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ブエルタのピレネー山岳初日はラットが逃げ切り優勝/バッソが低体温症でリタイア!

レース

第68回ブエルタ・ア・エスパーニャは、9月7日にバガからアンドラのコリャダ・デ・ラ・ガリナまでの155.7kmで第14ステージを競い、雨と寒さのなかを逃げ切ったダニエーレ・ラット(キャノンデール)がグランツールで初区間優勝を果たした。2位はリーダージャージのマイヨ・ロホを着たイタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)が3分53秒遅れで入り、総合首位の座を守った。3位には米国のクリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード)が入った。この日は低体温症になってリタイアする選手が続出。前日まで総合7位につけていたイタリアのイバン・バッソ(キャノンデール)もレースを去った。
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第14ステージは雨の中を174選手がスタート。オリカ・グリーンエッジのサイモン・ゲランズとサム・ビューリーが出走しなかった。ゲランズはMRI検査で、第3ステージの落車で骨盤にヒビが入っていたことが発覚したためだった。3km地点からルイスレオン・サンチェスとグレアム・ブラウン(ベルキン)アルカンシエルのフィリップ・ジルベール(BMC)、ラット、スティーブ・シェネル(AG2R・ラモンディアル)が逃げ出し、先頭グループを作った。5人は土砂降りの悪天候にもかかわらず、集団とのタイム差を広げ続け、53km地点でアンドラ公国へと越境したときには8分半差をつけていた。このとき、気温はすでに13度Cにまで下がっていた。

70km地点でタイム差は12分半以上になっていた。この日最難関のエンバリーラ峠が始まると、先頭の逃げからブラウンとシェネルが脱落。標高2410メートルで気温がたった5度Cの山頂は、ジルベールが先頭に通過した。エンバリーラ峠の下りで、ルイスレオン・サンチェスが転倒する事故が発生。彼はレースに復帰したが、低体温症になり、リタイアしてしまった。エンバリーラ峠の上り坂で集団から脱落したバッソも、同じく低体温症でリタイアしている。

ゴールまでの残り47km、カテゴリー2のオルディーノ峠の上り坂が始まるとジルベールが脱落し、先頭はラットの独走になった。メイン集団ではオルディーノ峠でアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)が脱落。チームメートに引かれて30秒前後のタイム差でライバルを追う展開になってしまった。しかしメイン集団はカチューシャが引いて、その差をさらに広げようと試みた。

先頭ではラットが快調に逃げ続け、最後のコリャダ・デ・ラ・ガリナ峠のふもとでジルベールに5分50秒差、アスタナが引くメイングループには8分50秒差をつけたままだった。メイングループでは総合争いの闘いがつづき、ヤコブ・フグルサング(アスタナ)とロベルト・キーゼルロブスキー(レディオシャック・レオパード)の加速について行けず、前日まで31秒差で総合2位だったニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ)が残り6kmで脱落してしまった。そして残り4kmで山岳賞ジャージを着たホーナーがアタックしたとき、ついて行けたのはマイヨ・ロホのニーバリだけだった。
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ラットが胸のスポンサーロゴを示しながらゴールに飛び込んだとき、後方ではホーナーとニーバリの闘いが続けられていた。しかし、この日は決着がつかず、2人はほとんど一緒にゴールした。この日、ホーナーは総合4位から2位へと浮上。バルベルデも遅れを最小限に留め、表彰台を守った。

「今日は優勝候補たちがボクら(逃げ)を捕まえたあと、下りでバッソをアシストするために逃げていた。けれど集団は逃げに大差を許してしまった。ボクはこの2日間調子がいいと感じていたんだ。バッソがリタイアしたと聞いたのは、ゴールしたあとだった。彼はとても痩せていて、ボクは正反対だった。ボクに付いている余分な脂肪のおかげで、今日は寒さをしのげたのさ。でも、ボクの勝利はバッソのリタイアの代償には寂しすぎる。彼は最後には表彰台に上がっていたと思うよ」と、区間優勝したラットは語っている。

最終的に第14ステージでは14選手が途中リタイア。ロマン・クロイツィーゲル(サクソ・ティンコフ)、リューウェ・ウェストラ(バカンソレイユ・DCM)、アイマル・スベルディア(レディオシャック・レオパード)、イェル・バネンデルト(ロット・ベリソル)も自転車を降りてしまった。完走は160選手だった。

8日はアンドラからフランスに入り、カテゴリー1のペイラギュド峠でゴールする第15ステージが行われるが、距離は今日よりもかなり長い224.9kmで、悪天候がつづく予報になっている。コースはスタートから標高の高いカテゴリー1の峠を3つ越えるため、今日のように下りで低体温症になる危険も多い。ツール・ド・フランスの100回大会を祝うためのステージだが、コースに変更がなければ、ふたたび寒さと闘う地獄のようなレースになるだろう。
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■第14ステージ結果

[9月7日/バガ~アンドラ(コリャダ・デ・ラ・ガリナ)/155.7km]

1 ダニエーレ・ラット(キャノンデール/イタリア)4時間24分00秒

2 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+3分53秒

3 クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)+3分55秒

4 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+4分11秒

5 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+4分19秒

6 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+4分43秒

7 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+4分46秒

8 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+4分46秒

9 ミケル・ランダ(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+5分17秒

10 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+5分21秒

11 タネル・カンゲルト(アスタナ/エストニア)+5分27秒

16 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+6分16秒

20 ニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ/アイルランド)+7分22秒

■第14ステージまでの総合成績

1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)53時間56分49秒

2 クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)+50秒

3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+1分42秒

4 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+2分57秒

5 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+3分43秒

6 ニコラス・ローチ(サクソ・ティンコフ/アイルランド)+4分06秒

7 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+4分34秒

8 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+5分42秒

9 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+6分28秒

10 タネル・カンゲルト(アスタナ/エストニア)+6分45秒

[各賞]

■ポイント賞:アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)

■山岳賞:ダニエーレ・ラット(キャノンデール/イタリア)

■コンビネーション賞:クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード/米国)

■チーム成績:アスタナプロチーム(カザフスタン)

(http://www.lavuelta.com/)