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自転車利用促進で一石二鳥!「鳥取県バイシクルタウン構想」

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「自転車とクルマは対等な交通手段」。自転車の利用を促すことで、日常の移動を自動車から自転車に転換(モーダルシフト)し、しかもサイクリングを通じた観光の活性化もねらうことを目指す取り組みが、鳥取県で始まりました。6月にまとめられた「鳥取県バイシクルタウン構想」では、2013年度から8年間で、駐輪場の充実や自転車レーンの設置、レンタサイクルやサイクルトレインの拡充などといった施策を実施する計画です。


サイクリングコースの路面表示

鳥取県では「ツール・ド・大山」などのサイクリングイベントが盛んに行なわれる一方、日常の移動手段は自転車ではなく主にマイカーが使われています。これは、公共交通機関の路線や運行本数が限られているのと、日本海に面する同県は冬の積雪が多く、路肩に積もった雪により自転車が通行しにくいなどの事情によるため。「近所の買い物にもクルマで行く」ことが習慣化し、県民の1日の歩数は全国最低レベルであることも調査で明らかとなっています。

構想では、自転車をクルマと並び重要な交通手段と位置付け、自転車の走行環境の確保を大きなテーマに掲げます。例えば今年4月から、新たに道路を整備する場合には自転車走行空間として車道左側に1mの路肩幅を確保することを義務付けているほか、既存の道路でも車道左側にカラーペイントや自転車通行表示の設置を進めるとしています。


サイクルトレインの充実も図るという

そして、県外からもサイクリストを誘致して観光の活性化を図るため、サイクリングマップの作成やサイクリングコースの路面表示、自転車道の新規整備、レンタサイクルやサイクルトレインの充実を図るほか、自転車を持ち込めるバスの導入なども検討するとのこと。

鳥取県環境立県推進課の担当者は「都市部では放置自転車問題などが生じるが、地方にとって自転車はモーダルシフトや健康増進、温暖化対策などに役立つメリットがある」と話します。交通マナーの向上や駐輪場の不足といった問題点も抱える自転車利用ですが、自転車ならではの長所に着目した鳥取県の取り組みは、他の自治体にも大いに刺激となりそうです。(斉藤円華)