【速報】雨天のジロ第9ステージはロシアのベルコフが逃げ切り優勝!
第96回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月12日にサンセポルクロからフィレンツェまでの170kmで第9ステージを競い、ロシアのマクシム・ベルコフ(カチューシャ)が、序盤から150km逃げ切ってジロ区間初優勝を果たした。その後、2位に入ったコロンビアのカルロスアルベルト・ベタンクール(AG6R・ラモンディアル)は、無線が壊れていたせいでベルコフが前にいたことを知らず、自分が区間優勝したものと勘違いしてゴールした。3位にはハルリンソン・パンタノ(コロンビア)が入った。メイングループは1分3秒遅れでゴール。マリア・ローザは地元イタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)が守った。この日は最後のカテゴリー4の丘で、ディフェンディングチャンピオンのライダー・ヘシェダール(ガーミン・シャープ)がメイングループから脱落。ベルコフよりも2分09秒遅れでゴールし、総合成績はニーバリより3分以上遅れてトップ10からも脱落してしまった。
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ベルコフはこの日、20km地点で集団から逃げ出した12選手の1人だった。またも雨天に見舞われた第9ステージは、中盤にカテゴリー2のコンスーマ峠とカテゴリー1のバッロンブローザ峠を越えたが、その上り坂で逃げグループから先行したのはステファノ・ピラッツィ(バルディアーニバルボレ・CSFイノックス)とロビンソンエドゥアルド・チャラプド(コロンビア)の2人だった。ピラッツィは2ヶ所の峠の山頂をトップで通過し、山岳賞のマリア・アッズーラを獲得した。ベルコフはこの2人に峠では遅れを取ったが、下りで追いつき、ゴールまで残り50km地点から2人を置き去りにして独走を開始した。降りしきる雨のなか、バッロンブローザ峠の下り坂ではブラッドリー・ウィギンス(スカイ)がメイン集団から脱落。第7ステージで落車したのが雨の下り坂だったため、慎重になってしまったのだろう。彼は一時30秒近く遅れたが、チームメートの働きにより、ゴールまで残り25kmのベッタ・レ・クローチの上り坂でメイン集団に追いつくことができた。
ゴールまでの残り10.4km、最後のフィエーゾレの丘でベルコフはまだ追走するハルリンソン・パンタノ(コロンビア)とトビアス・ルドビグッション(チームアルゴス・シマノ)に1分20秒差、ベタンクールに1分48秒差、メイングループに2分差を付けていた。ゴール手前で振り返り、追走の影が見えないことを確認したベルコフは、両手を上げてゴールへと飛び込んだ。メイン集団はオーストラリアのカデル・エヴァンス(BMCレーシング)が先頭でゴールし、ポイント賞のマリア・ロッサをマーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)から奪い取っている。
「ボクはTTスペシャリストだけど、昨日のTTはとてもキツいと判断した。ロードブックを見ていて今日は逃げの日になるにちがいないと思ったから、脚を温存しておいて、その逃げに入った方がいいと思ったんだ」と、28歳のベルコフはこの日の計画を明かした。「ボクの後ろではみんながとても激しく走るだろうから、勝てる確信はなかった。ただ、できる限りのベストを尽くしたんだ。残り2kmでは、脚がひどくツッてしまって、ほとんど考えることもできなかったよ。ボクはチームTTで3回勝ってるけど、個人で勝ったのはこれが初めてだった。トルコ一周で同じようなアタックをしたけど、そのときは捕まってしまったんだ。でもそれはこのレースのいい調整になった。初めて個人で勝ったことは、ボクにとってとても重要なことだ」と、ベルコフは喜びを語っていた。彼はロシア出身だが現在はフィレンツェ近郊のプラートに住んでいるため、地元でプロ初優勝を果たしたのと同じ喜びだったにちがいない。
ジロは最初の1週間を終え、13日は休養日となる。そして火曜日から舞台は北イタリアへと移動。14日はコルデノンからアルトピアノ・デル・モンターズィオまでの167kmで今年最初の山岳区間となる第10ステージが行われる。コースは後半に2つの峠があり、標高1550メートルでカテゴリー1のカゾン・ディ・ランツァ峠を越えたあと、標高1519メートルのアルトピアノ・デル・モンターズィオ峠に挑む、今年最初のカテゴリー1の峠ゴールだ。(MAP:RCS Sport)
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■第9ステージ結果[5月12日/サンセポルクロ~フィレンツェ/170km]
1 マクシム・ベルコフ(カチューシャ/ロシア)4時間31分31秒
2 カルロスアルベルト・ベタンクール(AG6R・ラモンディアル/コロンビア)+44秒
3 ハルリンソン・パンタノ(コロンビア/コロンビア)+46秒
4 トビアス・ルドビグッション(チームアルゴス・シマノ/スウェーデン)+54秒
5 カデル・エヴァンス(BMCレーシング/オーストラリア)+1分03秒
6 ベニャト・インチャウスティ(モビスター/スペイン)+1分03秒
7 ダニーロ・ディルーカ(ビーニファンティーニ・セッレイタリア/イタリア)+1分03秒
8 マウロ・サンタンブロージョ(ビーニファンティーニ・セッレイタリア/イタリア)+1分03秒
9 ダミアーノ・カルーゾ(キャノンデール/イタリア)+1分03秒
10 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+1分03秒
15 セルヒオルイス・エナオ(スカイ/コロンビア)+1分03秒
16 ロベルト・ヘーシンク(ブランコプロ/オランダ)+1分03秒
17 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・メリダ/イタリア)+1分03秒
24 ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国)+1分03秒
25 リゴベルト・ウラン(スカイ/コロンビア)+1分03秒
43 ライダー・ヘシェダール(ガーミン・シャープ/カナダ)+2分09秒
■第9ステージまでの総合成績
1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)34時間19分31秒
2 カデル・エヴァンス(BMCレーシング/オーストラリア)+29秒
3 ロベルト・ヘーシンク(ブランコプロ/オランダ)+1分15秒
4 ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国)+1分16秒
5 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・メリダ/イタリア)+1分24秒
6 セルヒオルイス・エナオ(スカイ/コロンビア)+2分11秒
7 マウロ・サンタンブロージョ(ビーニファンティーニ・セッレイタリア/イタリア)+2分43秒
8 プジェミスラウ・ニエミエツ(ランプレ・メリダ/ポーランド)+2分44秒
9 リゴベルト・ウラン(スカイ/コロンビア)+2分49秒
10 タネル・カンゲルト(アスタナ/エストニア)+3分02秒
11 ライダー・ヘシェダール(ガーミン・シャープ/カナダ)+3分11秒
[各賞]
■ポイント賞:カデル・エヴァンス(BMCレーシング/オーストラリア)
■山岳賞 :ステファノ・ピラッツィ(バルディアーニバルボレ・CSFイノックス/イタリア)
■新人賞 :ウィルコ・ケルデルマン(ブランコプロ/オランダ)
(http://www.gazzetta.it/Speciali/Giroditalia/2013/it/)
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