ブエルタは今年最初の山岳区間を41歳のホーナーが制してリーダージャージを奪還!
第68回ブエルタ・ア・エスパーニャは、9月2日にスペイン南東部のシエラ・ネバダ山脈で今年最初の山岳ステージを競い、カテゴリー超級のアサリャナス峠頂上ゴールを米国のクリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード)が独走で制して今大会区間2勝目を上げた。2位には48秒遅れでイタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)、3位は1分2秒遅れで地元スペインのアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)が入った。リーダージャージのマイヨ・ロホを着たダニエル・モレノ(カチューシャ)は2分以上遅れてゴール。41歳のホーナーが、総合首位の座に返り咲いた。
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第10ステージは194選手が出走したが、公式スタート前のニュートラルゾーンで大落車が発生。集団はカオス状態になり、主催者は急遽公式スタートを8km先に変更した。この落車でベルギーのバルト・ドクラルク(ロット・ベリソル)が右ヒザを負傷して棄権。公式スタート後もカナダのギヨーム・ボワバン(キャノンデール)、スペインのアルベルト・ロサダ(カチューシャ)、オランダのバリー・マルクス(バカンソレイユ・DCM)がレースを続行できなかった。さらにトーマス・ドヘント(バカンソレイユ・DCM)とアンドリュー・フェン(オメガファルマ・クイックステップ)は、チームカーに捕まって失格になってしまった。この落車にはマイヨ・ロホを着たモレノやアイマル・スベルディア(レディオシャック・レオパード)も巻き込まれていた。
レースはゴールまで残り7kmで、序盤から逃げ続けていたポーランドのトマシュ・マルチンスキー(バカンソレイユ・DCM)が、20人ほどに減ったメイン集団に1分14秒差を付けて先頭を独走していた。アサリャナス峠の勾配が20%近い難所に差しかかり、マルチンスキーは這い上がるように坂を上り続けていた。モビスターが引くメイン集団からはイゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ)が飛び出したが、すぐにニーバリが追いついて先頭に立った。ここでデンマークのヤコブ・フグルサング(アスタナ)がニーバリのために集団の先頭を引きはじめ、マイヨ・ロホのモレノが脱落してしまった。
フグルサングはゴールまで残り5kmでマルチンスキーを捕らえると、この日の仕事を終えた。そのアシストに応えるようにニーバリが先頭に立ち、イバン・バッソ(キャノンデール)、ロドリゲス、ホーナーが続いたが、バルベルデとドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディア)は付いて行くことができなかった。
4人になった先頭グループから、残り4.6kmでアタックしたのはホーナーだった。ホーナーはすぐに25秒差を付けて独走でゴールを目指した。彼が残り2kmのゲートを通過した時、後続からニーバリがアタックして追撃を開始したが、その差は縮まることがなかった。ホーナーは結局ニーバリに48秒差を付けてゴールし、ボーナスタイムも10秒獲得した。
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「ライバルたちにチームメートが残っていないことに気が付き、バルベルデが苦しんでいるのを見た。それでもし、数秒差を付けることができたら、彼らはお互いに牽制しあって、ボクを捕まえられないだろうと思ったんだ。ボクはずっとニーバリをマークしていて、残り2kmでアタックする計画だった。タイムトライアルがあるから、彼はボクに1分のリードを許すゆとりがあった。だから40秒くらいは得られるだろうと思っていたのさ」と、ホーナーはこの日の戦略について語っている。
一方、ニーバリはこう語った。「ホーナーがアタックしたとき、レースはとてもコントロールされていた。ボクたちお互いを牽制していた。アタックがいくつかあったが、ボクは自分のリズムで上ることに集中した。1人で走れるようになってからは、ホーナーにもうあれ以上のタイム差を与えるわけにはいかなかった。すべてを台無しにしてしまうからだ。ホーナーはものすごく調子がいい。彼はもうすでに、あの年齢にもかかわらず絶好調であることを見せつけていたからね」
9月3日は最初の休養日となり、4日はスペイン北東部のアラゴン州に移動し、タラソナで38.8kmの個人タイムトライアルが行われる。リーダージャージのマイヨ・ロホを着て挑むホーナーは「(今回の個人TTが)ボクに向いているかどうかはわからない。ボクが個人TTでよく走れたのはもう2年前だ。ニーバリにマイヨ・ロホを奪われないようにしたい。ボクはクライマーで小さい。TTでよく走れるのは時々だ。それが水曜日であるといいね」と、語っている。
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■第10ステージ結果
[9月2日/トレデルカンポ~グエハル・シエラ アルト・デ・アサリャナス/178.8km]
1 クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)4時間30分22秒
2 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+48秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+1分02秒
4 イバン・バッソ(キャノンデール/イタリア)+1分02秒
5 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+1分02秒
6 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+1分02秒
7 ニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ/アイルランド)+1分10秒
8 イゴール・アントン(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+1分25秒
9 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディア/イタリア)+1分25秒
10 ラファウ・マイカ(サクソ・ティンコフ/ポーランド)+1分52秒
12 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+2分22秒
20 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+3分07秒
26 セルヒオルイス・エナオ(スカイ/コロンビア)+3分58秒
27 リゴベルト・ウラン(スカイ/コロンビア)+4分08秒
29 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・メリダ/イタリア)+5分00秒
73 アイマル・スベルディア(レディオシャック・レオパード/スペイン)+20分27秒
80 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+20分27秒
■第10ステージまでの総合成績
1 クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)40時間29分14秒
2 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+43秒
3 ニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ/アイルランド)+53秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+22秒
5 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+1分40秒
6 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+2分04秒
7 イバン・バッソ(キャノンデール/イタリア)+2分20秒
8 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+3分11秒
9 ラファウ・マイカ(サクソ・ティンコフ/ポーランド)+3分16秒
10 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディア/イタリア)+3分28秒
11 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+3分58秒
15 リゴベルト・ウラン(スカイ/コロンビア)+5分12秒
22 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・メリダ/イタリア)+7分04秒
23 セルヒオルイス・エナオ(スカイ/コロンビア)+7分08秒
35 アイマル・スベルディア(レディオシャック・レオパード/スペイン)+21分19秒
36 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+23分57秒
[各賞]
■ポイント賞:ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)
■山岳賞:クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)
■コンビネーション賞:クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)
■チーム成績:チームサクソ・ティンコフ(デンマーク)