3位に相当する 45 秒 604 を出す。すぐに浦上が 43 秒 661 というタイムをたたき出し、DOWNHILL SERIESの醍醐味でもある「ローカルヒーローの活躍」に会場が沸く。
ローカルの強みか、トップライダーの意地か。タイムドセッション2位の井本がゴールし、43 秒 010 という 浦上を超えるタイムが表示されると、賞賛の拍手がわき起こった。そして最終走者は清水一輝の走りを全員が待つことになった。清水のタイムは43秒 411、わずか 0.401秒差で井本のDOWNHILL SERIESでの2勝目が決まった。
最終戦を勝利で飾った井本はじめ(Lovebikes)。今期全戦に参戦し、エリートクラスでの年間ランキング2位を獲得した
レース後、井本は「タイムドセッションではコンマ差で負けてたので、決勝の朝にサスのセッティングを変えました。それがばっちりハマりましたね。」と語った。 DOWNHILL SERIESについても、「今までにないレースでしたね。いろんな会場に行って、色んな人と知り合って、レース以外でも地方のライディングシーンも見れたりして。楽しかったです。地元の人がもてなしてくれる宴会もおもしろかったです」と話した。
参加したライダー達との集合写真
今回は小学生のエントリーが7人。ファーストタイマークラスでは4位と5位に小学生ライダーが入った。DOWNHILL SERIES には子どもたちへの特別な配慮はないが、大人と一緒に走りたい!という熱意に対してはその門を開いている。幼いころから大人とともに走ること、トップライダーと同じコースを走ることができるのは、彼らの将来に良い影響を及ぼすと信じているからだ。
ここ、吉無田高原でも、yans こと柳原氏の手によって造られたスキルパークを 毎週末ローカルライダーが整備し、子どもたちに指導する。そうやってローカルライダーが育ち始め、九州の大きな拠点のひとつとなりつつある。
エリート女子は末政実緒(DIRTFREAK/SARACEN)が優勝。クロカンへシフトした末政だがダウンヒルの切れ味は衰えを見せない
7月に始まった DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM もこれで最終戦を終えた。西日本の6会場をまわり、603 人(エントリー総数)のライダーが参加してくれた。熱い戦い、新しい出会い、そして旅。各地方で頑張っている6会場それぞれの個性を感じることができたシリーズ戦になった。また来年、たくさんの人に出会えることを楽しみにしている。
【年間優勝】
エリート男子:清水一輝
エリート女子:末政実緒
チャレンジ男子:藤村飛丸
チャレンジ女子:川述沙織
ファーストタイマー男子:郷丸勝範
ファーストタイマー女子:三宅理子
※全6戦のうち、上位4戦分のポイント合算にて算出