ニュース

ロンドの新コース発表:ミュールがなく、オウデナールドでゴール

レース

自転車王国ベルギーが世界に誇るクラシックレースの最高峰、ロンド・バン・ブラーンデレンのコースレイアウトが、大幅に変更することになった。毎年4月の第1日曜日に行われているロンドは、ベルギー北部のフランダース(ブラーンデレン)地方が舞台となるワンデーレース。1913年に創始し、来年は96回大会となる。スタート地点には変更がなく、西フランダース州の州都ブルージュがその栄誉を得ているが、来年はゴール地点がニノーブ郊外のミールビークから、オウデナールドに変更している。1973年からロンドのゴールを誘致していたミールビークの契約が今年で切れたため、新たなゴール地誘致契約が行われ、ミールビーク、オウデナールド、ロンスの3都市が立候補。そして主催者が選んだのは、ロンド・センターがあるオウデナールドだった。

ゴールの変更は来年のロンドのコースレイアウトに多大な影響をもたらすことになった。ロンドは毎年西フランダース州北部のブルージュをスタートして南下し、東フランダース州南部にある"フランダースのアルデンヌ"と呼ばれる丘陵地帯に点在する石畳の坂が舞台となる。今年までゴールだったミールビークは"フランダースのアルデンヌ"の東のはずれに位置していたが、新しくゴールになるオウデナールドは"フランダースのアルデンヌ"の中心部に位置する。その結果として、これまでロンドの伝説を生み出していたヒーラールスベルフンの"ミュール"(最後から2番目の石畳の坂)とボスベルフ(最後の石畳の坂)がコースから外され、オウデナールドに近いオウドクワルモントとパーテルベルフを3度通過する迷路のような新ルートが考案された。観客はこの2ヶ所の坂で待っていればレースが3度見られることになり、毎年レースを追走する熱狂的なファンの車で大渋滞する東フランダース州の道路が、来年は少し静かになるかもしれない。全長は254kmで今年より4km短く、最後の石畳の坂になるパーテルベルフはゴール手前14kmに位置している。

しかし、オウドクワルモントとパーテルベルフがミュールの代役を務められるのかは疑問だ。たしかにどちらも魅力的な石畳の坂であり、パーテルバルフはミュールと同じく最大勾配20%の難所ではあるが、ロンドの見せ場としては明らかに役不足だろう。コース発表後、主催紙ヘットニュースブラッドはサイト上のフォーラムに書き込まれたファンの率直な意見を隠すことなくまとめて記事にしていたが、その多くはゴール地の誘致で動く莫大な金を批判するもので、スポーツがマネーゲームの犠牲になったとも書かれている。そしてオウドクワルモントとパーテルベルフを3度通過する新ルートは「まるでロンドがクリテリウムになってしまったようだ」と、酷評されていた。ベルギーのTV局eenのスポーツチャンネル『スポルザ』でレース解説を務めているミシェル・ウイツ氏も「ミュールのないロンドは大失敗だ」と語っている。(http://www.rondevanvlaanderen.be/)