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ブエルタ第8ステージはケーニヒがサプライズ区間優勝し、総合首位はローチが獲得!

レース

第68回ブエルタ・ア・エスパーニャは、8月31日にヘレス・デ・ラ・フロンテラからエステポナのアルト・デ・ペニャス・ブランカスまでの166.6kmで第8ステージを競い、主催者招待枠で出場したドイツのネットアップ・エンデューラに所属するチェコのレオポルド・ケーニヒがカテゴリー1の頂上ゴールを制し、グランツールで区間初優勝を上げた。2位は1秒差でスペインのダニエル・モレノ(カチューシャ)、3位は5秒差でアイルランドのニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ)が入った。マイヨ・ロホを着たイタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)は27秒遅れでゴール。前日まで8秒遅れの総合3位だったローチが総合首位に立った。
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第8ステージは194選手がスタート。前日に落車したアイルランドのダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ)が出走しなかった。検査で骨折は見つからなかったが、マーティンは落車の際に頭を打って脳震盪をおこしていたため、チームはブエルタ棄権を決断した。

序盤に逃げ出した13選手が、集団に1分差をつけてゴールへと向かう14.5kmのペニャス・ブランカス峠のふもとに到着した。上りがスタートすると、先頭はすぐにダリオ・カタルド(スカイ)、ドミニク・ネルツ(BMC)、ラファエル・バルス(バカンソレイユ・DCM)の3人になり、レディオシャック・レオパードが引くメイン集団は60人ほどだった。

ゴールまでの残り9kmで、メイン集団からチェコのロマン・クロイツィーゲル(サクソ・ティンコフ)が遅れ、つづいてオランダのバウケ・モレマ(ベルキン)も脱落してしまった。先頭からはバルスが脱落して集団に吸収され、カタルドとネルツの2人になったが、彼らも残り5kmで仕事を終えた。

20~30人ほどに減ってしまったメイン集団から、最初に仕掛けたのは地元スペインのイゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ)だった。エウスカルテル・エウスカディは今季で消滅することが決まっていて、アントンは母国のビッグイベントで最後の一花を咲かせようと、独走でゴールを目指した。残り3kmでアントンとメイン集団のタイム差は12秒だった。

しかし、残り2kmでメイン集団からアタックしたケーニヒがゴール手前500メートルでアントンを追い抜いた。集団からはティボー・ピノ(FDJ.fr)、イバン・バッソ(キャノンデール)、モレノ、ローチ、バルト・ドクラルク(ロット・ベリソル)が抜けだして追走を試みたが、ケーニヒを捕らえることはできなかった。ケーニヒはゴール目前で猛追を試みたモレノに1秒差を付け、両手を上げてゴールに飛び込んだ。

主催者招待枠で今大会に参加したドイツのネットアップ・エンデューラに大きな勝利をもたらしたケーニヒは「ブエルタに出場したことで、最初の目標はすでに達成していた。これはボクにとって初めてのグランツールだったんだ。そして今日のステージで優勝して、ボクは2つ目の目標も達成した。それは夢だった。チーム全員が、ボクの勝利のために尽くしてくれたよ」と、喜びを語った。
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1987年にジロ、ツール、世界選制覇のトリプルクラウンを達成した父を持つローチは、1988年にブエルタで総合優勝したショーン・ケリー以来、25年ぶりでグランツールのリーダージャージをアイルランドにもたらした。「ラスト2kmでアタックするチャンスがあった。理想的な瞬間だった。ボクは先頭でバッソ、ピノ、モレノという、とても強い選手と一緒だったからだ。区間優勝のことは考えていなかった。ただ、マイヨ・ロホのことだけが頭にあった。今までにグランツールでリーダージャージを着たことはなかったからね。(総合成績で)たった8秒遅れだったから、試さないわけにはいかなかった。全力を尽くしたよ。そしてミッションは成功した。すごく幸せさ」と、ローチは語った。彼はすでに第2ステージでグランツール区間初優勝も成し遂げている。

しかし、ローチのチームリーダーであるクロイツィーゲルは、結局このステージを5分半近く遅れてゴールし、総合争いから脱落してしまった。「チームとしていい一日だった。ニコラスがリーダージャージを獲得できて本当に満足だ。ボク自身については、ツールを走った後でもう力が不足していた。残念だよ。あまりにも早く脱落してしまった…」と、クロイツィーゲルは語っている。

9月1日はアンテケラからバルデペニャス・デ・ハエンまでの163.7kmで中級山岳区間の第9ステージが行われる。前半は難所がないが、終盤に標高1340メトールでカテゴリー2のフライレス峠を越えたあと、ゴールは1kmつづく激坂の先にある。このゴールでは2010年にアントン、2011年にはホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が優勝している。
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■第8ステージ結果[8月31日/ヘレス・デ・ラ・フロンテラ~エステポナ(アルト・デ・ペニャス・ブランカス)/166.6km]

1 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)4時間09分46秒

2 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+1秒

3 ニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ/アイルランド)+5秒

4 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+5秒

5 イバン・バッソ(キャノンデール/イタリア)+5秒

6 バルト・ドクラルク(ロット・ベリソル/ベルギー)+8秒

7 イゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+13秒

8 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+19秒

9 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+19秒

10 リゴベルト・ウラン(スカイ/コロンビア)+23秒

11 クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)+23秒

15 セルヒオルイス・エナオ(スカイ/コロンビア)+27秒

16 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+27秒

23 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・メリダ/イタリア)+57秒

35 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+2分33秒

47 ロマン・クロイツィーゲル(サクソ・ティンコフ/チェコ)+5分27秒

■第8ステージまでの総合成績

1 ニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ/アイルランド)31時間39分30秒

2 クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)+17秒

3 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+17秒

4 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+18秒

5 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+29秒

6 アイマル・スベルディア(レディオシャック・レオパード/スペイン)+30秒

7 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+31秒

8 リゴベルト・ウラン(スカイ/コロンビア)+42秒

9 ラファウ・マイカ(サクソ・ティンコフ/ポーランド)+52秒

10 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+1分03秒

12 イバン・バッソ(キャノンデール/イタリア)+1分28秒

13 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+1分37秒

18 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・メリダ/イタリア)+2分03秒

25 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+3分12秒

26 セルヒオルイス・エナオ(スカイ/コロンビア)+3分17秒

36 ロマン・クロイツィーゲル(サクソ・ティンコフ/チェコ)+6分00秒

[各賞]

■ポイント賞:ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)

■山岳賞:ニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ/アイルランド)

■コンビネーション賞:ニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ/アイルランド)

■チーム成績:チームサクソ・ティンコフ(デンマーク)

(http://www.lavuelta.com/)